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ケース5 誕生秘話は惨劇へ【解決編】
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人には触れてはいけないものがある。どうやら、コトリにとっては、この部分こそが触れてはならない場所だったらしい。なぜ、この事件がずっとタブー視されてきたのか。その理由を嫌というほど見せつけられてしまった。
「それでは、ここで手打ちにするということでいいですね? これ以上、事件に関わるのは得策だとは思えませんから……」
斑目がぽつりと呟いたのを見計らっていたかのごとく、コトリのスマホが鳴り響いた。静かな店内だったから、なおさらに響いたように思えたのかもしれない。
ディスプレイにはセバスチャンと表示されている。手負いの傷を負ってしまった鯖洲からの着信らしい。斑目と千早のほうを伺うと、どうぞ出てもらっても構わないとばかりに、斑目が手を差し出してくれた。
「はい……」
きっと、いつもに比べれば明らかに弱々しい声だったのであろう。まずは鯖洲の小さな溜め息から始まる。
「おいおい、どうしたんだお嬢。いつものお嬢らしくねぇなぁ」
鯖洲の声を聞いて一安心。命に関わるような傷ではないのだろうが、出血量が多くて心配ではあった。しかも、コトリを庇って負った傷だから、なおさらに心配だった。どうやら無事らしい。
「あの、お怪我のほうは大丈夫なの?」
その様子から明らかではあったが、しかし念のために聞いてみる。本人の口から大丈夫という言葉が欲しかった。折れかけていた自分の心には、誰かからのエールが必要だったのかもしれない。
「あれくらいはな、唾つけときゃ治るんだよ。それなのに、大袈裟に縫合までしやがってよ。まぁ、神経まではやられてなかったし、心配いらねぇ。それより、そっちは大丈夫なのか? 危ねぇ目に遭ったりしてねぇか?」
普段はぶっきらぼうなのに、妙に優しい鯖洲の言葉に、涙が出そうになった。そうだ、窓辺野コトリに戻れば、彼らも永続的に雇うことができる。窓辺野あかりになってしまったら、もう事故物件を漁る必要もなくなるし、彼らとの関係も終わりを迎えるだろう。
「えぇ、とりあえず直接的に何かをされたというわけではありませんわ。斑目さんも一緒にいるし、多分大丈夫だと思う」
自身のことよりもコトリのことを心配する鯖洲。今は治療に専念すべき。そう考えたコトリは、今自分の身に起きていることについては伏せることにした。そもそも、実は私は窓辺野コトリではなく窓辺野あかりでした――なんて言ったところで、鯖洲が混乱するだけだ。
「そうか。だったら、刑事の奴にも伝えてくれ。どうにも様子がおかしいから、玄界灘の奴が一里之のとこに向かったってな」
「それでは、ここで手打ちにするということでいいですね? これ以上、事件に関わるのは得策だとは思えませんから……」
斑目がぽつりと呟いたのを見計らっていたかのごとく、コトリのスマホが鳴り響いた。静かな店内だったから、なおさらに響いたように思えたのかもしれない。
ディスプレイにはセバスチャンと表示されている。手負いの傷を負ってしまった鯖洲からの着信らしい。斑目と千早のほうを伺うと、どうぞ出てもらっても構わないとばかりに、斑目が手を差し出してくれた。
「はい……」
きっと、いつもに比べれば明らかに弱々しい声だったのであろう。まずは鯖洲の小さな溜め息から始まる。
「おいおい、どうしたんだお嬢。いつものお嬢らしくねぇなぁ」
鯖洲の声を聞いて一安心。命に関わるような傷ではないのだろうが、出血量が多くて心配ではあった。しかも、コトリを庇って負った傷だから、なおさらに心配だった。どうやら無事らしい。
「あの、お怪我のほうは大丈夫なの?」
その様子から明らかではあったが、しかし念のために聞いてみる。本人の口から大丈夫という言葉が欲しかった。折れかけていた自分の心には、誰かからのエールが必要だったのかもしれない。
「あれくらいはな、唾つけときゃ治るんだよ。それなのに、大袈裟に縫合までしやがってよ。まぁ、神経まではやられてなかったし、心配いらねぇ。それより、そっちは大丈夫なのか? 危ねぇ目に遭ったりしてねぇか?」
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「えぇ、とりあえず直接的に何かをされたというわけではありませんわ。斑目さんも一緒にいるし、多分大丈夫だと思う」
自身のことよりもコトリのことを心配する鯖洲。今は治療に専念すべき。そう考えたコトリは、今自分の身に起きていることについては伏せることにした。そもそも、実は私は窓辺野コトリではなく窓辺野あかりでした――なんて言ったところで、鯖洲が混乱するだけだ。
「そうか。だったら、刑事の奴にも伝えてくれ。どうにも様子がおかしいから、玄界灘の奴が一里之のとこに向かったってな」
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