3 / 43
第1章 最底辺
第3話 ヘブンズワークス
しおりを挟む
外はまだ薄暗く、東の空がかすかに色づき始める。
板張りの狭い部屋に、人ひとりなんとか横になれる2段になったベッドが置かれ、薄い布団にくるまって、下のベッドで寝ていた私は飛び起きた。
日付が変わる頃に仕事を終え、そのままベッドに倒れ込んだため、私が身にまとっている服は、元々は白い色をしていたのだろうが、汗がにじみところどころ茶色く変色している。
部屋の扉を静かに開け、洗面所に向かう、洗面所に向かう廊下には綿ぼこりが落ち、むき出しの木の壁は隙間風がふきぬけている。
廊下の角をまがると洗面所だ。
すでに洗面所には先客がいる。
「おはようございます……」
「ああ、おはよう」
「となりいいですか」
「どうぞ」
洗面台は2つあるため、私は軽く挨拶をし隣の洗面台を使う。
木できたバケツが置かれており、そこには濁った水がはってある。
自分の鏡に映った姿を改めて確認する、うっすら金髪がみえる坊主頭に、充血した青い目の下にはっきりと黒いクマがみえる。
ああ、なんてひどい私の顔……
隣の洗面台を使っている、赤毛の髪を短く切った男が話しかけてくる
「おい、レクシア、今日の仕事も警備だってよ」
男は洗顔を終え顔あげる、死んだ魚のように濁った赤い目をしているその男性の目の下のクマは私よりも濃い
この男の名は、ミルゲイ・ジプレ、私の1年先輩にあたる人で仕事のことをいろいろと教えてくれる
「また土嚢を積む仕事ですか」
建前上は、王宮の警備となってはいるが私たちの仕事は騎士団か仕事がしやすいように道の整備をしたりするというものである。
「ああ、今月休みなしだなぁ……」
「そうですね……」
「じゃあ先に行ってる」
ミルゲイさんは洗顔を終え、洗面所を後にした。
私はレクシアと名乗りあの一件から、この最底辺ギルドヘブンズワークスで1年間限定の約束で働いている。
このことはギルドのメンバーには秘密にしており、自分の生まれや育ちについても他言はしていない。
今日1日働けば、約束の1年となる。
濁った水で顔を洗い、汚れたシャツで顔を拭き、食堂に向かう、シーンと静まり返った食堂には、10人ほどの人間がテーブルについており、みんな一様に疲れた表情で黙々とパンとスープを口に運んでいる
1年先輩のミルゲイさんもテーブルにつき、パンを口にいれている。
食堂の隅に雑多におかれたパンと、大きなバケツに入ったスープを皿にいれ、ミルゲイさんの隣に座る。
このパンはというとレンガのような硬さで、このパンで殴れば人も殺せそうなほどである。
スープはスープで全く味がしないうえに具はなく、冷め切っており、水を飲んだほうがましと言われるようなものである。
みんな無口にひたすら、食事を取ると、ぼさぼさの赤い髪にたるんだ顎に酒樽のようにでっぷりとし腹をした中年の男が食堂にやってきた。
この男の目には生気が宿っており、十二分に休養がとれているという印象を受ける。
「さあ、今日も仕事にいくぞ」
「……はい」
全員で返事をする
「声が小さいなぁおまえら働ける喜びだろ? 」
「はい! 」
「そうそうやればできる、それじゃ行くぞ」
男の合図で全員が木造の寄宿舎をでて、まだ夜も明けきらないうちに、ヘルメットと呼ばれる鉄製の丸い兜を被って、仕事に向かう馬車に乗り込んだ。
ーー1年前
深淵の誓約書にサインをした、私の目の前に現れた男は、自分をセルゲイ・ドミノフスク、ギルド、ヘブンズワークスのオーナーであり、団長と呼ばれていると名乗った。
「お前は今日からレクシアだ。わかってるとは思うがお前がガレオンの貴族であることを言いふらしたらその時点でおまえは深淵に落ちるからな」
「なんでそのことを…」
セルゲイが持ってた紙をヒラヒラと私にみせる。
「それは深淵の誓約書…」
「ああ、お前がサインしているなぁ」
「1年間の約束だ」
「ああわかってるよ、当然わかってる」
「ああそれとな、その髪じゃ仕事にならん、いますぐ刈れ」
そういって団長は、持っていたナイフを板張りの床に放り投げた。
刃の部分が木製の床にすっと刺さる。
髪を切れ?今までそんなことなどいわれたこともない、金よりも価値があるといわれた私の髪を切れというのか、この醜いウシガエルは。
「嫌だ」
「ふん、それならばお前はクビだ、クビ」
そうだそれでいい、クビになれば私は無罪放免晴れてガレオンに帰れるというもの。
「ああ、それでいい」
ウシガエルは誓約書を広げ読みだす
「私、アレクシア・ノーベルは1年間にわたって、ここヘブンズワークスで働きますと書いてあるな」
「ああ」
「それなら貴族のバカな頭でも分かるだろ?」
……そうか、そういうことか1年間私はこのギルドで働く必要があると…働くことができなくなれば、深淵に落ちてしまうのだ…
つまり、1年間このウシガエルの言いなりになる必要があるということ…
1年間だ1年間辛抱すればいいだけの話、髪はまた生えてくる。
「……これでいいんだな」
私はナイフを手し自らの頭に刃をあてる、金より価値があるとよばれた金色の髪の束が音をたてて床に落ちていく
「おお、いい頭になったな」
団長は上機嫌に話す。
「まあ、これでおまえがアレクシアということはばれないだろうもっともこの国に、お前を見たことがあるやつがどれだけいるかは知らんが」
「さあこっちだ、お前が1年間暮らす部屋を案内してやる、ただ、ほかのメンバーにはお前が一年間でやめることを言ったらだめだからな、士気がさがる」
「わかりました」
私はセルゲイのあとをついていく。あたりは真っ暗で、もうすっかり夜のとばりが降りている。
石造りの建物が並び、石畳で整備された道を歩いていく、等間隔に松明がたかれており、それほど暗さはかんじることはなかった。
5分程歩いた
「ここだ」
セルゲイに案内された先には、古い木造の2階建ての長屋で、窓には一応ガラスははいっているところもあるが、木の板でふさがれている箇所もある。
これが家なのか?こんな家などみたことがないぞ、こんなところに人間が住めるのか?
