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あっさりと王都へ帰る日になった。今回の暗殺騒ぎは外に漏らさない事、と魔術書類を書くことになった。これで頭を抱えたのがエドアールだった。
「兄さんとリリゼットちゃん、お互いでお互いを縛る魔術書類を書いてもらったら………紙がもたない。魔力量がオーバーフローしてる」
と。魔術書類は魔力量がモノを言う。魔力量が多い人間が作成した書類にサインをするとその契約通りになる。今回のように事件の事を漏らさない、なら事件の事を話せなくなったりする。
なので今、公爵とリリゼットとユーグは必死に書類作成をしている。エドアールは実務の陣頭指揮をしていて手伝えないし、他の人間は手持ち無沙汰なので、ちょこちょこ覗きに来てるが、三人に相手をする余裕はない。
「もっと早くに言ってくれ、エド」
通りがかったエドアールにダンテス公爵が声をかける。
「宰相から連絡きたのがさっきなんだよ。主要人員のサインは終わってるから。残りは少しだよ」
と慰めにならない事を言う。ユーグは書類を書き写すだけなのでなんとかやっている。リリゼットはさすがに溜息はつかないが、無表情、無心で手を動かしている。三人が書類を終わらせたのは13時も半ばを過ぎた頃だった。
「おわった…」
ダンテス公爵がぐったりとペンを置く。
「おわったよ、紙の束が」
「束というか山というか…」
あまり口を利かないユーグも思わず声を出す。
「お疲れ様。昼飯はどうする?」
エドアールが声をかける。ダンテス公爵は
「さっさと帰って、王宮で食べる。お二人も一緒にどうぞ、あ、ルイ君も」
自分より上位の貴族からの誘いを断るわけにもいかず、リリゼットたち、ドルバック一行はダンテス公爵の王宮内執務室に招かれた。
王宮の王太子の応接室で別れ、王宮へのレポート提出はエドアールがまとめることになった。
「皆、この二週間の働きに感謝する。この週末はゆっくり休んでいただきたい」
王太子の挨拶ののち解散となり、ドルバック家一行はそのままダンテス公爵の執務室へ案内された。そこには既に食事がたっぷり用意されていた。リーゼも一緒だった。
リリゼットはこってりとしたシチューとパンを食べると満腹に近くなっている。お昼を向こうで食べたルイとリーゼだったがルイは旺盛な食欲で色々食べている。リーゼがリリゼットに言う。
「このごはん余っても気にしないでね。どうせお父様の夕食にもなるんでしょう?」
「当たり前だろう。かなりの仕事が溜まってるから二日ほど帰れない。リーゼはマルグリットにいつものセット頼んでおいてくれ」
「わかったわ」
リリゼットは後で聞いたのだが、この視察での襲撃に備えてリーゼの父親は一緒に来ていた事、今回転移の門を使ったのは、北方に馬車で行くと3日間かかるのだが、その行きかえりの馬車をダミーで走らせてそこにも罠を仕掛けていたという事だった。
3日後、学園から帰るとエドアールがのんびりと居間にいた。
「リリゼットちゃんおかえり」
リリゼットは一瞬躊躇したが
「おかえりなさいませ、エドアール様」
「エド先生でいいよ。また学園で先生するからさ」
今年の魔獣狩りは終わったらしい。冒険者ギルドも、騎士団も、リリゼットの父親も十分な数の魔獣の皮を確保したらしい。リリゼットの父親はこれから皮とともに領地へ行くらしい。ユーグが満足するなめし職人は領地にいるらしい。帰宅してからもジュリエットの顔はみていない。兄に聞くと
『家にはいる。絶対表には出さない。向こうのおうちでもちょっと、な』
と言っているので何かあったであろうことが予想された。
「兄さんとリリゼットちゃん、お互いでお互いを縛る魔術書類を書いてもらったら………紙がもたない。魔力量がオーバーフローしてる」
と。魔術書類は魔力量がモノを言う。魔力量が多い人間が作成した書類にサインをするとその契約通りになる。今回のように事件の事を漏らさない、なら事件の事を話せなくなったりする。
なので今、公爵とリリゼットとユーグは必死に書類作成をしている。エドアールは実務の陣頭指揮をしていて手伝えないし、他の人間は手持ち無沙汰なので、ちょこちょこ覗きに来てるが、三人に相手をする余裕はない。
「もっと早くに言ってくれ、エド」
通りがかったエドアールにダンテス公爵が声をかける。
「宰相から連絡きたのがさっきなんだよ。主要人員のサインは終わってるから。残りは少しだよ」
と慰めにならない事を言う。ユーグは書類を書き写すだけなのでなんとかやっている。リリゼットはさすがに溜息はつかないが、無表情、無心で手を動かしている。三人が書類を終わらせたのは13時も半ばを過ぎた頃だった。
「おわった…」
ダンテス公爵がぐったりとペンを置く。
「おわったよ、紙の束が」
「束というか山というか…」
あまり口を利かないユーグも思わず声を出す。
「お疲れ様。昼飯はどうする?」
エドアールが声をかける。ダンテス公爵は
「さっさと帰って、王宮で食べる。お二人も一緒にどうぞ、あ、ルイ君も」
自分より上位の貴族からの誘いを断るわけにもいかず、リリゼットたち、ドルバック一行はダンテス公爵の王宮内執務室に招かれた。
王宮の王太子の応接室で別れ、王宮へのレポート提出はエドアールがまとめることになった。
「皆、この二週間の働きに感謝する。この週末はゆっくり休んでいただきたい」
王太子の挨拶ののち解散となり、ドルバック家一行はそのままダンテス公爵の執務室へ案内された。そこには既に食事がたっぷり用意されていた。リーゼも一緒だった。
リリゼットはこってりとしたシチューとパンを食べると満腹に近くなっている。お昼を向こうで食べたルイとリーゼだったがルイは旺盛な食欲で色々食べている。リーゼがリリゼットに言う。
「このごはん余っても気にしないでね。どうせお父様の夕食にもなるんでしょう?」
「当たり前だろう。かなりの仕事が溜まってるから二日ほど帰れない。リーゼはマルグリットにいつものセット頼んでおいてくれ」
「わかったわ」
リリゼットは後で聞いたのだが、この視察での襲撃に備えてリーゼの父親は一緒に来ていた事、今回転移の門を使ったのは、北方に馬車で行くと3日間かかるのだが、その行きかえりの馬車をダミーで走らせてそこにも罠を仕掛けていたという事だった。
3日後、学園から帰るとエドアールがのんびりと居間にいた。
「リリゼットちゃんおかえり」
リリゼットは一瞬躊躇したが
「おかえりなさいませ、エドアール様」
「エド先生でいいよ。また学園で先生するからさ」
今年の魔獣狩りは終わったらしい。冒険者ギルドも、騎士団も、リリゼットの父親も十分な数の魔獣の皮を確保したらしい。リリゼットの父親はこれから皮とともに領地へ行くらしい。ユーグが満足するなめし職人は領地にいるらしい。帰宅してからもジュリエットの顔はみていない。兄に聞くと
『家にはいる。絶対表には出さない。向こうのおうちでもちょっと、な』
と言っているので何かあったであろうことが予想された。
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