良家で才能溢れる新人が加入するので、お前は要らないと追放された後、偶然お金を落とした穴が実はガチャで全財産突っ込んだら最強になりました

ぽいづん

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第19話 入団試験

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「まあ、入って入って」
 眼鏡の人に促され部屋に入って椅子の脇に立つ。

 眼鏡の人が俺を見て口を開く。
「僕は一応、副団長のリュミエル。こっちは」
「俺は上級騎士のアレジオ」

 俺は直立して「ウェブ・ステイです!」と言って騎士団の挨拶を行う。

「座って座って」
 と副団長が言う。

 俺が椅子に座ると副団長が切り出す。
「それじゃさ。ウェブ君は騎士になりたいんだよね。 騎士にとって必要ものってなんだと思う?」

 騎士にとって必要な物……俺はなんで騎士になりたかったんだっけ?

 ……カッコいい制服が着たかったからだよなぁ……

「……制服です!」

 アレジオはぷっ! と吹き出して笑って呆れたというような表情で俺に話しかける。

「制服!? アホか騎士に必要なのはその格式の高さと誇りの高さ、それに強さだ! 子供かお前は!」

「あ……」

 やっちゃった……

 副団長はドヤ顔をして隣でふんぞりかえるアレジオをチラッと見ると話しかけてくる。

「あははは。制服ね! 制服! 僕も子供の頃、制服に憧れて騎士団に入ろうと思ったんだよね。騎士としての名誉、誇りが詰まってるよね」

「そ、そうです! それです! 名誉と誇りです!」

「ふん! 制服に名誉と誇りがあるか!」
 不機嫌に語気を強めるアレジオ。

 副団長がアレジオに諭すように話す。
「そうですか……アレジオさんはこの制服に名誉も誇りもないと? 子供達がこの制服に憧れるって先人達が築き上げてきた事の賜物だと思うんですよね。アレジオさんのお祖父様もこの制服を着てご活躍されてたんですよね」

「っち!」
 アレジオは舌打ちをするとプイッと横を向く。

 そこから少し副団長と雑談をする。そして「そろそろ体力試験に移ろうか」という副団長。

 よし! 体力試験なら自信しかない!だって俺は運以外はSだしな!

 雑談を黙って聞いていたアレジオはニヤッと笑い話し掛けてくる。

「じゃあ今ここで腕立て伏せな。回数はこれね」
 そう言って手の指を全て開き5本の指を俺に見せるアレジオ。

「5000ですよね」

 俺はそう言ってうつ伏せになると早速腕立て伏せを開始する。

 アレジオの挑発するような声が聞こえてきた。
「は?5000?! やれるもんならやってみな!」


「1、2、3……」

 全くペースを落とすことなく10分弱で1000を超える。

「1000、1001、1002……」

 汗一つかかずペースも全く落とさず腕立て伏せをしていると、アレジオが不機嫌に声を掛けてくる。

「もういい! 分かったから」
「え! もういいんですか?まだ1000ぐらいですけど」
「いいって! 次は……」
「腹筋5000ですね!」

 俺はそう言って仰向けになり腹筋を始める。

「腹筋はいいから! お前が筋肉自慢なのは分かったから!」

 口元を隠して笑いを堪えるに必死な副団長。

「つ、次は剣技だ。騎士として必要な剣技を見る。ついてこい」

 部屋を出て3人で歩いていくと、板張りの床の道場に着く。

 中では複数の騎士達が木剣を手に汗を流している。

 アレジオが道場にいる騎士に声を掛ける。
「そこのお前とお前、あとはそこの奴。こいつと模擬戦だ」

 壁に掛けられた木剣を手に取って道場の中央に立つと俺の対戦相手の騎士の一人が正面に立った。

 あ! そうだ! 1人ずつちまちまやるより、3人全員を一気に倒したら合格決定じゃなかろうか?

「あのぉ、差し出がましいんですが……3人全員を一気に相手にしても構いませんか?」

 アレジオはフッと鼻で笑う。
「は? 現役の騎士、3人を一気に相手にする?! この3人は騎士団の剣術大会でも上位の3人、1人でもお前が勝てる相手じゃな……」

 アレジオは途中で言いかけて止め、ちょっと考え込む仕草をした後ニヤッと笑って話し始める。

「いや3人全員を相手にしてもらうか……勿論負けたら失格な」

「ウェブ君、本当にいいんだね?」
 副団長が念を押すように言った。

「はい」と頷く俺。

 いいですか?というような表情で立つ騎士3人に頷いて答えるアレジオ、その合図で3人が俺の前に立つ。

 そして「始め!」という声が道場の中に響く。

 その瞬間に俺の身体は加速をする、動いてはいただろうが3人の動きは止まって見える。まだ暗黒騎士ブラッドの方が速いと感じられるほど、そのまま急所を外して3人の胴を撃つ。その数秒後にその場で腹を押さえてうずくまる3人。

