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第7章
第2話(5)
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「いいも悪いもないです。そうしなきゃ、いけないから」
「なぜ?」
「だって僕は――僕みたいな人間は、アルフさんに相応しくない」
莉音の言葉に一瞬押し黙った早瀬は、やがて小さく息をついた。
「ではお尋ねしますが、彼に相応しい人間というのは具体的にどんな人なんでしょう。女性であるとか、おなじように豊かな財力と社会的地位を備えているとか、高学歴で知性と教養があるとか、そういうことですか?」
畳みかけるように早瀬は尋ねてくる。脳裡に浮かぶのは、美しい金髪の女性。けれども、莉音はなにも言うことができなかった。
「仮にそういった条件をすべてクリアして、彼に釣り合う相手が現れたとして、その相手を少しも好きではなかったり、ともにいて、なんらやすらぎを得られないような場合であっても、相応しい相手でさえあるなら彼は幸せになれるんでしょうかね?」
「それは……。でも……」
容赦のない早瀬の追及に、莉音は追いつめられていく。
「互いに想い合う気持ち以上に、相応しいとか相応しくないとか、ありますか? そこまでつらい思いをして繋がりを断ち切ろうとすることは、正しい判断なんでしょうか?」
けれど、と莉音は思う。思い浮かぶのは、やはりあのときの女性で、その影をどうしても頭から追い払うことができない。
ヴィンセントは、彼の住む世界で肩を並べて歩くのに相応しい彼女を婚約者として選んでいた。あとから割りこんだのは、あきらかに自分なのだ。
ヴィンセントから彼女の話を聞いたことは一度もなかった。だから彼が、彼女をどう思っているのかは莉音にはわからない。だが彼女は……。
『ドルボッ、ネッコッ』
自分に向けた彼女の眼差しが、ヴィンセントに対する想いをなにより明確に物語っていた。
割りこんで、彼女から彼を奪おうとしたのは間違いなく自分のほうなのだ。その行為が正しくないことだけはわかる。
早瀬の言葉に、莉音は最後までなにも答えることができなかった。
「なぜ?」
「だって僕は――僕みたいな人間は、アルフさんに相応しくない」
莉音の言葉に一瞬押し黙った早瀬は、やがて小さく息をついた。
「ではお尋ねしますが、彼に相応しい人間というのは具体的にどんな人なんでしょう。女性であるとか、おなじように豊かな財力と社会的地位を備えているとか、高学歴で知性と教養があるとか、そういうことですか?」
畳みかけるように早瀬は尋ねてくる。脳裡に浮かぶのは、美しい金髪の女性。けれども、莉音はなにも言うことができなかった。
「仮にそういった条件をすべてクリアして、彼に釣り合う相手が現れたとして、その相手を少しも好きではなかったり、ともにいて、なんらやすらぎを得られないような場合であっても、相応しい相手でさえあるなら彼は幸せになれるんでしょうかね?」
「それは……。でも……」
容赦のない早瀬の追及に、莉音は追いつめられていく。
「互いに想い合う気持ち以上に、相応しいとか相応しくないとか、ありますか? そこまでつらい思いをして繋がりを断ち切ろうとすることは、正しい判断なんでしょうか?」
けれど、と莉音は思う。思い浮かぶのは、やはりあのときの女性で、その影をどうしても頭から追い払うことができない。
ヴィンセントは、彼の住む世界で肩を並べて歩くのに相応しい彼女を婚約者として選んでいた。あとから割りこんだのは、あきらかに自分なのだ。
ヴィンセントから彼女の話を聞いたことは一度もなかった。だから彼が、彼女をどう思っているのかは莉音にはわからない。だが彼女は……。
『ドルボッ、ネッコッ』
自分に向けた彼女の眼差しが、ヴィンセントに対する想いをなにより明確に物語っていた。
割りこんで、彼女から彼を奪おうとしたのは間違いなく自分のほうなのだ。その行為が正しくないことだけはわかる。
早瀬の言葉に、莉音は最後までなにも答えることができなかった。
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