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「ーーそれに今日はちょっと予定が押してるから……そんなことしてると、本当にスフレが食べられずに帰ることになるかも……」
「それは……」
自分の言葉に悲しそうな表情になったリアーヌを安心させるように微笑みながらゼクスは更に言葉を重ねた。
「ーーこれってすごい偶然なんだけどね? あの店、うちとやりとりがある店でね? だからその繋がりでそれとなく確認してみるよ。 更生してればそれでおしまいだし、騙されそうになってたなら、きっとそれで対処できると思う」
「ーーなら安心ですね⁉︎」
「うん。 だから安心してスフレ食べに行こう?」
「はい! ーーあ、あの二人の手口はナンパを装って品物なんかを売りつける、デート商法ってヤツです! ってことも伝えてあげてください!」
「ーー分かったよ」
そう答えながらゼクスは心の中で(なるほど……? 君の中ではそういう話になってたんだね……?)と考えながら、。リアーヌの隣を歩いていく。
一瞬目があった騎士は、ゼクスがリアーヌになにかを仕掛けたのではないか? と疑っていたようだったが、その考えをリアーヌに告げることはないだろうと、胸を張って堂々と歩き続けた。
「ーーそういえばもうすぐいっぱいになっちゃいますね?」
スフレを堪能し、馬車に戻るまでの帰り道。
リアーヌは文具店のガラス窓の向こうに並んだスクラップブックを見つめ、思い出したように言った。
リアーヌとゼクスが交換しているスクラップブックの台紙の残り枚数があと少しで終わってしまうことを思い出したのだ。
(一旦バラバラにすれば、中の台紙を増やすことも出来るけどーー……なぜか最近のトレンドは『私たち今三冊目なの!』『凄いわね! 私たちはまだ二冊目なの』とかいう、どれだけ多くスクラップブックを交換しあったか? だからなぁ……ーーそのために最近の人気は小さくて台紙の数が少ないヤツらしいし……)
「ーーまだ無くならないから、また後で選ぼう?」
「え……でも、ここーー」
売ってますけど? という言葉をリアーヌが発する前にゼクスが遮るように言葉を続ける。
「俺に他の店で買ったスクラップブック持ち歩けって言ってる? 学園近くの店なんか、ほぼスクラップブック専門店みたいな品揃えしてるのに⁇」
「ーー考え無しでした……」
「分かってもらえたらそれでいいよ。 明日の放課後でも買いに行く?」
「はい!」
「……ーーこれから先も俺と何冊も何冊も交換し続けてくれる?」
「……いいですけど?」
「ーー……これからたくさん、色々なところに行ったり、一緒に楽しいことしたりして、たくさんの思い出を作っていきたいんだ。 リアーヌと」
◆
ゼクスはスクラップブックを絡め、甘い言葉をかけていた。
リアーヌはいまだにキョトンと首を傾げていたが、それをすぐそばで聞いていた騎士たちは、無表情を貫きながらも口をもにゅっと動かし、甘酸っぱい空気をやり過ごそうとしていたので、ゼクスの伝え方には問題が無いようだった。
「ーーああ! はい! これからもたくさん美味しいもの食べに行きましょうね!」
「うん。 それだけじゃなくてね……?」
「ーーあっ アウセレですか⁉︎ そうですよね! あそこの料理美味しいですもんね」
「ーーうん。 リアーヌが好きなもの、一緒にたくさん食べに行こうね?」
諦めたようにニコリと微笑んだゼクスの耳には「ーーはい!」というリアーヌの嬉しそうな元気な返事と、くふ……という騎士たちの噛み殺したような笑い声が聞こえていたのだったーー
しかしリアーヌの笑顔を見つめ返すゼクスの顔は幸せそうで、そのまま楽しそうに寄り添いながら馬車まで歩いていく。
ーー運命的な出会いでもなく、物語のような恋でも無かったのかもしれない。
打算も多々含まれた縁組で……真実の愛とは呼べない婚姻なのかもしれない。
しかしーーこの二人は、お互いが相手だったからこそ、いつでも自分らしく自然体でいられるのだろう。
そして、それを“幸せ”と呼ぶのなら、
『それから二人は、ずっと幸せに暮らしましたとさ』