「流石貴族様、こんなところには住めませんと顔に書いてあるぞ」
「住むしかないんだろ…」
「当たり前だ」
セルゲイがドアを開けなかにはいり、同じようなドアが何個かあり、そのうちの一つの前で止まる。
「ここが、お前の部屋だ、レクシア」
そういって通された部屋は、隅に人ひとりが横になれるベッドが2段重ねにされており、そのベッドしかおかれていない殺風景な部屋であった。
「ん?どうした不服そうな顔だが」
なんだこの部屋はウサギ小屋か?ノーベル家の長男をウサギ小屋に閉じ込めるなど…
「私をこんなウサギ小屋に閉じ込めるなど、あり得ない」
「なにを言ってるんだ。ウサギなんかいないだろここにいるのは人間、お前の部屋」
「ありえない、私をこんな部屋に閉じ込めるなど」
「あーあ、お前自分の立場分かっていってるよな?」
く、こいつ私が逆らえないことを知った上で
「な、慣れたら住めます」
「だろ?住めば都ってな」
「ミルゲイ、ミルゲイ」
セルゲイが人の名前をよんでいる。
すると2段ベッドの上からみじかく切りそろえた赤い髪の男がのそっと起き上がる。
セルゲイが赤毛の男に話しかける
「ミルゲイ、ルームメイトができたぞ、レクシアだ」
「よろしくお願いします」
私が挨拶をすると
「よろしく」
そういうとすぐに赤毛のミルゲイという男は横になった。
「まあそういことだレクシア、朝仕事の迎えにくるからな」
セルゲイはそう言い残し、建物から去っていた。
「……ミルゲイさん、風呂に入りたいのですが」
ミルゲイは起き上がろうともせず、ねたままぶっきらぼうな感じで答える。
「…風呂は週3回今日は風呂の日じゃねーよ」
毎日風呂に入れない?私の日課である入浴マッサージができないだと、どうやって1日の疲れをいやせばいいのだ、無理だ、私にこんな生活はできない!
……駄目だ、冷静になれ、アレクシアたった1年だ1年その間耐え忍ぶそれだけでいい。
そうだ食事だ、今朝から私はなにも食べていない、腹が減っているから熱くなるのだ。
「そうでしたか、それなら夕飯は?」
「夕飯はもう終わった、お前の分はなし、以上」
なんだと、私の食事が無い…この人、ミルゲイという人は私に嫌がらせをしているのか?そうだ、そうに違いない。私との身分の違いを感じ嫌がらせをしているのだろう。
……
ま、まて、私は今日急に来たのだ食事の準備などされていなくて当然なことだ。
諦めよう、もう寝よう全てを忘れて夢の世界へ行こう。
「わかりました、それなら寝るしかなさそうですね」
「ああ、早く寝ないと明日の仕事にさわるぞ」
紙のように薄い毛布にくるまり、レンガのように硬い布団の上でしかたなく横になった。
こんな布団で眠れる人間などいるの…か…
「起きろ、仕事だぞ、起きろ」
目を開けるとミルゲイさんのベッドを蹴りながら起こしている。
窓から外をみるが、うっすらと空が白むていどでまだ夜も明けていない。
「まだ夜明け前じゃないですか…」
「俺たちは今から仕事なの、お前が遅刻すると俺も連帯責任で怒られるから早く支度しろ」
「は、はい」
私はベッドから起き上がる。
「なんだよ、その恰好騎士さまかよ」
「これは…」
剣術用の白く体に沿ったデザインの道着を着用している。
「いいから、これに着替えな」
ベッドしかないと思われた部屋であったが、部屋の隅にちいさな四角のタンスがあり、ミルゲイはタンスから白いシャツと、穴の開いた青いズボンを取り出し、私に放り投げた。
なんだこの服は、ほのかに汗の匂いもしているぞ、こんな不潔な服を着るなど、貴族の私に……。
1年たてば、清潔な服にみを包み、華麗な生活に戻れるたった1年だ…
「ありがとうございます」
「そんな恰好で仕事されたらこっちが迷惑ってもんだ」
「すいません」
着替えを終え、ミルゲイの後に続く、テーブルが並ぶ部屋に着くとすでに10人ほどがいた。
「朝食ですか?」
「飯なんかもうとっくに終わってる」
セルゲイがやってくるなり口を開く
「全員、そろってるな」
