リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの

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閑話  ジュリエット 4

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 ミレー氏とニコルの二人の沈黙は重かった。ニコルはどうするべきか悩んでいたがミレー氏の妻、義母のためにもジュリエットは家に連れて帰るべきだなとは思っていた。


 つかつかつか、と義叔母が入ってきた。
「婦人会で一致で決めたのは、貴方達が離婚しないのなら、ジュリエットは表向きに出さないでください。2年でも3年でも教育してくださっていいですが、貴方達が教育終了と思った時点で私たちが一度様子を見ます。それと婦人会には永久にかかわらなくて結構です。というより、関わる気はないです、こちらとしても」

義叔母はここまで一気に言うと一旦休む。そしてまた口を開く。

「こちらに帰る時は礼拝には顔を出さないようにしてください。それと8家と婦人会はジュリエットさんと縁切りしますので、彼女が関われるのは自分のご実家のみとなります。実家周りとの付き合いもジュリエットさんは極力避けてください。わかりますね?それが我々婦人会と8家の意向です。もちろんですがロメオさんと我が娘の婚約は解消です。娘は王都にやって、そちらで新たに婚約者をみつけます」

「実家周りの付き合いの話はミレー氏におまかせします、そちらの話になると思うので」

ミレー氏も頷く。実家周りはミレー氏の所有地でもあるからだ。ミレー家に婚約破棄の話は早々に正式な使者と立てるということで決まった。



 「元気だった?」

ジュリエットの実家でジュリエットと向き合う。24という年齢には幼い容姿で華奢なジュリエットは目に涙を貯めてニコルの胸に飛び込んだ。

「バカっ、なんでほっておくのよ」

娘の言いようにミレー氏ははらはらする。

「………なにも反省してないんだね」

そう言った時のニコルの目を見た周りの人間は『あ、ヤバイ』と思ったが当事者のジュリエットは胸に顔をうずめてぐずぐず言っていたので見えていなかった。

「ドルバックの長として命じます。貴方は本家の本邸で蟄居扱いとなります。数年の教育の仕上がり次第で段階的に蟄居は解かれます。その間実家に帰る事だけは自由にしますが、勝手に実家に帰れば私は迎えに行きませんし、離縁とします。また、貴方は8家と婦人会に接触することは禁止です。これを破れば相応な罰がありますが、それは貴方ではなくミレー氏、及びミレー氏が責任を持つ領地が不利益を被ります。またこちらに来ている間は礼拝への参加は認められません。礼拝に行くと8家と婦人会に関わることになるからね?」

「え?ええ?」

ジュリエットは何故礼拝に行くことが婦人会や8家に関わる事になるのかはわかっていなかった。ニコルは話を続ける。

「教会の運営は婦人会と8家でやっているからね。君はそんなことも知らないので、『教育』されるんだ。最初はレティと一緒にマナーと貴族史の初歩をやる。領地の事は執事長から講義がある。これも最初はレティと一緒にやる」

レティ、ジュリエットとニコルの末の娘、レティシアの事だった。現在4才でマナーの講義を開始し始める年齢でもあった。

 「君は変わらないといけない。このまま、表には出せない『妻』なんだよ、今の君は」

「ニコル様、あんまりです」

乳母が声をあげる。

「貴方に発言を許可していない。貴方は二度とドルバックの本邸に足を踏み入れられないと思っておいてくれ。王都でも、領地でも」

 乳母は下を向き、拳を握りしめている。ニコルは、ああ、ジュリエットとそっくりだと思った。ミレー氏の妻、エセルはハンカチを握りしめていて、姉妹、母娘の動作の似てることにニコルは遺伝なのか、生活を一緒にしたことによる相似なのか、と横にそれたことを考えていた。



 「それでも本邸に帰るかい?」

「ここに残るって言ったら?」

ニコルにジュリエットは聞く。

「ここで蟄居になる。子供に会えるのは年に1回か2回、その際に全員と会えるとは限らない。彼らのスケジュールを優先するからね。君のせいで君の弟の婚約は解消されるそうだから弟さんからの恨みはあるだろうね」

「なら、本邸に戻ります。教育も受けます…」

「不服そうだね。教育が正しく身に着けば自分がなにをしてなにが出来てないか、わかるよ。ミランダもユーグももう知っている。貴方には私に早々嫁いでもらったから彼らが受けているような教育を受ける機会もなかったので、教育を受けてもらう」

 ニコルの言葉にジュリエットは悔しそうだったが頷いた。ルイの下の双子は初等部から学園に属しているので既に貴族社会の事や順位、序列、マナーを叩き込まれている。

 学園の初等部は6年間、ずっと爵位ごとのクラスに分けられている。クラスごとに制服のタイの色が違い一目見るだけで爵位がわかる。ただし庶子の場合は全員、平民クラスになるらしい。最近は庶子は初等部からの学園入学をさせる家は殆どない。彼らが庶子に身につけさせたいのは貴族のマナーであって平民の為の授業は必要ではないからだ。

 一通りの話を終わらせ、詳細は書式にしてジュリエットとミレー家に送られることになった。
 子供たちが使用人に連れられて部屋に入ってきた。5人の子供を抱きしめた後ジュリエットは尋ねる。
「ルイは?」 
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