いなくなった伯爵令嬢の代わりとして育てられました。本物が見つかって今度は彼女の婚約者だった辺境伯様に嫁ぎます。

りつ

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13、躊躇い*

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 マリアは辺境伯夫人として少しずつ仕事を教えてもらいながらこなす日々を送っている。

 ジークハルトだけでなく、使用人たちもみな優しく、騎士団の団員とすれ違うと礼儀正しく接してくれる。

 ラウルだけはどこか軽薄さを感じるものの、接しているうちにあえてそんなふうに振る舞っているのではないかと思うようになった。

 特にジークハルトへの気安い態度は一見不敬に見えるが、彼が話しかけるとジークハルトの表情が幾分か和らぐのだ。マリアは自分ではそんなふうにできないだろうなと少し悔しく思った。

 そんなジークハルトには身の回りの世話する従者の他に、まだ少年と言える騎士見習いの子どもたちが就いていた。従者の補佐といった感じで、ジークハルトをそばで見て騎士という存在を学ぶためでもあるらしい。

「アルミンとヴィリーだ」

 アルミンは茶髪に青い目をしていた。ヴィリーは赤髪で少しつり目の緑の瞳。

 どちらも観察するように、警戒心を滲ませてマリアをじっと見上げていた。

「初めまして、マリアです。よろしくね」

 腰を屈めて同じ目線で挨拶すると、二人はなぜか動揺した様子でサッと目を逸らした。

 マリアは怖がらせてしまっただろうかとさらに優しい言葉をかけたが、彼らはもごもごと返事して目も合わなかった。

「お前たち、なんだその態度は。人と接する時は、まず挨拶が何より大事だと教えただろう?」
「だって……なぁ?」
「うん」

 二人はなぜか少し頬や耳を赤くしてマリアをちらりと見ると、またすぐに違う方を見た。

「まったく……。マリア、二人とも恥ずかしがっているみたいだ」

 ジークハルトに呆れた様子で今後はしっかり挨拶するよう注意されて、アルミンとヴィリーはぎこちなく返事した。

 ジークハルトの言う通りまだ初対面なので慣れていないだけだろうと思って、その後もマリアは顔を合わせる度に根気強く二人に話しかけてみた。

「ジークハルト様に剣の稽古をつけてもらったのね? 二人ともまだ小さいのにすごいのね」
「別に。もう、小さくないし……」
「あっ、ごめんなさい。そういう意味じゃなくて……えっと、やっぱり、騎士団の一員なんだなと思って、関心したの」
「えっと、ありがとうございます。あの……ごめんなさい、僕たちジークハルト様に呼ばれているので、これで失礼します」

 しかしやはり二人の態度は余所余所しいままであった。むしろ恥じらいが薄れて、そっけない態度に変わったように思う。

(嫌われているのかしら……)

 孤児院ではそれなりに子どもたちに好かれていると思っていただけに、マリアは内心ショックだった。

(仲良くなるには、どうしたらいいのかしら)

 一緒に遊んだら仲良くなれるだろうか。でもあまり構い過ぎては嫌われるかもしれない。

 マリアはジークハルトに相談しようかとも思ったが、こちらはこちらで誰にも相談できない悩みを抱えていた。

     ◇

「――んっ……」

 夜。寝室の寝台で、マリアは大きく足を開く格好にさせられて、口元を掌で覆っていた。股の間にはジークハルトが居座っており、身を屈めてマリアの秘所を舌で舐めていた。

(やっぱりこんなの、恥ずかしい)

「はぁ、ジークハルト、さま……もう、いいです、あ、んっ、もう、十分、ですから……っ」
「いや、まだだ……十分解しておかないと、んっ、あなたに、痛い思いをさせてしまう」

 舐めながら話すので彼の吐息が濡れそぼった花びらに吹きかけられ、びくびく反応してしまう。

 何とか無事に初夜を終えたマリアだが、それ一回きりというわけではなかった。

 もちろん跡継ぎを作るには何度か身体を重ねる必要があるだろうと思っていたが、いざジークハルトから「今夜いいだろうか?」と面と向かって訊かれると顔を赤くしてしまった。

