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◇
蒼嵐たちの食事が終わり、蒼嵐や橙実たちにお茶を差し出していく春鈴。
土間では美羽蘭の号令のもと、紫釉や龍族の料理人たちが他の護衛たちの食事を続々と作り続けている。
「――あ」
優炎や浩宇にお茶を差し出し終わった春鈴は蒼嵐の後頭部を見つめ、小さく声を上げる。
そして、すっと手を差し伸べると、
――ぷちっ。
と、一本の白い髪の毛を引き抜いた。
「はい、蒼嵐」
そう言いながら、春鈴は抜いた髪を蒼嵐に差し出す。
これは“蒼嵐は爪や髪の毛を他人に売られたつらい過去があるのかもしれない……”という微妙な勘違いをし続けている春鈴と、それを訂正せずに放置している蒼嵐との間で以前から多々見られるやり取りだった。
「――……うむ」
今回は周りに人が多すぎたためか、なにかをごまかすように曖昧に頷く蒼嵐。
そしてこの部屋の中で、春鈴だけは気がついてはいなかったが、優炎と浩宇はあんぐりと大きな口を開けて、蒼嵐が受け取ったその白い髪を凝視していた。
「そろそろ毛染めもしとく?」
「――頼む」
「ばっちゃ、毛染めの調合しといてー」
春鈴は土間で作業をする美羽蘭に声をかけながら、土間のほうへと歩いていく。
「ああ、あとで用意しとこう」
「んじゃ私、ヤギたちに餌あげてくるねー」
美羽蘭にそう言いながら土間に降りた春鈴だったが、部屋の中の雰囲気にいたたまれなくなった蒼嵐がその背中に声をかけた。
「――手伝う」
「いいの?」
「たまにはな」
そんな会話を交わし合いながら、二人は土間で作業をしている龍族から野菜くずを受け取り庭でかっているヤギたちの元へと向かった。
――あんぐりと口を開け続ける優炎と浩宇や、面白そうにニヤニヤと笑いをもらしている橙実を残したまま――
「いやいやいや⁉︎」
「白髪って……いやそれはつまり――⁉︎」
頭を掻きむしるように浩宇が叫び、口を押さえた優炎が混乱したように視線をさまよわせる。
「ギャーギャーお言いでないよっ!」
落ち着かない様子の龍族たちを、美羽蘭が腰に手を当てたまま一喝する。
そんな美羽蘭に橙実が苦笑いを浮かべながら話しかける。
「しかしだなぁ美羽蘭よ……人間にも龍族にも“人王”と言う存在は必要不可欠――そっとしておいてはやれんのだ……」
その言葉に優炎や浩宇、そして料理を作っていた龍族たちが悔しそうに唇を噛み、紫釉は困ったように眉を下げた。
そんな龍族たちをぐるりと見渡し、大きくため息をつきながら首を横に降る美羽蘭。
「――龍王は……人王は、疲れきって白龍から黒龍へと変化しちまった。 だから里に帰ってきたんだろう? なら――元気になりゃ自ずと元の白龍に戻る」
「……しかし毛染めなどしてしまえば、戻ったのかどうかわからないだろう?」
会話は聞こえていたのだろう、裏庭から戻ってきた紫釉が困ったように美羽蘭に話しかける。
「……染めようが染めまいが黒いままならば、まだ疲れていると言うことなんだろう?」
「いや、しかしだな……」
紫釉は人間との交渉を考え、渋い顔で言葉を続けようとする。
――が、
「分からない男だね! まだ心が疲れているんだろう⁉︎ 察しておやり!」
と、美羽蘭にピシャリと言われ、背筋をスッと伸ばすと、
「そうだよね、疲れている蒼嵐には休息が必要だとも!」
と、元気よく答えた。
「お主は……」
そんな紫釉を橙実は呆れたような視線で一瞥すると、ふー……と息を吐きながら首を左右に振った。
「だがまぁ……美羽蘭の言う通りなのやもしれんな……」
