転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

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第三十二章 新入生

千二百十六話 卒園式前の学園の掃除をします

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 翌日から学年末テストが返却され、全員の点数が出揃いました。

「ふう、何とか全教科満点だったよ……」
「アレクお兄ちゃんは、満点以外は取らないの……」

 エレノアは、僕のテストの結果を覗き込んで思わずため息を漏らしていました。
 残念ながらエレノアは全教科満点は取れなかったけど、それでも十分に良い点数を取っていました。
 リズはエレノアと同じ点数なんだけど、年間を通してだとリズの方が若干点数が高いんだよね。
 サンディやメアリなどもとても良い点数が取れたし、僕たちの知り合いはみんな良い成績になりそうです。

「皆さん、アレク君に感謝をしましょう。こんなにも親身になって教えてくれる生徒は、ルーカス殿下以来ですね」
「「「はい!」」」

 ユーリカ先生は、ホームルームをしながらクラスメイトに話しかけました。
 僕としては、お礼を言われる為にみんなの質問に答えていた訳じゃないんだよね。
 それでもAクラス全員の学力アップに繋がったのは間違いないらしく、このままいけば来年も同じメンバーになりそうです。

「では、この後は卒園式に向けての校内清掃を行います。最上級生が気持ちよく学園を卒業できるようにしましょう」
「「「はい!」」」

 ユーリカ先生の話に、全員が元気よく返事をします。
 普段は専門業者が校内を掃除するのだが、卒園式前は在校生が学園を掃除するのが学園の伝統らしいです。
 掃除は冒険者活動でも行うし、僕も大得意です。
 動きやすい服装に着替えて、みんなで指定された場所に向かいます。
 一年生は、校門周りや体育館の周辺などを担当することが多いそうです。

「ふんふんふーん」

 リズは、マジックバッグからマイ箒を取り出して手慣れた様子で校門周りのゴミを集めていきます。
 エレノアやサンディ、メアリなども自分用の掃除道具を使って清掃をしていて、スラちゃんとプリンも普通に掃除をしています。
 他のクラスメイトは学園が用意した掃除道具を使って掃除をしていて、中には掃除に慣れていない人もいます。
 掃除に慣れていない人には、主に僕が掃除の仕方を教えています。

「うーん、僕とリズの生活魔法だとやりすぎちゃいそうな気がしますね……」
「間違いなく創建当時の輝きを取り戻しますが、長年の蓄積というのも無くなってしまいますね」

 掃除はあくまでも掃除道具で行うのが鉄則らしく、特に僕とリズに関してはユーリカ先生によって生活魔法の使用が厳禁となりました。
 水魔法の応用で、高圧洗浄機みたいにしてもいいんだけどね。
 ここは、伝統に則って掃除道具を使います。

「ゴミを一箇所に集めるように箒で掃いていきます。慌てずに、ゆっくりでいいですよ」
「確かに、私はリズ様みたいな速度で掃除はできませんね」
「ふんふんふーん」

 僕が教えているクラスメイトが思わず苦笑してしまった先には、鼻歌を歌いながらとんでもない範囲の掃除をしている様子がありました。
 リズは掃除が大得意だから、普通の人とは掃除するスピードが違います。
 冒険として掃除の依頼を受けた経験のある面々もかなりのスピードで掃除をしていて、僕たちのクラスの受け持つ範囲の大半の掃除を終えていました。
 うーん、このままだと他のクラスメイトが掃除する範囲が無くなってしまうぞ。

「リズ、エレノアたちもクラスメイトに上手な掃除のやり方を教えてあげて」
「ふふふ、掃除のことならリズにお任せだよ!」
「エレノアも、いっぱい教えるの」

 何とか掃除が早い面々の目先を変えることに成功し、僕もホッと胸を撫で下ろしました。
 スラちゃんとプリンも、クラスメイトに掃除のやり方を教えています。
 こうして、僕たちのクラスの受け持ち範囲は無事に完了しました。
 明日も学園内の掃除をする予定なので、張り切って頑張りましょうね。
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