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始まり
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「はちぜろさんろくハーンーサームー」
掃除の時間、おれはクラスメイトのかいをからかっていた。好きだった子がかいを、カッコいいと、好きだと言っていたからだ。
「はちぜろさんろくハーンーサームー」
2回目のからかいにかいが怒ったらしく、おれに向かって走りはじめたのでおれもその場から駆け出した。
2つ目の外階段とその先の掃除係だったかいと、1つ目の外階段とそこに繋がる広場の掃除係のおれは教室に向かって走っていた。
ゴールか何かがある訳じゃない。追いつかれたらどうなるだろうか。なぐられるのか。離れていたとはいえアイツは足が速いからやっぱり追いつかれるだろうか、階段を上りきり、まだ距離はあるはずと踏んで振り返った瞬間に捕まっていた。
それも、おれが、振り返ったせいで、すぐ前に顔があった。どきっとした。
そこで俺は目が覚めた。
まさか高校生にもなって小学生の頃の、それも一番思い出したくもないかいとの思い出を、夢に見るなんて。
今日から地元では由緒ある高校、翠鳳高校の一年生としての日々が始まるというのに。幸先悪そうじゃないか。
スマートフォンの時計を見ると既に6時半を過ぎており、シャワーを浴びてから制服に着替えるとなると、もうそんなに時間がない。夢のことなんて後回しだ。早くシャワーを浴びて汗を流さなければ。
昨夜もシャワーを浴びていた為、ささっと頭と体をたっぷりの泡で洗い、脇は入念に。最後に顔を洗って少し生えてきたヒゲを剃ってもう一度シャワーで頭から爪先まで流してから浴室を出た。
もう一度時間を見る。この時点で7時を過ぎていた。一緒に行こうと約束した親友がもうすぐ家にやってくるはず。早く髪を乾かさなければ。そう思っていると、ようやく起きてきた妹が洗面所にやってきた。
「おにいパンツくらいさっさと履きなよ。」
まだ体を拭いている最中の俺に妹が言う。お前に恥じらいはないのか。
「いや、まだ体拭いてる最中だぞ!それよりお前はなんで入ってきてるんだよ!使用中にしたろうが!」
思春期成長期真っ只中の俺たち兄妹の為にと言っていいのか分からないが、俺が中学に上がる少し前に母さんがこの札を作ってくれた。特に、風呂上がりの俺と、起きたばかりの妹が洗面所出くわすとこうして喧嘩になるので、家族全員で使用中はなるべく入らない、入ったらさっさと用事を済ませて出る、を徹底していたはずなのに。
「おにいが出るの早いからじゃん。あたしは顔洗いに来ただけなのに。」
「いや、俺が出てるんだから終わって出るまで待てよ」
「やだよ。おにいムダにスキンケア長いじゃん。あたし早くご飯食べたいの!」
コイツは本当にムカつくやつだな。しかもなんだ!ムダにスキンケア長いって!アメリカ人の母さん譲りのこの顔なんだから全身ぴかぴかにした方がモテるだろ!モテる兄貴なんて誇らしいだろうが!
「この顔なんだから全身キレイにした方がモテるだろうが!」
「顔より性格だろ。おにいの顔がどれだけ良かったとしてもそのナルシーな性格ならモテるどころか敬遠しかされんわ!むしろ遠くからも見たくないわ!まじキモい。」
妹の言い草に腹が立ちつつもそろそろ準備を終わらせないと本当にまずい。
「あんたたちはまた!新は早く準備しなさい!20分には勝くん来るんでしょ!麗はもうご飯準備出来てるんだからさっさと顔洗う!」
まったくもう!と言いながら母さんが出て行ったので俺たちはそれぞれやるべき事を始めた。
掃除の時間、おれはクラスメイトのかいをからかっていた。好きだった子がかいを、カッコいいと、好きだと言っていたからだ。
「はちぜろさんろくハーンーサームー」
2回目のからかいにかいが怒ったらしく、おれに向かって走りはじめたのでおれもその場から駆け出した。
2つ目の外階段とその先の掃除係だったかいと、1つ目の外階段とそこに繋がる広場の掃除係のおれは教室に向かって走っていた。
ゴールか何かがある訳じゃない。追いつかれたらどうなるだろうか。なぐられるのか。離れていたとはいえアイツは足が速いからやっぱり追いつかれるだろうか、階段を上りきり、まだ距離はあるはずと踏んで振り返った瞬間に捕まっていた。
それも、おれが、振り返ったせいで、すぐ前に顔があった。どきっとした。
そこで俺は目が覚めた。
まさか高校生にもなって小学生の頃の、それも一番思い出したくもないかいとの思い出を、夢に見るなんて。
今日から地元では由緒ある高校、翠鳳高校の一年生としての日々が始まるというのに。幸先悪そうじゃないか。
スマートフォンの時計を見ると既に6時半を過ぎており、シャワーを浴びてから制服に着替えるとなると、もうそんなに時間がない。夢のことなんて後回しだ。早くシャワーを浴びて汗を流さなければ。
昨夜もシャワーを浴びていた為、ささっと頭と体をたっぷりの泡で洗い、脇は入念に。最後に顔を洗って少し生えてきたヒゲを剃ってもう一度シャワーで頭から爪先まで流してから浴室を出た。
もう一度時間を見る。この時点で7時を過ぎていた。一緒に行こうと約束した親友がもうすぐ家にやってくるはず。早く髪を乾かさなければ。そう思っていると、ようやく起きてきた妹が洗面所にやってきた。
「おにいパンツくらいさっさと履きなよ。」
まだ体を拭いている最中の俺に妹が言う。お前に恥じらいはないのか。
「いや、まだ体拭いてる最中だぞ!それよりお前はなんで入ってきてるんだよ!使用中にしたろうが!」
思春期成長期真っ只中の俺たち兄妹の為にと言っていいのか分からないが、俺が中学に上がる少し前に母さんがこの札を作ってくれた。特に、風呂上がりの俺と、起きたばかりの妹が洗面所出くわすとこうして喧嘩になるので、家族全員で使用中はなるべく入らない、入ったらさっさと用事を済ませて出る、を徹底していたはずなのに。
「おにいが出るの早いからじゃん。あたしは顔洗いに来ただけなのに。」
「いや、俺が出てるんだから終わって出るまで待てよ」
「やだよ。おにいムダにスキンケア長いじゃん。あたし早くご飯食べたいの!」
コイツは本当にムカつくやつだな。しかもなんだ!ムダにスキンケア長いって!アメリカ人の母さん譲りのこの顔なんだから全身ぴかぴかにした方がモテるだろ!モテる兄貴なんて誇らしいだろうが!
「この顔なんだから全身キレイにした方がモテるだろうが!」
「顔より性格だろ。おにいの顔がどれだけ良かったとしてもそのナルシーな性格ならモテるどころか敬遠しかされんわ!むしろ遠くからも見たくないわ!まじキモい。」
妹の言い草に腹が立ちつつもそろそろ準備を終わらせないと本当にまずい。
「あんたたちはまた!新は早く準備しなさい!20分には勝くん来るんでしょ!麗はもうご飯準備出来てるんだからさっさと顔洗う!」
まったくもう!と言いながら母さんが出て行ったので俺たちはそれぞれやるべき事を始めた。
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