【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「……確かモンドラコ山の山中にある村だったわね?」
「ーーああ、そうだな」

 リエンヌの質問に、サージュは手元の資料に視線を落としながら頷いた。

「ならリアーヌ、さっき言ってた夏に花を咲かせる花や、紅葉が綺麗な木、花園に置けそうな植物、見つけてきてちょうだい」
「ちゃんと育つかなぁ?」

 幼い頃は近くの山に出入りしていたリアーヌは知っていた。
 植物の中には、どんなに力強く生えていたとしても植え替えた途端に枯れてしまうものがあることを。
 そして、前世での知識で知っていた。
 山と王都では、気候や温度や湿度、環境がまったく違ってしまうということを。

「育てば儲けたものよ。 ーーだってラッフィナート男爵の領土なのよ? きっと格安で売っていただけるわぁー」

 リエンヌはそういうと、ヴァルムと話し合っているゼクスの横顔にイタズラっぽい顔つきで言った。

「ーー……格安で売らせていただきますとも」

 話し合っていたとはいえ、その言葉が聞こえないはずもなく、ゼクスは苦笑いを浮かべながらリエンヌに向き直って恭しく頭を下げた。

「まぁ、お優しいこと!」

 望んでいた通りの答えが返ってきて、リエンヌは上機嫌に手を叩いた。

(いや、絶対今言わせたよね……?)

 お金のことになるととたんに強引になる母に呆れたような微笑みを浮かべたリアーヌは少し後ろを振り返りザームに向かって肩をすくめて見せた。
 そんな姉にザームはそっくりな仕草で返すのだった。

 その後も、ゼクスを交え緩いお喋りをしたり、会話の途中に商談が挟まったり……と、気がついた時にはもう少しで夕飯の時間となっていた。
 この日、ゼクスはボスハウト子爵夫妻がディナーに招いた最初の客人となったのだったーー

 ディナーとは言っても、かなり庶民的な食事だったことや、ゼクスと両親たちもだいぶ打ち解けていたことから、会話も弾み大変に楽しい食事会となった。

 なったが故に、ゼクスが帰り際に言った決まり文句にリアーヌは絶望することになる。

『本日は心尽しのおもてなしをありがとうございました。 もし宜しければ今度は我が家へお越しください』

(たくさんご馳走になったから今度はうちに招待しますね! ってのが、一般的な決まり文句だったとしても、私にとっては嫌がらせ以外の何者でもない言葉なので、是非とも考え直してはいただけませんかねぇ……? ーーああ……ヴァルムさんとコレットさんが目配せし合ってるもの……絶対に特訓が始まっちゃう時の気配だもの……)

 ーーこのリアーヌの予感は、見事に的中することになり、変則的な婚約を果たしたボスハウト家、ラッフィナート家の家族が一堂に会することが決まったのだったーー
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