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Ωになるということ
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数十秒後、マスクをした男女が部屋に入って来た。
「おはよう。と言っても今は夕方なんだけど、どうしてここにいるのか心当たりはあるかな?」
男性の言葉に頷いた。
「…たぶん、発情してたんですよね?」
「状況把握できてるようでよかった。君の名前は兼城新で合ってるかな?」
カルテの様なものを見せられて、おれの名前を指しながら呼ばれる。コクリと頷くと、男性はまた話し始めた。
「ひとまず、おめでとう。発情期を迎えられたΩの君の体は、立派な大人になった。これから沢山聞かなきゃいけないことや決めないといけないことがあるからよく聞いてね。」
「はい。」
「まず、君は発情期を迎えたのでαと番になれる。同意なく頸を噛まれない為にチョーカーをしよう。周りにΩだと知られたくなくても、望まない番契約にしない、させないためにもこれだけはしなければならないよ。」
そう言った男性は続けて学校をどうするかや、抑制剤の話をしてくれた。学校に関しては今すぐ決めなくてもいいとの事だったので、ひとまず通い続けることにした。抑制剤は合う薬が見つかるまでは突然の発情を防げなかったり、体調を崩しやすくなってしまったりなど様々な "問題" が出るそうだ。なので大変だが地道に探すしかないらしい。
「明日はご両親が入れる病棟に移れるから、今日はゆっくり休んでね。もう少ししたら夕食を持ってくるから、食べたらまた少し話そうか。」
そう言って男性は部屋から出て行った。女性はなぜ残っているのか疑問に思っていると、声をかけられた。
「兼城さん、私は佐藤といいます。カウンセラーのようなことをしています。発情は体が成熟した証でもありますから、それ自体はとてもおめでたいことなんですが、人によってはショックを受けてしまう方もいるんです。なのでそういった方の様々な感情をお聞きして、少しでも前向きに生きられるようにお手伝いするのが私の役目です。兼城さんは冷静に見えますが、きっと色々考えてますよね?なんでもいいですから、今兼城さんの思っていることを聞かせてくれませんか?」
混乱したままのおれは、どうにか言葉を紡いだ。
「えっと、混乱してます。両親はβなのに。おれだけΩって。」
思ったことをそのまま話してみると、意外にも自分がΩである事を受け入れていることに気づいた。混乱しているのはあくまで両親がβだからだった。β同士の子供にαやΩが生まれない訳じゃないことは知ってはいるが、確率としてはかなり低いことしか知らない。
「そうですね、β同士でも確率は低いけどαやΩが生まれる事は知ってますよね?詳しい事はまだわかっていないんですが、αになるホルモンとΩになるホルモンがあって、αやΩはそれが大人になるにつれて多く分泌されるようになることで分化が進む。これは高校生だし聞いた事あるんじゃないかな?」
「友達から聞いた事はあります。」
「そのホルモン自体は第二性関係なく持ってるものなんだけど、思春期になると周りからの影響が大きくなる事でホルモンを分泌する器官が刺激されて分化が進んでるんじゃないかと言われているの。だから、あなたは周りからの影響をたくさん受けて育った、とても優しい人なんですよ。」
そう言われてなんとなく腑に落ちた気がした。おれは良い影響だけを受けて育った訳じゃない。それでもおれは真っ直ぐ育った自負がある。それはきっと、おれは優しくなりたかったからだったんだ。それを今、優しい人だと言われて思い出すことが出来た。
「なんか、ちょっとすっきりしました。ありがとうございました。」
「良かったです。知らないって怖いことですから。また何かあったら相談してくださいね。」
そう言って佐藤さんは部屋から出て行った。その後数分して、夕飯が運ばれてきてからお腹が空いていた事を知った。それを食べ終えるとおれはまた寝てしまった。
朝7時に起こされ、朝ごはんを食べたら病棟を移ると説明された。朝ごはんは少し物足りなかったが、母さんが作るものとはまた違う美味しさがあったのでぺろっと食べ終えてから、看護師さんにチョーカーをつけられて病棟を移った。
「良かった。」