 マリアにジークハルトを拒む理由はなく、彼に組み敷かれて優しく抱かれた。

 そう、優しく。決してマリアが痛くないように……。

「あっ、また、いっちゃ」
「いいよ。いきなさい」
「ん、んんっ――……」

 花芽をじゅっと強く吸われた瞬間、マリアは腰を浮かせて高みに昇った。

「今度は指を入れるからな」
「あぁ、だめぇ……」

 ジークハルトは太い指を一本入れて、中をかき混ぜていく。じゅぶじゅぶと淫らな音を容赦なく響かせて耳まで犯す。達したばかりの身体には強すぎる刺激だ。

「あぁっ、あっ……」

 彼が舐めさせてくれと言い出した時、マリアは一瞬何を言っているかわからなかった。まさか不浄の場所を舌で愛撫するなんて……そんな破廉恥なこと無理だと泣きそうな心地で首を振っていた。

 しかし意外にもジークハルトは諦めず、これは決して恥ずかしいことではない、夫婦として普通のことだとマリアを説得しようと言葉を重ねた。

 それでもマリアはジークハルトにそんな犬のような真似をさせるのは申し訳なくて頷けなかったのだが、「あなたが気持ちよくなってくれると、俺も嬉しいから」と懇願するように言われて結局受け入れてしまった。

「んっ、はぁ……あぁ、ジークハルトさまぁ……」

 トントンと優しくお腹の裏側を押し上げられてきゅうきゅうとマリアは彼の指を咥えてしまう。

 身をくねらせて彼の腕にすがりつき、もうやめてと懇願するように見つめる。

「可愛いよ、マリア」

 可愛くない。だらしない顔で声を上げてみっともない。だめだと思いながらジークハルトの指を離したくないと舐めしゃぶっている。

 ふしだらな女だと思われないか、マリアは怯えながら背中を反らし、また果てた。

「はぁ、はぁ……」
「すまない。少し、やりすぎた」

 マリアは上気した熱を覚ますようにシーツに頬を押しつけて、小さく首を振る。

「いいん、です。でも、わたしばかり、だから……ジークハルト様にも……」

 気持ちよくなってほしい。

 マリアが掠れた声で促せば、ジークハルトが覆い被さって口づけしてきた。まだ息が整っていない状態で交わす口づけは苦しかったが、彼の舌に自分の舌を絡ませて懸命に応える。おずおずと吸い返したりすると、ジークハルトはさらに激しく咥内を貪ってきた。

「んっ、んぅ……っ」

 夢中で応えていると、蜜口にぐちゅりと彼の昂った雄茎を感じる。そしてそのままずぶりと中へ入ってきた。

「っ――は、ぁ……」

 何度目であろうが、やはり挿入の瞬間は苦しい。マリアは眉根を寄せて喘いだ。

 そんな彼女の苦痛を少しでも和らげるようにジークハルトは顔や首筋に次々とキスを落としていき、胸を揉んでくる。優しく、マリアが感じる触れ方だった。

 身体の力が抜けてくると挿入がぐっと深くなり、馴染ませるようにしばらくじっとする。

 何もしない間でもマリアは硬い熱杭で蜜壁を擦られているような気になり、自然と愛液を零して絡みついていた。

「あぁ、マリア……きつい……」

 ジークハルトが苦しそうな、しかし快感を滲ませたような声でマリアの名前を呼ぶと、彼女は混乱してますます締めつけてしまう。ジークハルトがまた呻き、熱っぽく息を吐いた。

 これ以上彼を苦しませたくないのにマリアはどうしていいかわからない。ただこういう時、ジークハルトは必ず動き始めてもいいか尋ねてくる。動いていると、苦痛が和らぐようだ。

