ロンダリングプリンセス―事故物件住みます令嬢―

鬼霧宗作

文字の大きさ
288 / 391
ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】

5

しおりを挟む
「その通りですわ。そもそも、鍵の根幹部を司る場所のドアノブが、外から取り外せてしまうなんておかしな話でしょう? ここまで言えば、どんな方法で犯人が密室を作り上げたのか見えてきたんじゃないかしら?」

 コトリは一同を見回す。しかしながら、まだ誰もピンときていないようだった。コトリはさらにもう一度咳払いをすると、冥に「改めて、この扉に鍵をかけてくださる?」とお願いする。冥は「かしこまりました」と答えると、ピッキングツールを取り出した。

 資料によると、ピッキングツールによる解錠、そして施錠は可能ではあるが、その性質ゆえに特徴的な傷がドアノブ付近に残ってしまうらしい。警察が駆けつけた際、まずピッキングで開ける前に確認したらしいから、見落とすような傷ではないと思われる。その傷が残っていれば、密室の謎は生まれていなかったであろう。

 しばらくすると「これで良いでしょう」と冥が立ち上がる。ピッキングツールを手に鍵穴から施錠を試みるメイド――実に珍しいものを見せてもらった。やはり都会は田舎とは違う。

 冥の報告に、続いてコトリは寺山に「ドライバーのようなものはある?」と問う。まさか、こんな状況でドライバーを求められるとは思っていなかったのであろう。寺山が困ったように苦笑いを浮かべると、冥が荷物からドライバーセットを取り出した。ぽつりと「こんなこともあろうかと」と呟いた。果たして彼女はどんなことを想定していたのだろうか。それにしても彼女のフットワークは非常に軽い。部下に欲しいくらいだ。

「ありがとう。じゃあセバスチャン、こちらのドアノブ――外してくださる?」

 ドライバーを受け取ったコトリは、そのままドライバーを鯖洲にパスする。鯖洲は「その呼び方、いい加減どうにかならねぇかなぁ」とぼやきつつも、ドライバーをドアノブの台座にネジに突っ込んだ。

 ドライバーでネジを外すと、台座ごとドアノブが取り外せた。ドアノブの先にはシリンダーらしきものがついているようだった。

「ほら、取り外したぞ。これで鍵が開くのか?」

ドアノブがなくなってしまったから、扉自体に手をかける鯖洲。しかし、まだ鍵はかかったままのようだ。ドアノブだけごっそり根元から抜けただけで、しかし鍵の解錠にはいたっていない。てっきり、ドアノブを外せば鍵も開いてしまうものだと思っていたのだが違うらしい。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

白馬のプリンスくんには、どうやら好きな人がいるらしい

兎束作哉
BL
――これは幼馴染ニコイチが、幼馴染から一歩進んで恋人になるまでの物語。 白雪凛は188cmの高身長の高校2年生。しかし、授業の終わりには眠ってしまう生粋の居眠り魔であり、名前も相まって“白雪姫くん”や“凛ちゃん”と弄られる。 そんな凛を起こしてくれるのは、白馬燈司という155㎝の低身長の幼馴染男子。燈司は、低身長ながらも紳士的で名前を弄って”おうじくん“と呼ばれる文武両道の優等生。 いつも通りの光景、かわいい幼馴染の声によって起こされる凛は、当たり前の日常に満足していた。 二人はクラス内で、“白雪姫カップル“と呼ばれるニコイチな関係。 また、凛は、燈司を一番知っているのは自分だと自負していた。 だが、ある日、いつものように授業終わりに起こされた凛は、燈司の言葉に耳を疑うことになる。 「俺、恋人ができたんだ」 そう告白した燈司に凛は唖然。 いつもの光景、秘密もないニコイチの関係、よく知っているはずの幼馴染に恋人が!?  動揺する凛に追い打ちをかけるよう、燈司は「恋人とのデートを成功させたいから、デート練習の相手になってほしい」と頼み込んできて……? 【攻め】白雪凛×白馬燈司【受け】 鈍感高身長攻め(平凡)×王子さま系低身長受け(美形) ※毎日12:00更新です ※現代青春BLです ※視点は攻めです

余命僅かな大富豪を看取って、円満に未亡人になるはずでした

ぜんだ 夕里
恋愛
傾きかけた家を救うため、私が結んだのはあまりにも不謹慎な契約――余命いくばくもない大富豪の辺境伯様と結婚し、彼の最期を穏やかに看取ることで莫大な遺産を相続する、というものだった。 しかし、人の死を利用して富を得るなど不正義! そう考えた私が立てたのは、前代未聞の計画。 「そうだ、遺産が残らないくらい贅沢の限りを尽くしてもらえば、すべて丸く収まるじゃない!」

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

完結【進】ご都合主義で生きてます。-通販サイトで異世界スローライフのはずが?!-

ジェルミ
ファンタジー
32歳でこの世を去った相川涼香は、異世界の女神ゼクシーにより転移を誘われる。 断ると今度生まれ変わる時は、虫やダニかもしれないと脅され転移を選んだ。 彼女は女神に不便を感じない様に通販サイトの能力と、しばらく暮らせるだけのお金が欲しい、と願った。 通販サイトなんて知らない女神は、知っている振りをして安易に了承する。そして授かったのは、町のスーパーレベルの能力だった。 お惣菜お安いですよ?いかがです? 物語はまったり、のんびりと進みます。 ※本作はカクヨム様にも掲載しております。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】 10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした―― ※他サイトでも投稿中

夫より強い妻は邪魔だそうです【第一部完】

小平ニコ
ファンタジー
「ソフィア、お前とは離縁する。書類はこちらで作っておいたから、サインだけしてくれ」 夫のアランはそう言って私に離婚届を突き付けた。名門剣術道場の師範代であるアランは女性蔑視的な傾向があり、女の私が自分より強いのが相当に気に入らなかったようだ。 この日を待ち望んでいた私は喜んで離婚届にサインし、美しき従者シエルと旅に出る。道中で遭遇する悪党どもを成敗しながら、シエルの故郷である魔法王国トアイトンに到達し、そこでのんびりとした日々を送る私。 そんな時、アランの父から手紙が届いた。手紙の内容は、アランからの一方的な離縁に対する謝罪と、もうひとつ。私がいなくなった後にアランと再婚した女性によって、道場が大変なことになっているから戻って来てくれないかという予想だにしないものだった……

処理中です...