ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

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ケース4 ロンダリングプリンセス誕生秘話【解決編】

ケース4 ロンダリングプリンセス誕生秘話【解決編】1

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【1】

「すいません、日に何度もお邪魔してしまいまして」

 その光景は、まるでデジャヴュではないかと思うほどに同じものだった。仏壇から香る線香の匂い。日差しが少しばかり差した部屋。出されたお茶からは、湯気が立ち上っており、そして一里之と千早は、少し前に来た時と同じ位置に座っている。

「いいのよ。なんだかあの子の話をした後だったから、変に寂しくなっちゃってね。誰かとお話をしたかったの」

 お茶を出しつつ、おそらくは精一杯であろう笑顔を見せてくれる愛の母親。千早はこれから彼女に対して、ある推測をぶつけるつもりなのであろう。それはきっと、辛いものになるに違いない。

「その件――実は愛さんの事件について分かったことがありまして。こうして再びお邪魔させていただいた次第です」

 千早の言葉を聞いた母親は、茶を出し終えると慌ただしく一里之達の対面へと回り、そして座った。

「そ、それで――。あの時、あの子はどうしてあんなことになったんですか?」

 やや前のめりになっているようにも見える愛の母親。これまでずっと、モヤモヤしたものを抱きながら生きてきたのであろう。それが消化されるとなれば、そのようなリアクションを見せても不思議ではない。

「まず結論から申しますと、自殺の可能性はないと思います。なぜなら、現場に残されていた脚立やロープなどは、どうやら愛さんではない第三者によって購入されたようですから。それに、これは当時も同じような見解になりましたが、仮に愛さんが道具を用意するにしても、現場まで運び込む手段がありません。くわえて、愛さんは現場付近の地理に疎かったはずです。これらを踏まえても、やはり彼女が自殺であると考えることは不自然だと言えるでしょう」

 千早の言う通りではあるが、しかし警察は遺書の存在を重視して、愛を自殺だと断定してしまった。改めて、それが実にお粗末だったことが分かる。

「となると、現場に残されていた遺書というものも、第三者が自殺に偽装するために用意したものだと考えられます。つまり、愛さんは計画的に何者かに殺害されたことになります」

 愛の母親が固唾を飲んだ。自分の最愛の娘を死に追いやった犯人。憎くて仕方がないことだろう。ただし、もしその犯人がまた、自分の身近な人間だったとしたら――その先のことを考えて心配になる。愛の母親は事実を受け止めることができるのであろうか。
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