そう言いながら橙実は立ち上がり、畑の奥にいるヤギに餌をやっている春鈴と蒼嵐の姿を眺める。
「……あんたらもそれでいいね?」
美羽蘭は優炎と浩宇にたずねる。
「――俺らからしたら願ったり叶ったりだぜ! なぁ⁉︎」
「ああ。 蒼嵐様にはゆっくりご静養いただきたいからな……」
「ったく……若いもんばかりに押し付けてないで、ちったぁしゃんと働きな!」
再び喝を入れられた龍族たちは、みんな一様に首をすくめたのだが、紫釉だけは嬉しそうにニコニコと微笑むのだった。
「……幸せそうに尻に敷かれておるわ……」
呆れたように笑う橙実。
しかし橙実は紫釉と美羽蘭の昔の事情をよく知っていた。
そのためようやく二人に訪れた穏やかな時間を心から祝福していたのだった。
紫釉と美羽蘭は将来を誓い合った恋人同士だった。
龍族と人間ということで反対する声もあったのだが、美羽蘭が強い力を持つ先祖がえりであることや、紫釉がその当時は候家の跡継ぎではなかったこと、そして誰の目から見ても紫釉が美羽蘭にベタ惚れだったため、大半の者たちが二人が結ばれることを祝っていた。
――だが、
そんな二人を悲劇が襲った。
候家の嫡男と次男であった紫釉の兄たちが跡目争いで次々に家を追われることになってしまったのだ。
それでも紫釉は美羽蘭との結婚を強行しようとしたのだが、候の家の大きさがそれを許しはしなかった……
内々に美羽蘭の元に候家の者が訪れ「別れてくれ」と頭を下げた。
美羽蘭はそれを受け入れ二人は別れたのだったが――
実はその時、美羽蘭のお腹の中には可馨が――春鈴の母が宿っていた――
そして紫釉は美羽蘭と別れさせられたことを許すことはなく、その抗議のため誰とも結婚せず、遠縁の帆を跡継ぎとして育てていたのだったが……
――今回の騒動で美羽蘭たちが正式に朱家の一員として名を連ねた結果、正式なものではなかったが、内縁関係を持つことを認められ、紫釉はそれをいいことに蓮崋山に入り浸ることを決めたのだった。
最初は呆れ憎まれ口を叩いていた美羽蘭だったが、家族である春鈴は――そして家族になろうとしていた紫釉には、それが照れ隠しなのだということをちゃんと理解していたのだった――
春鈴と蒼嵐はフェイロンたちと戦いながらヤギに餌をやっていた。
ギュー! ギュッ! ギュッ! と喚きながら周りを飛び回る二匹を押しのけながらヤギに食べさせるための野菜くずを小屋の中に運び込む。
「これはヤギのですぅー……大体、君たち野菜あんまり好きじゃないでしょー?」
「っ! 噛むなっ!」
あしらわれ、まともに相手にしてもらえないことに気が付いたフェイロンたちが実力行使で蒼嵐の髪に噛み付いた。
顔をしかめながら、手を大きく動かしながら二匹を振り払う蒼嵐。
そんなフェイロンたちは、キュー! キュキュッ! と高笑いのような鳴き声を上げ、蒼嵐をからかうように空高くに舞い上がる。
「……お前たちいい加減にしないと、タダでは済まさんからな……?」
ひたいに青筋を立てた蒼嵐が、少々の威圧とともにフェイロンたちを睨みつけた。
そんな蒼嵐に、一瞬ひるむような様子を見せた二匹だったが、蒼嵐が動くわけではないことを確認すると、すぐさま蒼嵐をおちょくるようにまとわりつき、じゃれ始めた。
「――なぜだ……? なぜ俺の威圧が効かない……?」
不可解なものを見るような目で、自分にじゃれ付いてくるフェイロンたちを見つめる蒼嵐。
「そりゃ蒼嵐口ばっかりで何もしないじゃん? おどかすことしかしてこないって覚えて、ナメられてるんだよ」
