転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第二十四章 お兄ちゃんの官僚としての忙しい日々

六百六十三話 思わぬところから見つかった怪しい報告書

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 早速、皆で宰相の執務室に移動します。
 すると、既に報告書が大きなテーブルの上に用意されていました。
 宰相はまだ会議が続いているそうで、執務室に帰ってきていません。

「すみません、報告書を用意して貰っちゃいまして」
「いえいえ、このくらいはなんてことありません。ただ、貴族家毎にしてありますので、確認が終わりましたら元に戻して頂けると助かります」
「「「はーい」」」

 いつもの職員さんからの注意を聞いて、リズ達は元気よく返事をしています。
 レイナさん達も付いてくれているので、既に報告書をチェックし始めました。
 僕もチェックを始めます。

 ペラペラ。

「あれ? すみません、この報告書は過去数年全く同じ筆跡と記載になっています。こんな事ってありますか?」
「うーん、これは怪しいですね。報告内容に変化がなければ同じ内容で提出する事はありますが、筆跡まで同じとなる事はありません」

 調べ始めて十分後、僕はある貴族の報告書がおかしいのに気づきました。
 職員さんもおかしいと言ったので、これは要確認です。

「あっ、これもお兄ちゃんがさっき言った内容に似ているよ」
「どれどれ? あっ、本当だ。筆跡と記載内容が全く同じだ」
「この二領は隣同士だわ。うーん、記載内容も全く同じだし、とっても怪しいわね」

 リズが見つけた報告書も、僕が見つけた報告書と内容が一緒です。
 カミラさんも、とっても怪しいと睨んでいます。

「この領地は王都近郊にあり、馬車でも一日あれば着きます」
「そんな近くに、問題の領地があるんですね」

 職員さんから二領のある場所を教えて貰ったけど、万が一闇ギルドの拠点だとしたら王都に近いのは大問題だね。
 すると、スラちゃんが触手を上げました。

「スラちゃんが、その領地に飛んでいくって! 直ぐに、転移魔法を使える様にするってよ」
「それは、とってもありがたい、うん? 飛んでいく?」

 リズが言った、スラちゃんが問題の領地まで飛んでいくって一体どういう事?

 ふわっ。

「「「スラちゃん、すごーい!」」」

 って思っていたら、本当にスラちゃんが宙に浮いていた。
 えっ、一体何が起きているんだ?

「これは重力魔法の飛翔ね。恐らくスラちゃんの事だから、上位魔法の高速飛翔まで使えるはずだわ」
「飛翔って、益々スラちゃんがスライムには思えなくなっちゃったよ」

 空間魔法の一種である重力魔法は、僕もプリンもまだ使えないんだよなあ。
 カミラさんの補足を、僕は呆然としながら聞いていました。

 ばしゅーん!

 そしてスラちゃんは地図で大体の位置を確認したら、触手をフリフリして窓から勢い良く飛んで行きました。
 うん、とんでもない速さですね。

「いーなー、リズもお空を飛んでみたいなあ」
「エレノアも飛んでみたいの」

 うん、僕も今回ばかりはリズとエレノアの気持ちが良く分かります。
 というか、またスラちゃんに魔法で負けちゃったよ……
 気を取り直して、再び報告書の確認を進めます。

 ガチャ。

「戻ったぞ。執務室からとんでもない速さの物が飛んでいったらしいが、何か知っているか?」
「おじいちゃん、スラちゃんが問題のありそうな領地に飛んでいっただけよ」
「そうか、なら問題ないな」

 会議が終わったらしく宰相が戻ってきたのだが、カミラさんが簡単に説明したらあっさりと納得していた。
 それで良いのかと思いつつ、宰相は怪しい報告書を手にとっていました。

「ふむ、カスバク子爵と男爵家か。コイツラは贅沢主義で、前から怪しいと思っておったのじゃ」

 既に、宰相にも目をつけられていた所だったのか。
 となると、軍の調査も入っているかもしれないね。

「アレク様、また変なの見つけました」
「サインが全く一緒ですわ」
「報告内容も一緒です」

 今度はサンディとアイビー様とルーシーお姉様が、おかしな報告書を見つけてきました。
 直ぐに皆で確認すると、とってもビックリする事が書かれていました。

「えっ、バイザー子爵家からの報告書?」
「あそこは、辺境伯と国の共同統治になっているはずじゃ」
「でも、前に闇ギルドが拠点としていましたよね……」

 あまり思い出したくないけど、忘れられない闇ギルドとの最初の戦いの事。
 僕は、思わず嫌な記憶を思い出しちゃいました。

「終わったよ!」
「その三つだけですの」
「おお、そうか。ご苦労様」

 結局、怪しい報告書は三領地のみでした。
 でも、思わぬ所から怪しい報告書が見つかったので、急いで対策会議をする事になりました。
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