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第三十三章 二年生
千二百七十四話 強制捜査の状況
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応接室に入って少ししたところで、マユさんが自己紹介をします。
「皆さま、先ほどは父が失礼いたしました。ゴーヨク司祭の娘のマユと申します。今年十一歳となります」
「「「わー、パチパチ!」」」
マユさんがペコっと頭を下げると、ちびっ子たちはニコニコしながらマユさんに拍手をしていました。
マユさんは背が高いけど、ちょうどリルムと同じ歳なんですね。
そして順に僕たちも挨拶をするのだけど、各国の重要人物が集まっているので自己紹介の度にマユさんはアワアワと慌てていました。
「こ、この様な方々と同席するなんて。お、畏れ多いです……」
確かに、各国でもかなり上位の人たちが集まっているので、普通の人は同席することすら躊躇うレベルだよね。
でもゴーヨク司祭の話をしないといけないので、何とか席に座ってもらいました。
そして、説明はジンさんがしてくれることになりました。
「まあ、俺が把握しているのはこんな感じだ」
「そ、そんな。私を聖女にして権力を得るために、そんな無謀な事をしたなんて……」
「確かに、誰がどう見たって無謀な行動だ。しかし、それだけ聖女の父親というのは魅力あるものだったのだろうな」
ジンさんの説明を聞いたマユさんは、まさに絶句という表情をしていました。
教皇猊下も聖騎士団もゴーヨク司祭の動きを察知していたので、マジカルラット部隊やポニさんたちがいなくてもどっちにしても大失敗だったでしょう。
「間違いなく、屋敷も強制捜査を受けている。アレクが聖騎士団の動きを察知したからな。これから、マユも聴取を受けなければならないだろう」
「そ、そんな。私は、どうしたら……」
マユさんは、ジンさんの説明を何とか聞いていたけどそこまでだった。
完全に予想外の状況に、パニックに陥っていた。
こういう時は、あの魔法を使ってあげた方がいいと思います。
シュイン、ぴかー!
「どうですか、落ち着きましたか?」
「あっ、はい。少し気持ちが落ち着きました」
僕は、マユさんに鎮静魔法をかけました。
今は中々難しいだろうけど、気持ちを落ち着かせる必要があります。
そして、部屋に入ってきたこの人が、今後のマユさんの行動について話をしてくれました。
「マユには、この後の奉仕活動にも参加してもらう。聖女候補生としての義務だ」
「き、教皇猊下!」
応接室に教皇猊下が入ってきたので、マユさんは驚きながらも勢いよく立ち上がりました。
どうやら屋敷の捜索に時間がかかりそうなので、その間の時間潰しも兼ねるみたいです。
「その後、聖騎士団の詰所で事情聴取を受けてもらう。強制捜査の状況にもよるが、今夜はカレンの泊まっているところになるだろう。まあ、聖職者とあるものが聖剣に拒否されるレベルの犯罪だ。大聖堂襲撃以外にも何かあると踏んだ方が無難だろう」
教皇猊下が話した内容は、僕たちからすればごく標準的な強制捜査の内容です。
でも、マユさんにとっては衝撃的な内容でしょう。
教皇猊下の話を聞いたマユさんは、再び黙り込んでしまいました。
「マユは、普通に聖剣に受け入れられている。それは、マユに罪が無いという何よりもの証拠だ。しかし、残念ながら家族が犯した罪はかなり大きい。今後のことも含めて、おいおい考えるとしよう」
「教皇猊下、ありがとうございます」
どんな判決になるか、僕たちが口を出す訳にはいきません。
でも、教皇猊下なら何とかしてくれるのではと思ってしまいました。
ではでは、そろそろ奉仕活動の時間なので僕たちも応接室から出て大聖堂前に向かいましょう。
「皆さま、先ほどは父が失礼いたしました。ゴーヨク司祭の娘のマユと申します。今年十一歳となります」
「「「わー、パチパチ!」」」
マユさんがペコっと頭を下げると、ちびっ子たちはニコニコしながらマユさんに拍手をしていました。
マユさんは背が高いけど、ちょうどリルムと同じ歳なんですね。
そして順に僕たちも挨拶をするのだけど、各国の重要人物が集まっているので自己紹介の度にマユさんはアワアワと慌てていました。
「こ、この様な方々と同席するなんて。お、畏れ多いです……」
確かに、各国でもかなり上位の人たちが集まっているので、普通の人は同席することすら躊躇うレベルだよね。
でもゴーヨク司祭の話をしないといけないので、何とか席に座ってもらいました。
そして、説明はジンさんがしてくれることになりました。
「まあ、俺が把握しているのはこんな感じだ」
「そ、そんな。私を聖女にして権力を得るために、そんな無謀な事をしたなんて……」
「確かに、誰がどう見たって無謀な行動だ。しかし、それだけ聖女の父親というのは魅力あるものだったのだろうな」
ジンさんの説明を聞いたマユさんは、まさに絶句という表情をしていました。
教皇猊下も聖騎士団もゴーヨク司祭の動きを察知していたので、マジカルラット部隊やポニさんたちがいなくてもどっちにしても大失敗だったでしょう。
「間違いなく、屋敷も強制捜査を受けている。アレクが聖騎士団の動きを察知したからな。これから、マユも聴取を受けなければならないだろう」
「そ、そんな。私は、どうしたら……」
マユさんは、ジンさんの説明を何とか聞いていたけどそこまでだった。
完全に予想外の状況に、パニックに陥っていた。
こういう時は、あの魔法を使ってあげた方がいいと思います。
シュイン、ぴかー!
「どうですか、落ち着きましたか?」
「あっ、はい。少し気持ちが落ち着きました」
僕は、マユさんに鎮静魔法をかけました。
今は中々難しいだろうけど、気持ちを落ち着かせる必要があります。
そして、部屋に入ってきたこの人が、今後のマユさんの行動について話をしてくれました。
「マユには、この後の奉仕活動にも参加してもらう。聖女候補生としての義務だ」
「き、教皇猊下!」
応接室に教皇猊下が入ってきたので、マユさんは驚きながらも勢いよく立ち上がりました。
どうやら屋敷の捜索に時間がかかりそうなので、その間の時間潰しも兼ねるみたいです。
「その後、聖騎士団の詰所で事情聴取を受けてもらう。強制捜査の状況にもよるが、今夜はカレンの泊まっているところになるだろう。まあ、聖職者とあるものが聖剣に拒否されるレベルの犯罪だ。大聖堂襲撃以外にも何かあると踏んだ方が無難だろう」
教皇猊下が話した内容は、僕たちからすればごく標準的な強制捜査の内容です。
でも、マユさんにとっては衝撃的な内容でしょう。
教皇猊下の話を聞いたマユさんは、再び黙り込んでしまいました。
「マユは、普通に聖剣に受け入れられている。それは、マユに罪が無いという何よりもの証拠だ。しかし、残念ながら家族が犯した罪はかなり大きい。今後のことも含めて、おいおい考えるとしよう」
「教皇猊下、ありがとうございます」
どんな判決になるか、僕たちが口を出す訳にはいきません。
でも、教皇猊下なら何とかしてくれるのではと思ってしまいました。
ではでは、そろそろ奉仕活動の時間なので僕たちも応接室から出て大聖堂前に向かいましょう。
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