呆れたように蒼嵐にまとわりつくフェイロンたちを見つめ、肩をすくめながら春鈴が言う。
振り払う程度のことはする蒼嵐だったが、二匹に何をされても決して手を上げることはなかったのだ。
「し、しかし……こんなに小さな生き物……俺が攻撃して万が一にもなにかがあったら……」
蒼嵐は口ごもりながら、モゴモゴと言い訳するように言葉を紡ぐ。
龍族の力は強大だ。 ちゃんと制御しているつもりの蒼嵐だったが、傷つけてしまったら……と思うと、振り上げた手を振り下ろすことが出来なかった。
「――叱れないんだったら、ナメられ続けるしかないかなぁ……?」
蒼嵐の言い分に春鈴は困ったよう肩をすくめる。
「しかし……それでは言うことをきかなくなるのではないか?」
「フェイロンって子供でもすごく頭良いかちゃんと人見てるんだよねー……――うちの子たちは、ばっちゃや母ちゃんに絶対服従だから平気でしょ」
「それは……平気そうだな?」
「でしょ」
神妙な顔で頷き合う二人――
そんな二人の周りをキュキュキュッ! っと上機嫌に飛び回るフェイロンたち――
そんな楽しそうなフェイロンたちを見て顔を見合わせる二人、どちらからともなくプッと吹き出し、そのまま顔を見合わせながらクスクスと笑いあう。
「――あっ! ねぇ私にキラキラで豪華な宝石くれるって言ったの覚えてる⁉︎」
「……豪華と言った覚えはないが……まぁ?」
「いつ⁉︎ いつくれるの⁉︎」
「……では今度ひいきの宝石店に連れていってやる」
「本当⁉︎」
「あぁ……――好きなものを好きなだけ選ぶといい」
「――! 蒼嵐素敵‼︎ 太っ腹っ‼︎」
「そ、そうか……?」
ほほを染めて照れくさそうに、しかし嬉しそうに鼻を掻く蒼嵐。
――先ほどの「好きなものを好きなだけ――」という発言は、龍族にとって『貴方が望むだけの宝を送りましょう』という龍族の求愛の言葉だということを、この時の春蘭は≪まだ≫知らなかった――
蒼嵐たちの食事が終わり、蒼嵐や橙実たちにお茶を差し出していく春鈴。
土間では美羽蘭の号令のもと、紫釉や龍族の料理人たちが他の護衛たちの食事を続々と作り続けている。
「――あ」
優炎や浩宇にお茶を差し出し終わった春鈴は蒼嵐の後頭部を見つめ、小さく声を上げる。
そして、すっと手を差し伸べると、
――ぷちっ。
と、一本の白い髪の毛を引き抜いた。
「はい、蒼嵐」
そう言いながら、春鈴は抜いた髪を蒼嵐に差し出す。
これは“蒼嵐は爪や髪の毛を他人に売られたつらい過去があるのかもしれない……”という微妙な勘違いをし続けている春鈴と、それを訂正せずに放置している蒼嵐との間で以前から多々見られるやり取りだった。
「――……うむ」
今回は周りに人が多すぎたためか、なにかをごまかすように曖昧に頷く蒼嵐。
そしてこの部屋の中で、春鈴だけは気がついてはいなかったが、優炎と浩宇はあんぐりと大きな口を開けて、蒼嵐が受け取ったその白い髪を凝視していた。
「そろそろ毛染めもしとく?」
「――頼む」
「ばっちゃ、毛染めの調合しといてー」
春鈴は土間で作業をする美羽蘭に声をかけながら、土間のほうへと歩いていく。
「ああ、あとで用意しとこう」
「んじゃ私、ヤギたちに餌あげてくるねー」
美羽蘭にそう言いながら土間に降りた春鈴だったが、部屋の中の雰囲気にいたたまれなくなった蒼嵐がその背中に声をかけた。
「――手伝う」
「いいの?」
「たまにはな」
そんな会話を交わし合いながら、二人は土間で作業をしている龍族から野菜くずを受け取り庭でかっているヤギたちの元へと向かった。
――あんぐりと口を開け続ける優炎と浩宇や、面白そうにニヤニヤと笑いをもらしている橙実を残したまま――