なんて、物語のような言葉で締め括られる人生か待っているに違いないーー
めでたし、めでたし♡
「それは……」
自分の言葉に悲しそうな表情になったリアーヌを安心させるように微笑みながらゼクスは更に言葉を重ねた。
「ーーこれってすごい偶然なんだけどね? あの店、うちとやりとりがある店でね? だからその繋がりでそれとなく確認してみるよ。 更生してればそれでおしまいだし、騙されそうになってたなら、きっとそれで対処できると思う」
「ーーなら安心ですね⁉︎」
「うん。 だから安心してスフレ食べに行こう?」
「はい! ーーあ、あの二人の手口はナンパを装って品物なんかを売りつける、デート商法ってヤツです! ってことも伝えてあげてください!」
「ーー分かったよ」
そう答えながらゼクスは心の中で(なるほど……? 君の中ではそういう話になってたんだね……?)と考えながら、。リアーヌの隣を歩いていく。
一瞬目があった騎士は、ゼクスがリアーヌになにかを仕掛けたのではないか? と疑っていたようだったが、その考えをリアーヌに告げることはないだろうと、胸を張って堂々と歩き続けた。
「ーーそういえばもうすぐいっぱいになっちゃいますね?」
スフレを堪能し、馬車に戻るまでの帰り道。
リアーヌは文具店のガラス窓の向こうに並んだスクラップブックを見つめ、思い出したように言った。
リアーヌとゼクスが交換しているスクラップブックの台紙の残り枚数があと少しで終わってしまうことを思い出したのだ。
(一旦バラバラにすれば、中の台紙を増やすことも出来るけどーー……なぜか最近のトレンドは『私たち今三冊目なの!』『凄いわね! 私たちはまだ二冊目なの』とかいう、どれだけ多くスクラップブックを交換しあったか? だからなぁ……ーーそのために最近の人気は小さくて台紙の数が少ないヤツらしいし……)
「ーーまだ無くならないから、また後で選ぼう?」
「え……でも、ここーー」
売ってますけど? という言葉をリアーヌが発する前にゼクスが遮るように言葉を続ける。
「俺に他の店で買ったスクラップブック持ち歩けって言ってる? 学園近くの店なんか、ほぼスクラップブック専門店みたいな品揃えしてるのに⁇」
「ーー考え無しでした……」
「分かってもらえたらそれでいいよ。 明日の放課後でも買いに行く?」
「はい!」
「……ーーこれから先も俺と何冊も何冊も交換し続けてくれる?」
「……いいですけど?」
「ーー……これからたくさん、色々なところに行ったり、一緒に楽しいことしたりして、たくさんの思い出を作っていきたいんだ。 リアーヌと」
◆
ゼクスはスクラップブックを絡め、甘い言葉をかけていた。
リアーヌはいまだにキョトンと首を傾げていたが、それをすぐそばで聞いていた騎士たちは、無表情を貫きながらも口をもにゅっと動かし、甘酸っぱい空気をやり過ごそうとしていたので、ゼクスの伝え方には問題が無いようだった。
「ーーああ! はい! これからもたくさん美味しいもの食べに行きましょうね!」
「うん。 それだけじゃなくてね……?」
「ーーあっ アウセレですか⁉︎ そうですよね! あそこの料理美味しいですもんね」
「ーーうん。 リアーヌが好きなもの、一緒にたくさん食べに行こうね?」
諦めたようにニコリと微笑んだゼクスの耳には「ーーはい!」というリアーヌの嬉しそうな元気な返事と、くふ……という騎士たちの噛み殺したような笑い声が聞こえていたのだったーー
しかしリアーヌの笑顔を見つめ返すゼクスの顔は幸せそうで、そのまま楽しそうに寄り添いながら馬車まで歩いていく。
ーー運命的な出会いでもなく、物語のような恋でも無かったのかもしれない。
打算も多々含まれた縁組で……真実の愛とは呼べない婚姻なのかもしれない。
しかしーーこの二人は、お互いが相手だったからこそ、いつでも自分らしく自然体でいられるのだろう。
そして、それを“幸せ”と呼ぶのなら、
『それから二人は、ずっと幸せに暮らしましたとさ』
なんて、物語のような言葉で締め括られる人生か待っているに違いないーー
めでたし、めでたし♡
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