いなくなった伯爵令嬢の代わりとして育てられました。本物が見つかって今度は彼女の婚約者だった辺境伯様に嫁ぎます。

りつ

文字の大きさ
9 / 28

9、初夜*

しおりを挟む
「マリア……」

 僅かな間を置いたのち、ジークハルトがマリアを強く抱きしめた。驚く彼女の顔を上げさせ、口づけする。今までとは違うどこか切羽詰まったものを感じた。唇を何度も性急に触れ合わせて、息継ぎするために開いた口の隙間から舌が入ってきたので、マリアは身体を強張らせた。

「ふ……んんっ……」

 身を引こうとするマリアに、ジークハルトがあやすように背中を撫でてくる。

 自分の舌と彼の舌が触れ合うのが恥ずかしく、舌を引っ込ませようとするが、すぐに彼に捕まえられて咥内をねっとりと舐め回された。

「んっ――ふ、ぁ……はぁ……はぁ……っ」

 ようやく口が離れると、マリアは頭がぼうっとしたままジークハルトに抱き上げられた。寝台へ連れて行かれて優しく寝かされると、彼に覆い被されてまた口を塞がれる。

 苦しくてマリアの目に涙が浮かぶと、ジークハルトが顔を離して指で拭った。

「すまない。苦しかったか」
「ぁ……いえ、だいじょうぶ、です……」

 息も絶え絶えに述べたところで説得力はない。ジークハルトも苦笑いして、すまないとマリアの髪を撫でながらもう一度謝った。

「ゆっくりするから」

 そう宣言すると、涙で濡れた目元や頬に口づけを落としていく。何だかくすぐったくて顔を背けると、今度は首筋に触れられた。

「あ……」

 舌先で舐められて、びくっと身体が震えてしまう。するとジークハルトに頭を撫でられて、謝るように唇の端にキスされた。

 何だか動物の親が子にする仕草に思われて、マリアは少しおかしかった。でも実際そのお陰で少し落ち着いて、身体の力を抜くことができた気がした。

 マリアがそうなるのを待っていたのか、首筋に顔を埋めていたジークハルトはマリアの腕を撫でて胸へと触れた。柔らかな膨らみの大きさを確かめるように掌で包み込まれて、下から掬い上げられる。

 羞恥心に襲われて、自然と掌を彼の手の甲に重ねていた。

「痛いか?」

 小さく首を振る。痛いわけではなかった。

 恥ずかしいからあまり触らないでほしい。そう伝えていいか迷った。閨事はすべて殿方に任せておくようヨゼフィーネから言いつけられており、また彼に自分を求めてほしいと願ったからにはすべてを差し出さなければと思ったのだ。

「少し、くすぐったいだけ、です……続けてください」

 ジークハルトの目を見つめ返しながら頼んだ。

「……わかった」

 ジークハルトはマリアの許可を得て胸への愛撫を再開した。コルセットをつけていないので彼の手の感触をはっきり感じ、お椀型の乳房が形を変えていくのがよくわかった。見ていると変な気持ちになってくるので目を瞑り、声を出さぬよう我慢した。

 ジークハルトは胸を優しく揉んでいたが、腰や太股も撫で始めたので声が出そうになる。

「っ……はぁ……」

 ぴくぴくと反応しながらやり過ごし、大げさに思われない程度に身を捩っていると、夜着の裾が捲れていった。でもマリアは頑なに目を閉じていたので気づかなかった。声を抑えるのに必死でそれどころではなかったのだ。

「……マリア。服を脱がせてもいいか」
「っ……は、はい」

 ついそう返事したが、もう? と思ったマリアはうっすらと目を開ける。

 そんなに激しい動きはしていないのに息が微かに上がっていた。身体も熱い。胸を上下させながらジークハルトを見上げると、彼もまた先ほどと様子が違っているように見えた。

「ジーク、ハルト様……」

 何となく名前を呼べば、身を屈めた彼に口づけされる。間近で見る琥珀色の瞳は熱を持っていた。

 彼の眼差しにマリアの心臓も早鐘を打ち、目をそっと伏せた。

 夜着はリボンを解くと前が開く形になっている。本来ならこの下にシュミーズなどの下着を着るのだが、今日は初夜だからとメイドたちはあえて着せなかった。ウエディングドレスと同じ白色の紐をジークハルトの節くれだった太い指がゆっくりと解いていく。

 胸や太股、ドロワーズを穿いているとはいえ、大事なところも露わになり、マリアは羞恥に耐えるよう手を強く握りしめた。

 ジークハルトの掌が肌に直接触れて、は、と息を吐く。

 胸の膨らみにかかっている布地が払われて、視線を注がれる。ずっと見ているだけで何もされないので、ひょっとすると自分の乳房は他の女性と違うのではないか。

 マリアが気になって、シーツを握りしめていた手で胸を隠そうとしたところで、ジークハルトが胸を揉んできた。それだけでなく、身を屈めて膨らみに口づけしてきたので内心慌てる。

「ジーク、ぁ、んっ……」

 顔にもされたが、胸は何だか卑猥だ。

(恥ずかしい……)

 ジークハルトはわりと執拗に胸を愛撫し続けた。自分よりも年上かつ大人の男性である彼が舌を伸ばして舐めている姿は居たたまれない気持ちになる。

「ん……んっ……」

 舌先で丹念に舐められていくと、やがて平らな膨らみの先端が硬く尖ってきた。ジークハルトはそこに狙いを定めたように舌で懇ろに舐め回してくる。

(そんなに、舐めるの……?)