そう言って母さんが抱きついてきた。かなり心配していたのが分かるほど、うっすらとコケていた。
「おはよう。と言っても今は夕方なんだけど、どうしてここにいるのか心当たりはあるかな?」
男性の言葉に頷いた。
「…たぶん、発情してたんですよね?」
「状況把握できてるようでよかった。君の名前は兼城新で合ってるかな?」
カルテの様なものを見せられて、おれの名前を指しながら呼ばれる。コクリと頷くと、男性はまた話し始めた。
「ひとまず、おめでとう。発情期を迎えられたΩの君の体は、立派な大人になった。これから沢山聞かなきゃいけないことや決めないといけないことがあるからよく聞いてね。」
「はい。」
「まず、君は発情期を迎えたのでαと番になれる。同意なく頸を噛まれない為にチョーカーをしよう。周りにΩだと知られたくなくても、望まない番契約にしない、させないためにもこれだけはしなければならないよ。」
そう言った男性は続けて学校をどうするかや、抑制剤の話をしてくれた。学校に関しては今すぐ決めなくてもいいとの事だったので、ひとまず通い続けることにした。抑制剤は合う薬が見つかるまでは突然の発情を防げなかったり、体調を崩しやすくなってしまったりなど様々な "問題" が出るそうだ。なので大変だが地道に探すしかないらしい。
「明日はご両親が入れる病棟に移れるから、今日はゆっくり休んでね。もう少ししたら夕食を持ってくるから、食べたらまた少し話そうか。」
そう言って男性は部屋から出て行った。女性はなぜ残っているのか疑問に思っていると、声をかけられた。
「兼城さん、私は佐藤といいます。カウンセラーのようなことをしています。発情は体が成熟した証でもありますから、それ自体はとてもおめでたいことなんですが、人によってはショックを受けてしまう方もいるんです。なのでそういった方の様々な感情をお聞きして、少しでも前向きに生きられるようにお手伝いするのが私の役目です。兼城さんは冷静に見えますが、きっと色々考えてますよね?なんでもいいですから、今兼城さんの思っていることを聞かせてくれませんか?」
混乱したままのおれは、どうにか言葉を紡いだ。
「えっと、混乱してます。両親はβなのに。おれだけΩって。」
思ったことをそのまま話してみると、意外にも自分がΩである事を受け入れていることに気づいた。混乱しているのはあくまで両親がβだからだった。β同士の子供にαやΩが生まれない訳じゃないことは知ってはいるが、確率としてはかなり低いことしか知らない。
「そうですね、β同士でも確率は低いけどαやΩが生まれる事は知ってますよね?詳しい事はまだわかっていないんですが、αになるホルモンとΩになるホルモンがあって、αやΩはそれが大人になるにつれて多く分泌されるようになることで分化が進む。これは高校生だし聞いた事あるんじゃないかな?」
「友達から聞いた事はあります。」
「そのホルモン自体は第二性関係なく持ってるものなんだけど、思春期になると周りからの影響が大きくなる事でホルモンを分泌する器官が刺激されて分化が進んでるんじゃないかと言われているの。だから、あなたは周りからの影響をたくさん受けて育った、とても優しい人なんですよ。」
そう言われてなんとなく腑に落ちた気がした。おれは良い影響だけを受けて育った訳じゃない。それでもおれは真っ直ぐ育った自負がある。それはきっと、おれは優しくなりたかったからだったんだ。それを今、優しい人だと言われて思い出すことが出来た。
「なんか、ちょっとすっきりしました。ありがとうございました。」
「良かったです。知らないって怖いことですから。また何かあったら相談してくださいね。」
そう言って佐藤さんは部屋から出て行った。その後数分して、夕飯が運ばれてきてからお腹が空いていた事を知った。それを食べ終えるとおれはまた寝てしまった。
朝7時に起こされ、朝ごはんを食べたら病棟を移ると説明された。朝ごはんは少し物足りなかったが、母さんが作るものとはまた違う美味しさがあったのでぺろっと食べ終えてから、看護師さんにチョーカーをつけられて病棟を移った。
「良かった。」
そう言って母さんが抱きついてきた。かなり心配していたのが分かるほど、うっすらとコケていた。
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