転生しても実家を追い出されたので、今度は自分の意志で生きていきます

藤なごみ

文字の大きさ
1,054 / 1,190
第三十三章 二年生

千二百五十話 今日の作業は終了です

しおりを挟む
 夕方になると、治療をしていたリズたちも王城に戻っていきました。
 ドラちゃんとリボンちゃんは、スラちゃんのゲートで一足先に僕の屋敷に帰ったみたいです。

「焼き菓子を食べて不安になった人が結構いたよ。若い女の人が多かったかな。学園生にも焼き菓子を食べた人がいたよ」
「全員、回復魔法と状態異常回復魔法で良くなったの。中には、念の為にって人もいたの」

 みんな勉強部屋に集まって話をしていたけど、どうやら今日治療した人は全員快方に向かったようです。
 リズもエレノアもホッとしていたけど、今日の午後だけで焼き菓子を買った人を治療できた訳ではありません。
 明日からは、毎日ドラちゃんとリボンちゃんを焼き菓子店の前に派遣し、放課後からリズたちが合流します。
 一週間治療班を派遣して、次の安息日は大教会で奉仕活動を行います。
 これだけ対応すれば、ある程度はカバー出来るはずです。

「こっちだよー!」
「こっちこっち」
「あぶっ」

 そして、治療を頑張ったミカエルとブリットはまだまだ元気なハーデスちゃんの相手をしていました。
 ルカちゃんたちは、元気いっぱいなハーデスちゃんに圧倒されて疲れちゃったみたいですね。
 ハーデスちゃんは、色々な人と遊べるのが楽しくて仕方ないみたいです。
 でも、そろそろ僕の屋敷に行かないといけません。

「ティナおばあさま、色々とありがとうございました」
「アレク君こそ、今日はお疲れ様。ゆっくり休んでね」

 僕はティナおばあさまにお礼を言い、屋敷にゲートを繋いでみんなと一緒に帰りました。
 因みに、ハーデスちゃんはリズが抱っこしていました。
 みんな疲れていると思うし、今夜はゆっくり休まないと。

「「「ただいまー!」」」
「あぶー」
「お帰りなさい。その子が、例の赤ちゃんね」

 僕たちが屋敷に帰ると、侍従のお姉さんが出迎えてくれました。
 そして、慣れた手つきでリズからハーデスちゃんを受け取っています。
 すると、リズは侍従のお姉さんにハーデスちゃんを渡しながらあることを聞きました。

「あっ、あの店員のお姉さんはどうなった?」
「ネネさんね。だいぶ落ち着いたわ。この後、みんなと一緒に夕食を食べることになっているわよ」
「そうなんだ。元気になって良かったね」

 リズだけでなく、サンディとイヨもかなりホッとしていました。
 直ぐに夕食になるらしく、僕たちも食堂に移動します。

「「待ってたよー」」

 食堂に行くと、メイちゃんとリラちゃんが僕たちを出迎えてくれました。
 ケンちゃん、レオンちゃん、セオちゃんは侍従のお姉さんが抱っこしているハーデスちゃんに興味津々でした。

「この赤ちゃんは暫く屋敷にいるから、みんな仲良くしてあげるのよ」
「「「「「はーい」」」」」

 メイちゃんたちは、侍従のお姉さんに元気よく返事をしていました。
 そして、ハーデスちゃんは赤ちゃん用の椅子に降ろされます。

「ネネさんも、だいぶ落ち着いたみたいですね」
「おかげさまで。小さい子の相手をしていたのもあったのかもしれません」

 どうやら、ネネさんはケンちゃん、レオンちゃん、セオちゃんと遊んでくれていたみたいです。
 話を聞くと、実家は子沢山だったので小さい子の相手は得意だそうです。
 ではでは、さっそく夕食にしましょう。
 みんなでワイワイする時は、僕の屋敷では鍋にすることが多いです。

「じゃあ、食べましょうね」
「「「わーい!」」」

 美味しそうなぼたん鍋が運ばれてきて、ちびっこたちだけでなくリズたちもテンションが上がっています。
 ネネさんもハーデスちゃんも美味しそうに鍋を食べていて、僕はホッと一安心です。
 やっぱり、美味しいものはみんなを笑顔にするね。
しおりを挟む
感想 287

あなたにおすすめの小説

「不細工なお前とは婚約破棄したい」と言ってみたら、秒で破棄されました。

桜乃
ファンタジー
ロイ王子の婚約者は、不細工と言われているテレーゼ・ハイウォール公爵令嬢。彼女からの愛を確かめたくて、思ってもいない事を言ってしまう。 「不細工なお前とは婚約破棄したい」 この一言が重要な言葉だなんて思いもよらずに。 ※短編です。11/21に完結いたします。 ※1回の投稿文字数は少な目です。 ※前半と後半はストーリーの雰囲気が変わります。 表紙は「かんたん表紙メーカー2」にて作成いたしました。 ❇❇❇❇❇❇❇❇❇ 2024年10月追記 お読みいただき、ありがとうございます。 こちらの作品は完結しておりますが、10月20日より「番外編 バストリー・アルマンの事情」を追加投稿致しますので、一旦、表記が連載中になります。ご了承ください。 1ページの文字数は少な目です。 約4800文字程度の番外編です。 バストリー・アルマンって誰やねん……という読者様のお声が聞こえてきそう……(;´∀`) ロイ王子の側近です。(←言っちゃう作者 笑) ※番外編投稿後は完結表記に致します。再び、番外編等を投稿する際には連載表記となりますこと、ご容赦いただけますと幸いです。

治療院の聖者様 ~パーティーを追放されたけど、俺は治療院の仕事で忙しいので今さら戻ってこいと言われてももう遅いです~

大山 たろう
ファンタジー
「ロード、君はこのパーティーに相応しくない」  唐突に主人公:ロードはパーティーを追放された。  そして生計を立てるために、ロードは治療院で働くことになった。 「なんで無詠唱でそれだけの回復ができるの!」 「これぐらいできないと怒鳴られましたから......」  一方、ロードが追放されたパーティーは、だんだんと崩壊していくのだった。  これは、一人の少年が幸せを送り、幸せを探す話である。 ※小説家になろう様でも連載しております。 2021/02/12日、完結しました。

婚約破棄されたので四大精霊と国を出ます

今川幸乃
ファンタジー
公爵令嬢である私シルア・アリュシオンはアドラント王国第一王子クリストフと政略婚約していたが、私だけが精霊と会話をすることが出来るのを、あろうことか悪魔と話しているという言いがかりをつけられて婚約破棄される。 しかもクリストフはアイリスという女にデレデレしている。 王宮を追い出された私だったが、地水火風を司る四大精霊も私についてきてくれたので、精霊の力を借りた私は強力な魔法を使えるようになった。 そして隣国マナライト王国の王子アルツリヒトの招待を受けた。 一方、精霊の加護を失った王国には次々と災厄が訪れるのだった。 ※「小説家になろう」「カクヨム」から転載 ※3/8~ 改稿中

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

「君を愛するつもりはない」と言ったら、泣いて喜ばれた

菱田もな
恋愛
完璧令嬢と名高い公爵家の一人娘シャーロットとの婚約が決まった第二皇子オズワルド。しかし、これは政略結婚で、婚約にもシャーロット自身にも全く興味がない。初めての顔合わせの場で「悪いが、君を愛するつもりはない」とはっきり告げたオズワルドに対して、シャーロットはなぜか歓喜の涙を浮かべて…? ※他サイトでも掲載しております。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。