 マリアの息は乱れて、太股を擦りつけた。少しだけ、待ってほしい。そう思った時。

「あ、ん……」

 舐めていただけのジークハルトが突然強く吸ったのだ。まるで赤子のように。

 赤子に吸われても母親が決して抱かない気持ちをマリアは抱いてしまい、動揺した。

 混乱し始めるマリアを置き去りにしたまま、ジークハルトはさらに吸い上げて、舐めていく。マリアが声を抑えきれなくなるにつれて、舌は生き物のように動きを速めた。

「はぁ、待って、あ、んっ、ジークハルト、さま……っ」

 切羽詰まった声でマリアがジークハルトの肩を押すと、彼はようやく舐めるのをやめて顔を上げてくれた。彼の唾液で乳輪や蕾がてらてらと濡れて光っており、マリアは頬を染めた。

「どうした。痛かったか?」
「い、痛くはありません。でも、そんなにたくさん舐められたら……」

 おかしな気持ちになってしまう、と蚊の鳴くような声で白状した。
 ジークハルトは目元を和らげ、優しい声で答えた。

「おかしな気持ちになっていいんだ。俺も安心する」
「そう、なんですの?」
「ああ。初めてのことで慣れないかもしれないが、怖がらず受け入れてほしい」
「……わかりました。でも、もう、胸は十分ですから」

 もしかするとジークハルトはマリアが何も言わないから満足していないと思い、あんなに舐めたり吸ったりしたのではないか。

 そう思ったマリアがきちんと述べると、くすりと笑われる。

「では、下を触ってもいいかな」

 太股を撫でられて、びくりとする。

 ドロワーズは股の部分を縫い合わせておらず、ジークハルトが手を侵入させても拒めなかった。それでも行き止まりである部位を触られると、怖いと思った。

「マリア、大丈夫だ」

 マリアはしばらくジークハルトを不安な瞳で見つめていたが、やがてこくんと頷く。

 許可を得た彼の指がゆっくりとマリアの陰部を撫でていく。どうしても緊張して身を硬くしていたからか、ジークハルトが身を屈めて口づけしたり、もう十分だと教えた胸の愛撫を繰り返した。

 これは意味があることなのか、頑なに閉じられていた花びらが時間をかけてゆっくりと綻んでいき、微かな水音も聞こえてきた。

「マリア、指を入れるよ」
「はい……」

 マリアは脚を閉じたいのを我慢して、ジークハルトの指を受け入れる。

 濡れているお陰で痛みは感じないが、くちゅくちゅと聞こえてくる音に腰や尻を揺らしてしまう。

(男女の交わりが、こんなに恥ずかしいなんて……)

 何だか自分ばかり曝け出しているようで、少し不公平さを覚える。

 気を紛らわせるためにそんなことを考えていたマリアだが、その間にもジークハルトの指は中に馴染もうと居座り続け、やがてゆっくりと動き始めた。動くと言っても、内側にほんの少し曲げて中を揺らすように振動を与えるだけなのだが……。

「ふ、ぅ……ん……んっ」

 次第にもどかしいような、掻痒感に似た症状を抱く。

「はぁ、ジークハルト様、わたし、何だかおかしく、なりそうです」
「それでいいんだ」

 ぴちゃぴちゃと恥ずかしい音を立てながらジークハルトが言う。

 それでもマリアが不安そうな顔をしていたから、彼は指を抜いて、また蜜口をなぞりはじめた。彼の指はマリアの蜜で濡れており、最初とは違う感じがする。

「ん、んっ……ぁ、そこっ」

 触れる場所も花びらだけでなく、どちらかというと小さな蕾を重点的に弄ってくる。

「ここは嫌か?」
「んっ、だめ、じゃない、です、でも、あっ……」

 なぜかみだりがましい気持ちになってくる。直接見てはいないが、突起も大きく膨らんでいる気がする。マリアの心に反応するように。

「ジークハルト様、待って、怖い」

 追いつめられるようで、何かがきそうで、マリアはジークハルトの腕を掴んだ。彼はやめてくれず、むしろ先ほどよりも押しつぶすようにして蕾に刺激を与えてくる。

「あっ、やだっ、だめっ」
「そのまま受け入れて」
「ん、んっ……っ――……」

 マリアはとっさに口元を手で押さえて腰を浮かせた。ピンと脚が伸びてつりそうなほど力が入る。

 限界まで到達し、次第にゆっくりと張りつめた筋肉が弛緩していく。とても疲れてしまって、マリアはそのままぐったりと寝台に沈んだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

三年の想いは小瓶の中に

月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。 ※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。

夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い

青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。 神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。 もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。 生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。 過去世と同じ轍を踏みたくない……

つまらない妃と呼ばれた日

柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。 舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。 さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。 リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。 ――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。

で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?

Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。 簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。 一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。 ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。 そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。 オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。 オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。 「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」 「はい?」 ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。 *--*--* 覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾ ★全31話7時19時更新で、全話予約投稿済みです。 ★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓ このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。 第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」 第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」 第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」 どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ もしよかったら宜しくお願いしますね!

侯爵家の婚約者

やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。 7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。 その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。 カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。 家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。 だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。 17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。 そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。 全86話+番外編の予定

本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました

音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。 ____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。 だから私は決めている。 この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。 彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。 ……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。

捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。

蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。 これで、貴方も私も自由です。 ……だから、もういいですよね? 私も、自由にして……。 5年後。 私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、 親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、 今日も幸せに子育てをしています。 だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。 私のことは忘れて……。 これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。 はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

処理中です...