「ジークハルトさ、ま、動いて、ください……」

 だからマリアは自分からそう頼んだ。
 ジークハルトは眉間に皺を寄せて息を吐いたあと、身を起こして、慎重に腰を動かし始める。

(ああ、ジークハルト様の、すごく大きい……)

 マリアは浅い息をしながら自分の中にいるジークハルトの存在を強く感じる。

「んっ」
「ここ、気持ちいいか?」
「わ、わからないです、でも、声が、ぁっ、あっ」
「気持ちいい、みたいだな」

 マリアが少しでも反応した場所を見逃さず、ジークハルトはじっくりと重点的に攻めてきた。

 律動の激しさに胸が揺れて、ジークハルトが食い入るように見つめてくる。

「あっ、ジークハルト様、あんまり、見ないでっ」
「それは無理、だっ」
「あぁっ……」

 さらに奥を突かれてマリアは涙目になる。

「マリア、はぁっ、もう、いきそうだっ」
「あっ、はいっ、いって、ください、中に、んっ」

 ジークハルトががばりと覆い被さってきて胸を押しつぶし、マリアの口を塞ぐ。

「マリア、好きだ、あなたも、一緒にっ」
「はぁ、ぁっ、あっ……んっ、んんっ――……」

 マリアはジークハルトの気持ちに応えたかったが、彼の揺さぶりに心が追いつかぬまま、彼の射精を受け止めていた。どくどくと注がれる熱と、尖りきった蕾にぐっと恥骨が押し付けられる感覚でマリアもびくびくと震えて蜜をどっと溢れさせた。

「ん……ジーク、ハルトさま……」
「マリア?」

 ジークハルトはマリアが達した余韻で目を潤ませているだけだと思ったようだ。

 しかし本気で泣いていることに気づくと、慌て始めた。

「どうした、痛かったか!?」

 小さく首を横に振って、ジークハルトに謝る。

「ごめんなさい、うまく、できなくて……」

 ジークハルトは一緒に、と言った。そして中で達することを望んでいた。そのために彼はいつも念入りに自分の身体を愛撫するのだから。

 でも、マリアは毎回ジークハルトの期待に応えることができずにいた。秘所を舐められて花芽を弄られるとすぐに達するのだが、中では上手く果てることができない。

 マリアはそれがいつも申し訳なかった。

「ごめんなさい、今度は、頑張りますから……」
「マリア……」

 ジークハルトは呆然とマリアの告白を聞いていたが、泣いている彼女の隣に寝転び、自身の胸の中に閉じ込めるように抱きしめてきた。

「謝る必要なんて全くない」
「でも」
「まだ上手くいけないのは、マリアの身体がこの行為に慣れていないからだ。初めてだから当然だ。それに、俺が下手だからだろう」
「そんなっ、ジークハルト様はいつもたくさんわたしを気持ちよくしてくれています!」
「そ、そうか?」
「はい」

 口にして、とても恥ずかしいことを言ってしまったと顔が熱くなる。

 でも、ジークハルトに勘違いしてほしくなかった。

「なら、俺のが大きいから、あなたの身体がまだ驚いてしまうのだろう」

 仕方がないことだと、ジークハルトはマリアの涙を拭って慰めた。

(わたしはジークハルト様のことを受け入れたいと思っているのに……)

 それとも、まだ心のどこかで躊躇いがあるのだろうか。

 こんなに優しく接してもらっているのにヒルデの身代わりだという意識が消えないでいるから、身体も拒んでしまうのか……。

 落ち込むマリアにジークハルトがすまなそうに謝ってきた。

「俺が一緒に、なんて言ってしまったから気にしたんだな。すまない。マリアを抱いているとつい興奮してしまって、勢いが止まらなくなるから……あまり気にしないでほしい」

 マリアは首を横に振ってジークハルトの胸に顔を寄せた。

(わたしもジークハルト様と一緒に……)

 でもそれを伝える資格が自分にあるのか自信がなくてマリアはジークハルトの温もりに逃げた。

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