「いやいやいや⁉︎」
「白髪って……いやそれはつまり――⁉︎」
頭を掻きむしるように浩宇が叫び、口を押さえた優炎が混乱したように視線をさまよわせる。
「ギャーギャーお言いでないよっ!」
落ち着かない様子の龍族たちを、美羽蘭が腰に手を当てたまま一喝する。
そんな美羽蘭に橙実が苦笑いを浮かべながら話しかける。
「しかしだなぁ美羽蘭よ……人間にも龍族にも“人王”と言う存在は必要不可欠――そっとしておいてはやれんのだ……」
その言葉に優炎や浩宇、そして料理を作っていた龍族たちが悔しそうに唇を噛み、紫釉は困ったように眉を下げた。
そんな龍族たちをぐるりと見渡し、大きくため息をつきながら首を横に降る美羽蘭。
「――龍王は……人王は、疲れきって白龍から黒龍へと変化しちまった。 だから里に帰ってきたんだろう? なら――元気になりゃ自ずと元の白龍に戻る」
「……しかし毛染めなどしてしまえば、戻ったのかどうかわからないだろう?」
会話は聞こえていたのだろう、裏庭から戻ってきた紫釉が困ったように美羽蘭に話しかける。
「……染めようが染めまいが黒いままならば、まだ疲れていると言うことなんだろう?」
「いや、しかしだな……」
紫釉は人間との交渉を考え、渋い顔で言葉を続けようとする。
――が、
「分からない男だね! まだ心が疲れているんだろう⁉︎ 察しておやり!」
と、美羽蘭にピシャリと言われ、背筋をスッと伸ばすと、
「そうだよね、疲れている蒼嵐には休息が必要だとも!」
と、元気よく答えた。
「お主は……」
そんな紫釉を橙実は呆れたような視線で一瞥すると、ふー……と息を吐きながら首を左右に振った。
「だがまぁ……美羽蘭の言う通りなのやもしれんな……」
そう言いながら橙実は立ち上がり、畑の奥にいるヤギに餌をやっている春鈴と蒼嵐の姿を眺める。
「……あんたらもそれでいいね?」
美羽蘭は優炎と浩宇にたずねる。
「――俺らからしたら願ったり叶ったりだぜ! なぁ⁉︎」
「ああ。 蒼嵐様にはゆっくりご静養いただきたいからな……」
「ったく……若いもんばかりに押し付けてないで、ちったぁしゃんと働きな!」
再び喝を入れられた龍族たちは、みんな一様に首をすくめたのだが、紫釉だけは嬉しそうにニコニコと微笑むのだった。
「……幸せそうに尻に敷かれておるわ……」
呆れたように笑う橙実。
しかし橙実は紫釉と美羽蘭の昔の事情をよく知っていた。
そのためようやく二人に訪れた穏やかな時間を心から祝福していたのだった。
紫釉と美羽蘭は将来を誓い合った恋人同士だった。
龍族と人間ということで反対する声もあったのだが、美羽蘭が強い力を持つ先祖がえりであることや、紫釉がその当時は候家の跡継ぎではなかったこと、そして誰の目から見ても紫釉が美羽蘭にベタ惚れだったため、大半の者たちが二人が結ばれることを祝っていた。
――だが、
そんな二人を悲劇が襲った。
候家の嫡男と次男であった紫釉の兄たちが跡目争いで次々に家を追われることになってしまったのだ。
それでも紫釉は美羽蘭との結婚を強行しようとしたのだが、候の家の大きさがそれを許しはしなかった……
内々に美羽蘭の元に候家の者が訪れ「別れてくれ」と頭を下げた。
美羽蘭はそれを受け入れ二人は別れたのだったが――
実はその時、美羽蘭のお腹の中には可馨が――春鈴の母が宿っていた――
そして紫釉は美羽蘭と別れさせられたことを許すことはなく、その抗議のため誰とも結婚せず、遠縁の帆を跡継ぎとして育てていたのだったが……
