成り上がり令嬢暴走日記！

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「ーーいつもの護衛さんたちやオリバーさんたちだって頼りになりますから！　なんの問題ないです」
「……それもそうだね？　ーー何回だって来ようよ。　何回来たってリアーヌと一緒ならずっと楽しいから……」

　優しくそう微笑まれ、リアーヌは頬を染める。
　そしてそれをごまかすため、前髪をいじりながら視線を逸らしながら「そ、そうですかね……？」とモゴモゴ答えていたのだがーー
　とある人物たちが店の横につけられた馬車から降りてきたのを見て、ピタリとその足を止め、その人物たちをジッと見つめ続ける。

（ーーあれ……？　あの人たちどっかで……でもあんな知り合いいないし、写本を依頼ような人たちにも見えない……ーーそうだ。　二人だったから前もおかしいと思ってーーあっ！）

「……リアーヌ、どうかした？」
「サギ師！」

　思い出したタイミングでちょうどゼクスに話しかけられ、リアーヌはゼクスに向かって叫んでいた。

「ぇ……」
「ぁっ」
「ーーあの、凍結したこと、まだ怒ってる……？」
「ぜ、全然！　あの違くて……ほらあそこ！　あの馬車のトコの二人！　以前私に声かけてきたサギ師です！」

　その言葉にゼクスだけではなく、リアーヌたちを護衛していた騎士たちまでが、驚いたようにそちらに目をむけていた。
　ーー最も騎士たちは、ほんの一瞬目を走らせただけで、再び周囲やリアーヌたちに視線を戻していたが。

「以前……？」

　二人に視線を向けながら、どことなく気まずそうなゼクスがたずねる。

「はい。　ほら、初めて来た時ちょっとはぐれちゃったことあったじゃないですか？　あの時に私を騙そうとしたヤツらです！」
「あー……よく覚えてたねぇ……？」
「ーーサギ師の顔は忘れちゃダメですよ？　見かけたら周りにも警戒を呼びかけないと！」
「……それはそう」
　
　リアーヌの力説に力無く頷き返すゼクス。

「ーー騎士さんたちに護衛されながら警邏隊の詰め所に行くの問題ですかね？」
「ーーでも彼ら、普通に働いてるように見えるけど……？　更生した可能性はとか……？」
「それ、は……」
「それにーーもし更生してなかったとしても、証拠もないのに詰め所に行っても……ねぇ？」
「……困らせちゃいますかね？」
「ーーリアーヌがナンパーー……いや、騙されそうになった日が、もっと最近なら情報提供にもなっただろうけど……一年以上立ってるからね？　それだけじゃ動きようが無いと思うよ？」
「……それはーー無さそう」

　顔をしかめながら同意したリアーヌに、ゼクスはホッと胸を撫で下ろしながら明るい声で続ける。