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Case.04【虚ろな影】
day8.1─正体─
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翌日。
教室の黒板には大きくチョークで『体育祭まであと一日』と書かれている。
オレンジ色の夕陽が黒板の粉塵を照らし、教室は静けさに包まれていた。
やがて日が沈み、校舎は闇に沈む。
夜の風が木々を揺らす音だけが響く、人気のない校庭に──ひとつ、人影が現れる。
人影は周囲を気にしながら歩み寄り、ポケットからスマートフォンを取り出す。
慣れた手つきで何かを操作すると、画面の光が手元を淡く照らした。
しかし、画面を見つめた人影は眉をひそめ、再び何度も操作を繰り返し始める。
不安げに、焦ったように。
まるで“鳴るはずのものが鳴らない”かのように。
そのとき──
茂みの向こうから一声。
「BGMなら鳴りませんよ」
人影はビクリと肩を跳ねさせ、慌てて振り返った。
茂みから姿を現したのは、
史桜と、隣に立つ絢葉。
二人は逃げ道を塞ぐように校庭に出て、人影を真っ直ぐ見据える。
スマホの光が再び揺れ、
その人物の顔が浮かび上がった。
──結城先生だった。
結城は一瞬、明らかに動揺したが、すぐに苦笑で取り繕う。
「や、やぁ二人とも……。ここ数日は下校後の調査はしていなかったんじゃ? BGMが鳴らないって? と、とにかく、もう明日は体育祭だし、早く帰って休みなさい」
史桜は一歩踏み出し、淡々と問いかける。
「BGMが鳴らないのは、飯沼教諭に頼んで一時的に主電源を落としてもらっているから。……先生こそこんなところで何を?」
「……ぼ、僕は今夜の見回り担当なんだよ。校庭もちゃんと見張っておこうと思ってね」
史桜は少しだけ沈黙し、目を細めた。
「見回り担当というのは本当でしょう。……ですが、“校庭の見張り”というのは嘘ですね?」
結城の表情が固まる。
「え……」
史桜は静かに、結城の目を真っ直ぐ見つめたまま告げた。
「動く人影の正体は君だろう? ……眞鍋男子」
その名が告げられた瞬間、
結城の肩が震える。
次の瞬間、
ガタリ──!
三人のすぐ近く、例の古い倉庫の中から音がした。
一瞬の静寂。
そして、ゆっくりと倉庫の扉が開く。
中から姿を現したのは──眞鍋だった。
「眞鍋先輩……」
絢葉が小さく呟く。眞鍋は気まずそうに絢葉から視線を逸らし、結城の隣に並ぶ。
「……どうして、僕だと?」
「君という確信があったわけじゃない。だが、ここまで得た情報から、君である可能性が最も高かったというだけだ」
史桜は淡々と告げ、いつもと変わらない落ち着いた視線を眞鍋と結城に交互に向ける。
「そして、放送室から鳴るBGM。そちらは結城教諭、貴方の仕業ですね?」
結城は額から流れる汗をハンカチで拭いながらも、口元には笑みを浮かべ、
「噂通り、呉宮君は本当に面白い人だね。何故そう思ったのか理由を聞きたいな」
教室の黒板には大きくチョークで『体育祭まであと一日』と書かれている。
オレンジ色の夕陽が黒板の粉塵を照らし、教室は静けさに包まれていた。
やがて日が沈み、校舎は闇に沈む。
夜の風が木々を揺らす音だけが響く、人気のない校庭に──ひとつ、人影が現れる。
人影は周囲を気にしながら歩み寄り、ポケットからスマートフォンを取り出す。
慣れた手つきで何かを操作すると、画面の光が手元を淡く照らした。
しかし、画面を見つめた人影は眉をひそめ、再び何度も操作を繰り返し始める。
不安げに、焦ったように。
まるで“鳴るはずのものが鳴らない”かのように。
そのとき──
茂みの向こうから一声。
「BGMなら鳴りませんよ」
人影はビクリと肩を跳ねさせ、慌てて振り返った。
茂みから姿を現したのは、
史桜と、隣に立つ絢葉。
二人は逃げ道を塞ぐように校庭に出て、人影を真っ直ぐ見据える。
スマホの光が再び揺れ、
その人物の顔が浮かび上がった。
──結城先生だった。
結城は一瞬、明らかに動揺したが、すぐに苦笑で取り繕う。
「や、やぁ二人とも……。ここ数日は下校後の調査はしていなかったんじゃ? BGMが鳴らないって? と、とにかく、もう明日は体育祭だし、早く帰って休みなさい」
史桜は一歩踏み出し、淡々と問いかける。
「BGMが鳴らないのは、飯沼教諭に頼んで一時的に主電源を落としてもらっているから。……先生こそこんなところで何を?」
「……ぼ、僕は今夜の見回り担当なんだよ。校庭もちゃんと見張っておこうと思ってね」
史桜は少しだけ沈黙し、目を細めた。
「見回り担当というのは本当でしょう。……ですが、“校庭の見張り”というのは嘘ですね?」
結城の表情が固まる。
「え……」
史桜は静かに、結城の目を真っ直ぐ見つめたまま告げた。
「動く人影の正体は君だろう? ……眞鍋男子」
その名が告げられた瞬間、
結城の肩が震える。
次の瞬間、
ガタリ──!
三人のすぐ近く、例の古い倉庫の中から音がした。
一瞬の静寂。
そして、ゆっくりと倉庫の扉が開く。
中から姿を現したのは──眞鍋だった。
「眞鍋先輩……」
絢葉が小さく呟く。眞鍋は気まずそうに絢葉から視線を逸らし、結城の隣に並ぶ。
「……どうして、僕だと?」
「君という確信があったわけじゃない。だが、ここまで得た情報から、君である可能性が最も高かったというだけだ」
史桜は淡々と告げ、いつもと変わらない落ち着いた視線を眞鍋と結城に交互に向ける。
「そして、放送室から鳴るBGM。そちらは結城教諭、貴方の仕業ですね?」
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「噂通り、呉宮君は本当に面白い人だね。何故そう思ったのか理由を聞きたいな」
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