――今回の騒動で美羽蘭たちが正式に朱家の一員として名を連ねた結果、正式なものではなかったが、内縁関係を持つことを認められ、紫釉はそれをいいことに蓮崋山に入り浸ることを決めたのだった。
最初は呆れ憎まれ口を叩いていた美羽蘭だったが、家族である春鈴は――そして家族になろうとしていた紫釉には、それが照れ隠しなのだということをちゃんと理解していたのだった――
春鈴と蒼嵐はフェイロンたちと戦いながらヤギに餌をやっていた。
ギュー! ギュッ! ギュッ! と喚きながら周りを飛び回る二匹を押しのけながらヤギに食べさせるための野菜くずを小屋の中に運び込む。
「これはヤギのですぅー……大体、君たち野菜あんまり好きじゃないでしょー?」
「っ! 噛むなっ!」
あしらわれ、まともに相手にしてもらえないことに気が付いたフェイロンたちが実力行使で蒼嵐の髪に噛み付いた。
顔をしかめながら、手を大きく動かしながら二匹を振り払う蒼嵐。
そんなフェイロンたちは、キュー! キュキュッ! と高笑いのような鳴き声を上げ、蒼嵐をからかうように空高くに舞い上がる。
「……お前たちいい加減にしないと、タダでは済まさんからな……?」
ひたいに青筋を立てた蒼嵐が、少々の威圧とともにフェイロンたちを睨みつけた。
そんな蒼嵐に、一瞬ひるむような様子を見せた二匹だったが、蒼嵐が動くわけではないことを確認すると、すぐさま蒼嵐をおちょくるようにまとわりつき、じゃれ始めた。
「――なぜだ……? なぜ俺の威圧が効かない……?」
不可解なものを見るような目で、自分にじゃれ付いてくるフェイロンたちを見つめる蒼嵐。
「そりゃ蒼嵐口ばっかりで何もしないじゃん? おどかすことしかしてこないって覚えて、ナメられてるんだよ」
呆れたように蒼嵐にまとわりつくフェイロンたちを見つめ、肩をすくめながら春鈴が言う。
振り払う程度のことはする蒼嵐だったが、二匹に何をされても決して手を上げることはなかったのだ。
「し、しかし……こんなに小さな生き物……俺が攻撃して万が一にもなにかがあったら……」
蒼嵐は口ごもりながら、モゴモゴと言い訳するように言葉を紡ぐ。
龍族の力は強大だ。 ちゃんと制御しているつもりの蒼嵐だったが、傷つけてしまったら……と思うと、振り上げた手を振り下ろすことが出来なかった。
「――叱れないんだったら、ナメられ続けるしかないかなぁ……?」
蒼嵐の言い分に春鈴は困ったよう肩をすくめる。
「しかし……それでは言うことをきかなくなるのではないか?」
「フェイロンって子供でもすごく頭良いかちゃんと人見てるんだよねー……――うちの子たちは、ばっちゃや母ちゃんに絶対服従だから平気でしょ」
「それは……平気そうだな?」
「でしょ」
神妙な顔で頷き合う二人――
そんな二人の周りをキュキュキュッ! っと上機嫌に飛び回るフェイロンたち――
そんな楽しそうなフェイロンたちを見て顔を見合わせる二人、どちらからともなくプッと吹き出し、そのまま顔を見合わせながらクスクスと笑いあう。
「――あっ! ねぇ私にキラキラで豪華な宝石くれるって言ったの覚えてる⁉︎」
「……豪華と言った覚えはないが……まぁ?」
「いつ⁉︎ いつくれるの⁉︎」
「……では今度ひいきの宝石店に連れていってやる」
「本当⁉︎」
「あぁ……――好きなものを好きなだけ選ぶといい」
「――! 蒼嵐素敵‼︎ 太っ腹っ‼︎」
「そ、そうか……?」
ほほを染めて照れくさそうに、しかし嬉しそうに鼻を掻く蒼嵐。
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