「これでいいですよね? 合格ですか?」

「「……」」

 副団長、アレジオ共に絶句し言葉を失っている。

「合格ですよね!」
 語気を強めていうと2人はハッとする。

「ま、まだだ。まだ最終試験が残ってる!……」
 アレジオはそう言うと道場を後にする。

 副団長が話しかけてくる。
「君……凄いね……あの3人を一瞬で……」
「素早さSですし、力もS+なんで俺、強いっす」

 副団長は戸惑いながらも答える。
「あ、ああ……君は変わった人だねぇ」
「そうですか? 普通の人だとおもいますけど」

「ただ次の試験は腕っぷしは役に立たないからね」

 元の部屋に戻る。元の部屋ではアレジオがティーカップにお茶を入れて優雅に飲んでいる。

 俺たちが帰ってきたことに気がつくと、アレジオがティーカップを机に置き話始める。
「次の試験は騎士としての教養をみる試験だ」

 アレジオがパンパンと手を叩くと陶器のケトルとティーカップをもった人が入ってくる。

 嫌味っぽくアレジオはこういった。
「騎士にとってティータイムは重要だ。こうやって気品高いお茶を飲みながら貴族達と民草について語り合うものだ」

「は、はぁ……」

 机の上に置かれたティーカップ二つ。

 得意げな顔でアレジオがこういった。
「この二つのティーカップのうちどれか一つに格式の高い紅茶が入れられている。騎士としての教養があるのであれば勿論わかるはずだ」

 ふふふ!! 勝った!! これは飲まずとも分かる!! 審美眼を使えば一発で分かる!

「はい。わかりますよ。飲まずともわかります」

 俺がそういうとムっとした表情をするアレジオ。
「そ、それじゃ飲まずに当てて貰おうウェブ君に!」

 早速、審美眼! と念ずる。

 すると、ティーカップに入れらたお茶2つともが輝いている。

 え……あ……あれ……おかしい……輝いてる方が高級品の筈……このどれかが高級茶葉のお茶って言ってたよな……

 ……わ、わかんねぇぇぇ……どうしよう……

 アレジオは勝ち誇ったような顔して
「そりゃ、そうだ平民に分かる訳がない!」

 ど、どうする? 当てずっぽうで決めるか? 半々の確率だ……俺の運にかける……運Aのこの運に……

 ……いや審美眼を信じよう……俺の審美眼は真贋を見極める確かな目だ……ただ(中)だけどそれでも紅茶の値段ぐらいは分かるはず。

「す、すいません……俺の審美眼(中)では2つとも同じ価値のものです。同じ価値のものにしか見えません。そんなものに優劣をつけることなんてできません……」

 俺がそう言うとパチパチと副団長が拍手をする。
「おめでとう。それが正解だよ。騎士団に入団する最後のテストに二者択一の運任せとも言える試験をするはずがない。価値のあるものをちゃんと価値のあるものだときちんと言える君の騎士としての誇りをみせてもらったよ」

 ガタッ!

 アレジオは怒りに肩を震わせながら立ち上がって副団長に指をさしながら声高に叫ぶ。
「おい!! あんたらグルだろ!! 一緒に帰ってきたからこの試験の秘密をこいつに漏らしたんだ!! 大体、平民上がりのくせに副団長なんかしやがって! だからだろ!だからこいつを贔屓にしてるんだろ!!」

 副団長の顔はニコニコとし表情を変えない。
「アレジオ君、確かに僕は平民あがりで騎士になった。だからといってウェブ君を贔屓にしていることはない。それでも僕のことを疑うというなら真紅のリュミエルと決闘裁判でも行うかい?」

 その声は静かに怒っているというような感じで、離れて聞いている俺も背筋がゾクッとするような感じとなる。

「く……」
 拳を握り下を向いて何も言えなくなるアレジオ。

「それじゃ。合格だねウェブ君。細かい事はまた事務の人が教えてくれるから」

 そう言って副団長が立ちが上がるとアレジオは俺を指差し狂乱したような声で叫ぶ。

「そうだ! 最初! 一番最初にこいつに俺は失格って言った!! そうだ! こいつは失格だ!!」

 はぁとため息をつく副団長。
「最初に君が言ったじゃないか? 不問にすると。それとも騎士なのに二言があるとでも?」
 そう言った直後、それまで笑っていた眼が一瞬だけキリッとアレジオに睨みつけた。

 その眼を見たアレジオはそのままヘナヘナと座り込み
「ありません……」と一言いった。
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