リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの

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 ばたばたと王宮から宰相が飛んできて書類を持ってきた。エドアールやダンテス公爵がもくもくとサインをしている。クレマンとジョンは何が起こったのかわかっていなくてこの騒動はなにが、と思いながら事務方の手伝いに徹していた。

 「騒がせたな」

いきなり部屋に陛下が現れる。皆膝をついて平伏する。

「良い、これは非公式の訪問だからな。皆楽にするがいい」

陛下は皆に謝意を表す。

「騒がせて悪かった。全ての説明はダンテス公爵からある。それとクリストフ、すまなかった。お前を囮に使わせてもらった」

「………父上、出来れば先に話しておいていただきたかった」

「すまん。情報が不正確だったからな」

そして父と子、二人とも少し離れて話をし始めたので護衛の影以外はその部屋から退出した。


 後でダンテス公爵から説明があった。今回の騒動は生まれたばかりの我が子を王太子、次代の王にしたい第4王子の母親の実家の子爵家のたくらんだこと、ということらしい。王太子暗殺という情報をつかみ、視察先ならと罠をかけた、という事らしい。その中でリリゼットの結界はイレギュラーだったことは後で聞いた。なにかあった後の治癒力が目当てで声をかけたとエドアールに聞かされる。

 「利用して、ごめんね」

エドアールはそういうと、リリゼットの頭を撫でた。

「今度、王都の美味しいカフェに行こう」

「俺も一緒に行く!」

息を潜めて同じ部屋に居たルイが飛び出してきた。エドアールは苦笑しつつ

「ああ、ルイも一緒な」

と答えた。



 リリゼットが一人礼拝堂にいると、クレマンがそっと入ってきた。

「今日は大変でしたね。現地にいらしたから………怖くなかったですか?」

 クレマンが優しく尋ねてくれる。これだけ人間がいて『怖くなかったか』と聞いてくれたのはこの人だけだな、とリリゼットは思った。リリゼットがじっとクレマンの顔を見る。ペリドットの瞳がリリゼットのエメラルドの瞳を見返す。

 「怖いとか感じる事はなかったです。ダンテス公爵の土の壁が私たちを守ってくれました」

クレマンがにこっと笑う。

「ここへよく来てると伺いましたが」

クレマンに問われる。

「ええ、朝の祈りと夕べの祈りはここでささげてます。今は今日の無事をディアーヌ様に報告と感謝を」

 クレマンの目がディアーヌ神の立像に向く。

「美しいですね」

クレマンの感想にリリゼットは頷く。

「そして優しそうです」

  クレマンはそういうとリリゼットが初めてその立像を見た日と同じようにそっと指先に触れた。その時リリゼットは『あ、私はきっとこの人を愛せる』と唐突に思った。
 リリゼットは何も考えずにクレマンを誘う。

「一度、日の日の礼拝に行きませんか?」

クレマンはほほ笑みながら頷いた。

「ええ、一緒に行きましょう。この視察から帰った次の週の日の日に」

「お昼は私の家で食べましょう。うちのシェフも喜びます」

「はい。では、その日に迎えの馬車を出しますね。一番大きい教会に我が家の席がありますからそちらで礼拝を」

クレマンの提案にリリゼットは

「はい」

と返事をした。
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