【完結】成り上がり令嬢暴走日記!

笹乃笹世

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「……だってパンもらっても売れないだろ? 代官に商人の真似事をさせるわけにはいかないし……そもそも代官からパンを買おうって人もそういないだろうし……」
「……でも労働納税者にはご飯を出すじゃないですか……?」
「ーー出すね?」
「……経費削減になると思いますけど⁇」
「ーーなるね⁇ ……まぁ、要相談で場合によってはパンでも可ーーぐらいに考えておいて」

 ゼクスは素早く頭の中で計算を始め、季節や時期によっては労働納税自体がなくなる可能性を考え、保険をかけるようにパン屋の男性に向かって声をかけた。

「ーー鍛冶屋や雑貨屋はなにを……?」

 村人たちからの視線を受け、ディーターが再び質問を口にする。
 その質問に少し考えたゼクスはリアーヌに向かって「どう思う?」とさりげなさを装ってたずねた。

「……基本、その辺りは代官さんが欲しがるもので良いのでは?」
「……代官が欲しがるもの?」
「労働納税に必要ならスコップにツルハシ、紙やペンにインクなんかの日用品はいくらあっても困りませんよね?」
「ーー経費削減か」
「……削減になりませんかね?」
「いや、買わずに済むならそれに越したことは無いね」

(ーーなんたってこの土地だからな……ここまで運ぶ手間や料金を考えたら、物納のほうがいいまである……)

 頭の中でそろばんを弾きながら、ゼクスは上機嫌で答えた。

「ーーなにをどの程度物納するかは、代官同席でもう一度相談させてもらうってことで良いかな?」
「……うちの品物でよろしいんですかね……?」

 一人の女性がおどおどと手を挙げながら質問を口にした。
 その言葉と様子から、ゼクスは彼女が村人に売るような質のものを代官に渡していいのか……? と迷っているのだと理解できた。

(ーー分かる。 俺も貴族の「そちら側で適当に見繕ってくれ」とかいう注文が一番恐ろしい……あいつら予算すら言わねぇくせに、安すぎても不機嫌になるんだぜ……)

「物納してもらう品物を実際に見てから決めましょう。 こちらもある程度の体裁を整える必要があります。 日用品言ってもある程度の質は求めますので……ーー本当にある程度なんですけどねー」
 
 ゼクスはそう言いながら肩をすくめ、眉を下げながら微笑んで見せる。
 雑貨屋の女性はそんなゼクスに、大きく頷きながらホッとしたように胸を撫で下ろしていた。

「ーーじゃ、最後に果物と薪の話を詰めましょうか。 ……どれをどの程度、のような具体的な希望はありますか?」

 最後、と言いながらゼクスは気合を入れるように背筋を伸ばし、ディーターたちに向かって声をかけた。
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