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第一章 好奇心の代償【現在 七色七奈】
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「実は――」
かつての同級生から送られてきた1本のビデオテープ。そのビデオテープがきっかけで、こんなところにやってきてしまった。そんな、まるで三文小説のような話、信じてもらえるなんて思っていない。ただ、目の前にいる大和田は一期一会の間柄であり、あの都会に戻れば二度と会うことはない。日常において、しょっちゅう顔を合わせる人間よりも話しやすかったりする。話を信じてもらえず、頭がおかしい奴だと思われたとしても、二度と会うことはないのだから気にすることはない。
私が話している間、大和田は真面目な表情をしながら何度か頷いていた。それは、警察官として人の話を聞いてやる――という、いわゆるケアマネージメントのようなものだとばかり思っていた。しかし、私が話し終えたあとの大和田の反応は、私が予想していたものと全く別物になった。
「すっげぇ……。そりゃ、まるで海外の映画みたいな話だ。過去、大して仲が良かったわけでもない同級生から届いたビデオテープ。そのビデオテープには、人が寄り付かないと言われているミノタウロスの森の話が絡んでくる。そして、主人公はビデオテープの謎を解き明かすために、住んでいた街を訪れた。そこで出会った警察官と共に――謎を解き明かしていく。おぉ、まるでハリウッドだべ!」
急に立ち上がると、興奮したかのように独り言を吐き出した大和田に、私はどう反応すべきか困ってしまった。結局のところ苦笑いという無難な反応に逃げる。
「こんな田舎だと、せいぜい猫を探してくれとか、草刈り手伝ってくれとか、どこそこの家の夫婦喧嘩の仲裁してくれとか――そんな仕事しかないのに、謎に満ちたビデオテープの謎を解き明かすなんて、全米が泣くべ!」
何もない田舎で、平和な日々を過ごす。それは警察官としては実に良いことである。警察の仕事がないということは、それだけ世の中でいざこざが生じていないということだ。けれども、きっと大和田は、この田舎での勤務に飽き飽きしていたのであろう。
てっきり信じてもらえないとばかり思っていたのに、大和田は少年のように目をキラキラと輝かせている。映画に例えている辺り、このようなシチュエーションに憧れていたのだろうか。
「それで、ビデオテープは? あの廃校にビデオテープはあったのか?」
ここまで食いつきが良いと思っていなかった私は、大和田の食い入るような勢いに、少しばかり後退りをした。もっとも、ベンチに座ったままだったから、そのままひっくり返ってしまいそうになったが。
かつての同級生から送られてきた1本のビデオテープ。そのビデオテープがきっかけで、こんなところにやってきてしまった。そんな、まるで三文小説のような話、信じてもらえるなんて思っていない。ただ、目の前にいる大和田は一期一会の間柄であり、あの都会に戻れば二度と会うことはない。日常において、しょっちゅう顔を合わせる人間よりも話しやすかったりする。話を信じてもらえず、頭がおかしい奴だと思われたとしても、二度と会うことはないのだから気にすることはない。
私が話している間、大和田は真面目な表情をしながら何度か頷いていた。それは、警察官として人の話を聞いてやる――という、いわゆるケアマネージメントのようなものだとばかり思っていた。しかし、私が話し終えたあとの大和田の反応は、私が予想していたものと全く別物になった。
「すっげぇ……。そりゃ、まるで海外の映画みたいな話だ。過去、大して仲が良かったわけでもない同級生から届いたビデオテープ。そのビデオテープには、人が寄り付かないと言われているミノタウロスの森の話が絡んでくる。そして、主人公はビデオテープの謎を解き明かすために、住んでいた街を訪れた。そこで出会った警察官と共に――謎を解き明かしていく。おぉ、まるでハリウッドだべ!」
急に立ち上がると、興奮したかのように独り言を吐き出した大和田に、私はどう反応すべきか困ってしまった。結局のところ苦笑いという無難な反応に逃げる。
「こんな田舎だと、せいぜい猫を探してくれとか、草刈り手伝ってくれとか、どこそこの家の夫婦喧嘩の仲裁してくれとか――そんな仕事しかないのに、謎に満ちたビデオテープの謎を解き明かすなんて、全米が泣くべ!」
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「それで、ビデオテープは? あの廃校にビデオテープはあったのか?」
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