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ケース2 干しかんぴょう殺人事件【出題編】
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「ただ、仮に日中に訪問した3人の中に、袴田さんの奥さんを殺害した人物がいたとして、大きな問題がありますわ。それは――死亡推定時刻との差ですわね」
確か、死亡推定時刻は袴田が遺体を発見した少し前ということになっていた。むろん、日中に訪れた3人のいずれかが、袴田の奥さんを殺害したのであれば、死亡推定時刻はもっと前になっていたはず。
「日中に訪問した3人には犯行が可能だった。しかし、その3人が死亡推定時刻に犯行へと及ぶのは不可能。いずれかが袴田様の奥様を殺害したのであれば、死亡推定時刻はもっと前になっていたはず。しかし――それ以外の可能性だと、やはり袴田様が犯人という説が濃厚になりそうですね」
第一発見者である袴田がもっとも怪しい。これは、ごくごく当たり前のことであろう。しかし、だとしたら袴田はあまりにも素直すぎるような気がする。疑いの目を逸らすために嘘のひとつでもついていてもおかしくはない。袴田はあまりにも自身にとって不利すぎる証言をしているのだ。
「おいおい、自殺って可能性だって残ってるだろ?」
鯖洲の言葉にコトリが首を横に降る。
「ただ、袴田さんの奥さんが自殺しようとするのであれば、わざわざ窓辺野不動産の営業に、袴田さんを装って依頼をするかしら? そこには、何かしらの意図があるようにしか思えませんわ。例えば――本当ならば、呼ばれた営業の方が遺体を発見する役割だったとか」
その辺りのことは残念ながら資料にも書かれてはいない。それでも期待の視線は一里之へと集まっている。こうなったら、あまり気乗りはしないが本人に確認するしかないだろう。いや、本当に気乗りはしないのだが。
「あの、いわゆる犬猿の仲ってやつで、決して仲がいいわけではないので、電話に出るかどうか分かりませんけど、連絡先知ってるので電話してみますか? 大東本人に」
そう、大東自身に話を聞いてしまうおう。もう仕事も終わった時間帯であろうし、接待などがなければ電話にも出てくれるはずだ。もっとも、あいつの声を聞かねばならないとなると、やや気が重たいのではあるが。
「可能であれば、それが一番かと思います。もしかすると警察でさえ気づかなかった些細なことに気づいているかもしれませんし、何が真相解明に結びつくかなんて分かりませんから」
冥に背中を押してもらって、ようやくスマートフォンを取り出す一里之。アドレス帳から大東の名前を引っ張り出す。
確か、死亡推定時刻は袴田が遺体を発見した少し前ということになっていた。むろん、日中に訪れた3人のいずれかが、袴田の奥さんを殺害したのであれば、死亡推定時刻はもっと前になっていたはず。
「日中に訪問した3人には犯行が可能だった。しかし、その3人が死亡推定時刻に犯行へと及ぶのは不可能。いずれかが袴田様の奥様を殺害したのであれば、死亡推定時刻はもっと前になっていたはず。しかし――それ以外の可能性だと、やはり袴田様が犯人という説が濃厚になりそうですね」
第一発見者である袴田がもっとも怪しい。これは、ごくごく当たり前のことであろう。しかし、だとしたら袴田はあまりにも素直すぎるような気がする。疑いの目を逸らすために嘘のひとつでもついていてもおかしくはない。袴田はあまりにも自身にとって不利すぎる証言をしているのだ。
「おいおい、自殺って可能性だって残ってるだろ?」
鯖洲の言葉にコトリが首を横に降る。
「ただ、袴田さんの奥さんが自殺しようとするのであれば、わざわざ窓辺野不動産の営業に、袴田さんを装って依頼をするかしら? そこには、何かしらの意図があるようにしか思えませんわ。例えば――本当ならば、呼ばれた営業の方が遺体を発見する役割だったとか」
その辺りのことは残念ながら資料にも書かれてはいない。それでも期待の視線は一里之へと集まっている。こうなったら、あまり気乗りはしないが本人に確認するしかないだろう。いや、本当に気乗りはしないのだが。
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そう、大東自身に話を聞いてしまうおう。もう仕事も終わった時間帯であろうし、接待などがなければ電話にも出てくれるはずだ。もっとも、あいつの声を聞かねばならないとなると、やや気が重たいのではあるが。
「可能であれば、それが一番かと思います。もしかすると警察でさえ気づかなかった些細なことに気づいているかもしれませんし、何が真相解明に結びつくかなんて分かりませんから」
冥に背中を押してもらって、ようやくスマートフォンを取り出す一里之。アドレス帳から大東の名前を引っ張り出す。
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