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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】
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斑目はもちろん、これから案内しようと外に出た女性もまた、彼女の登場に驚いたことだろう。なんのつもりかと思っていると、コトリはわざとらしく敬礼のポーズをとった。
「警部、ここからは私も同行させていただきますわ!」
――どうやら、斑目の部下という設定らしい。いやいや、格好がどう考えても間違っているし、仮に本当に刑事だとしても、ドレス姿で聞き込みをしている部下を放置するなど、斑目の威信に関わる。いいや、斑目どころではなく警察全体に打撃が与えられることだろう。
「あー、はい。でしたらお願いできますかね」
こうなったらやり切るしかない。明らかに女性が訝しげな表情を浮かべている以上、とんでもない設定ではあるが、受け入れるしかないだろう。せめて案内してもらった後に合流してくれたら良かったのに――なんて考えても後の祭りだ。
「はっ! かしこまりましたわ! それでは、こちらの方の護衛をいたしますわ。例え何があろうとも、私が体を張ってお守りいたしますので、どうかご安心を」
やめておけばいいのに、余計なことを言い出すコトリ。このような状況で、ただ元自治会長のところに案内してくれるだけの女性を護衛する必要などない。そもそも、誰が命を狙うのだ。もしかすると、彼女の中にある警察のイメージというものが悪さしているのかもしれない。
「は、はぁ……ありがとうございます」
コトリの言動を明らかに不審がりながらも、女性はゆっくりと歩き出した。護衛のつもりなのか、その周囲をうろちょろとするコトリ。素人感が丸出しである。
元自治会長の家は、なるほど苦情も言いたくなるだろう。例の空き地の前だった。一度、斑目が訪れてはみたものの、反応がなかった家でもある。たまたま家を空けていたのか、それとも居留守を使われてしまったのか。なんにせよ、今は家にいるようだし、記録まで見せてもらえるのだから結果オーライだ。
女性が先頭に立ってインターフォンを越しにやり取りをすると、程なくして小柄な男性が玄関から顔を覗かせた。眼鏡をかけた、ぱっと見た感じ頑固そうな男性だった。元自治会長というのにくわえ、肝試しの若者達と揉めたという先入観があるからなのかもしれない。
「わざわざごめんなさいねぇ」
女性がそう言うのに合わせて、自然と頭を下げる斑目。コトリの存在はやはり異質だったのか、元自治会長は不思議そうに首を傾げたが、しかし「どうぞ」と招き入れてくれた。
「警部、ここからは私も同行させていただきますわ!」
――どうやら、斑目の部下という設定らしい。いやいや、格好がどう考えても間違っているし、仮に本当に刑事だとしても、ドレス姿で聞き込みをしている部下を放置するなど、斑目の威信に関わる。いいや、斑目どころではなく警察全体に打撃が与えられることだろう。
「あー、はい。でしたらお願いできますかね」
こうなったらやり切るしかない。明らかに女性が訝しげな表情を浮かべている以上、とんでもない設定ではあるが、受け入れるしかないだろう。せめて案内してもらった後に合流してくれたら良かったのに――なんて考えても後の祭りだ。
「はっ! かしこまりましたわ! それでは、こちらの方の護衛をいたしますわ。例え何があろうとも、私が体を張ってお守りいたしますので、どうかご安心を」
やめておけばいいのに、余計なことを言い出すコトリ。このような状況で、ただ元自治会長のところに案内してくれるだけの女性を護衛する必要などない。そもそも、誰が命を狙うのだ。もしかすると、彼女の中にある警察のイメージというものが悪さしているのかもしれない。
「は、はぁ……ありがとうございます」
コトリの言動を明らかに不審がりながらも、女性はゆっくりと歩き出した。護衛のつもりなのか、その周囲をうろちょろとするコトリ。素人感が丸出しである。
元自治会長の家は、なるほど苦情も言いたくなるだろう。例の空き地の前だった。一度、斑目が訪れてはみたものの、反応がなかった家でもある。たまたま家を空けていたのか、それとも居留守を使われてしまったのか。なんにせよ、今は家にいるようだし、記録まで見せてもらえるのだから結果オーライだ。
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「わざわざごめんなさいねぇ」
女性がそう言うのに合わせて、自然と頭を下げる斑目。コトリの存在はやはり異質だったのか、元自治会長は不思議そうに首を傾げたが、しかし「どうぞ」と招き入れてくれた。
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