~最弱のスキルコレクター~ スキルを無限に獲得できるようになった元落ちこぼれは、レベル1のまま世界最強まで成り上がる

僧侶A

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26話

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 流石に生徒指導室で調べるわけには行かないので、一対一用にそこそこのスペースが確保できる第二武道場へと向かった。

「ってわけで、如月。お前は手を出すなよ?」

 千堂は武道場の備品だった木刀を片手にそんなことを言ってきた。

「分かってるよ」

 下手したら大けがさせるかもしれないのに反撃なんてするわけがない。

「終了条件はどちらか一方が音を上げるまでだ。良いな?」

「「はい」」

「それでは、開始!!」

 杉田先生の宣言と共に千堂は俺に向かって攻撃を仕掛けてきた。

「おらっ!」

 最初に狙ってきたのは太もも付近。別に人の弱点でもなんでもない上に、なぜか手加減をしていたので全く痛くなかった。

「?」

 しかし、再度俺に近づき、太ももを執拗に殴ってくる。

 何が目的なんだと思っていたら、

『もし探索者資格を剥奪されたくなかったら、俺に忠誠を誓え』

 と俺にだけ聞こえる声で言ってきた。

「はい?」

『今なら口裏を合わせてそもそも法律に違反していなかったことしてやれるからな。悪くないだろう?一生レベル1の屑探索者が将来有望な俺に忠誠を誓えるんだから』

「なるほどね……」

 今回の事件、全て千堂が原因で起こっていたのか。

 多分どこかで俺と杏奈さんの二人でダンジョンに潜り続けているのが見つかったのだろう。

 で、俺を都合のいい奴隷にする好機とみて杉田先生あたりに報告したのか。

 それなら千堂がずっとあの席に居たのは納得ができる。

「だけど、嫌だね」

 しかし、強くなった今の俺には交渉に応じる必要性はない。

『そうか、なら殴られて無様に死ぬんだな』

 そう言ってから千堂の攻撃は徐々に苛烈になっていった。

 最初は人の弱点とは程遠い部位から始まり、徐々に威力を上げながら鳩尾のような弱点を狙ってくる機会が増えてきた。


「多少は強くなって自信を付けたみたいだな。でも、まだまだ弱いみたいだなあ!」

 殴った感触が以前と変わらないからなのか、千堂は俺がそこまで強くなっていないと判断したらしい。こちらの事を馬鹿にしながら殴ってきた。

 実際、スキルがいくらたくさんあろうと、レベルを上げなければ筋肉自体の強化はされないので、体つきは同世代の探索者志望でない人たちと大して変わりが無いしね。

「あ」

『無防備で木刀に殴られた回数が100を超えました。よって【木刀耐性(初級)】を獲得しました』


 なんてことを考えつつ早く終わらないかなと思っていると、スキル獲得条件を満たしたという通知が来た。

 そうだった。殴られることでもスキルを獲得できるんだった。今獲得したのは木刀耐性だけど、部位とかの調整を頑張れば部位指定の耐久スキルも獲得できるのではないか。

 安全に殴られる機会って早々無いから、今のうちにたくさん殴られてスキルを獲得しておこう。

「となると……」

 俺はスキルによって向上した動体視力を生かし、千堂がより的確に弱点部位に狙い撃ちできるように調整していた。

 お陰で弱点部位を強化するスキルの初球を大量に獲得し、攻撃を見切るスキルに関しても数個獲得することができた。

 このまま千堂のやる気が持ってくれるのであれば、それらのスキルの中級を獲得する作業も始めていきたいのだが、

「はあ、はあ……」

 流石に30分間ずっと攻撃を続けて疲れたのか、息が上がりかけていた。

「もうそろそろ良いのではないですか?」

 その様子を見て、ストップさせようとする教頭。

「まだ終わっていません。千堂はギブアップを宣言していないので」

 だがしかし千堂以外の人間にこの貴重な争いを終わらせてほしくない。

『千堂、まさかただ一方的に攻撃するだけで音を上げてしまうような雑魚だったの?』

 というわけで杉田先生と教頭には聞こえないように、小声で千堂を煽ってみた。

「んだと?まだまだやれます。絶対に如月をぶっ潰します」

 すると、やる気が復活したらしく再び果敢に攻撃をしてくれるようになった。

 というわけで俺はスキルの中級を獲得する作業に熱心に勤しんだ。



 しかしそれから30分後、

「そんな……俺は認めないぞ……」

 力尽きた千堂はその場から崩れ落ちた。

「……千堂の戦闘不能。よって勝者は如月飛鳥」

 それを見て完全に戦闘不能だと判断したようで、杉田先生が俺の勝利を宣言した。

 ただ攻撃を受けていただけなのであまり自覚は無いが、とにかく千堂に勝利したことだけは事実だ。

「素晴らしい、素晴らしいですよ如月君。まさかそこまで強くなっているとは思いもよりませんでした。もしかすると3年生で一番強い可能性すらあるかもしれませんね」

 と試合を見ていた教頭が俺に賛辞を向けてきた。

「どうでしょうね」

 ほぼ確実に俺が一番強いとは思うけど、もしかすると弥生とか健太が滅茶苦茶強くなっているかもしれないしね。

 だって杏奈さんを輩出した『師走の先』と同じ格のギルドに所属する予定の二人だしね。突然レベルが上がっていてもおかしくはない。

「で、如月。どんな方法を使ったんだ?」

 しかし、杉田先生は俺の勝利が信じられないようで、疑いの視線で聞いてきた。

「単に強くなっただけですよ。イカサマなんてしていませんよ。杉田先生も間近で見ていたでしょう?」

「いや、イカサマをしているに違いない。今までずっとレベル1だった奴がどうやったら千堂の攻撃に無傷でいられるんだ」

「と言われましても。今日こんなことをやるなんて全く予想していなかったのにイカサマの準備が出来るわけないですよ」

 準備期間が1週間くらいあれば可能かもしれないが、ついさっき決まった勝負にイカサマが出来るわけがない。

「だが、しかし……」

 それでも食い下がる杉田先生。どうやら俺が強くなったことを信じられないらしい。
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