1人の男が返事をする
「はい!」
「よろしい、それじゃ行くぞ」
全員がセルゲイの後をついていく。
馬車が2つほど用意されており、それぞれの馬車に乗り込む。
「新入り、ヘルメットだ」
ミルゲイにそういって渡されたのは、頭のみを隠すことができる、丸い兜であった。
板張りの狭い部屋に、人ひとりなんとか横になれる2段になったベッドが置かれ、薄い布団にくるまって、下のベッドで寝ていた私は飛び起きた。
日付が変わる頃に仕事を終え、そのままベッドに倒れ込んだため、私が身にまとっている服は、元々は白い色をしていたのだろうが、汗がにじみところどころ茶色く変色している。
部屋の扉を静かに開け、洗面所に向かう、洗面所に向かう廊下には綿ぼこりが落ち、むき出しの木の壁は隙間風がふきぬけている。
廊下の角をまがると洗面所だ。
すでに洗面所には先客がいる。
「おはようございます……」
「ああ、おはよう」
「となりいいですか」
「どうぞ」
洗面台は2つあるため、私は軽く挨拶をし隣の洗面台を使う。
木できたバケツが置かれており、そこには濁った水がはってある。
自分の鏡に映った姿を改めて確認する、うっすら金髪がみえる坊主頭に、充血した青い目の下にはっきりと黒いクマがみえる。
ああ、なんてひどい私の顔……
隣の洗面台を使っている、赤毛の髪を短く切った男が話しかけてくる
「おい、レクシア、今日の仕事も警備だってよ」
男は洗顔を終え顔あげる、死んだ魚のように濁った赤い目をしているその男性の目の下のクマは私よりも濃い
この男の名は、ミルゲイ・ジプレ、私の1年先輩にあたる人で仕事のことをいろいろと教えてくれる
「また土嚢を積む仕事ですか」
建前上は、王宮の警備となってはいるが私たちの仕事は騎士団か仕事がしやすいように道の整備をしたりするというものである。
「ああ、今月休みなしだなぁ……」
「そうですね……」
「じゃあ先に行ってる」
ミルゲイさんは洗顔を終え、洗面所を後にした。
私はレクシアと名乗りあの一件から、この最底辺ギルドヘブンズワークスで1年間限定の約束で働いている。
このことはギルドのメンバーには秘密にしており、自分の生まれや育ちについても他言はしていない。
今日1日働けば、約束の1年となる。
濁った水で顔を洗い、汚れたシャツで顔を拭き、食堂に向かう、シーンと静まり返った食堂には、10人ほどの人間がテーブルについており、みんな一様に疲れた表情で黙々とパンとスープを口に運んでいる
1年先輩のミルゲイさんもテーブルにつき、パンを口にいれている。
食堂の隅に雑多におかれたパンと、大きなバケツに入ったスープを皿にいれ、ミルゲイさんの隣に座る。
このパンはというとレンガのような硬さで、このパンで殴れば人も殺せそうなほどである。
スープはスープで全く味がしないうえに具はなく、冷め切っており、水を飲んだほうがましと言われるようなものである。
みんな無口にひたすら、食事を取ると、ぼさぼさの赤い髪にたるんだ顎に酒樽のようにでっぷりとし腹をした中年の男が食堂にやってきた。
この男の目には生気が宿っており、十二分に休養がとれているという印象を受ける。
「さあ、今日も仕事にいくぞ」
「……はい」
全員で返事をする
「声が小さいなぁおまえら働ける喜びだろ? 」
「はい! 」
「そうそうやればできる、それじゃ行くぞ」
男の合図で全員が木造の寄宿舎をでて、まだ夜も明けきらないうちに、ヘルメットと呼ばれる鉄製の丸い兜を被って、仕事に向かう馬車に乗り込んだ。
ーー1年前
深淵の誓約書にサインをした、私の目の前に現れた男は、自分をセルゲイ・ドミノフスク、ギルド、ヘブンズワークスのオーナーであり、団長と呼ばれていると名乗った。
「お前は今日からレクシアだ。わかってるとは思うがお前がガレオンの貴族であることを言いふらしたらその時点でおまえは深淵に落ちるからな」
「なんでそのことを…」
セルゲイが持ってた紙をヒラヒラと私にみせる。
「それは深淵の誓約書…」
「ああ、お前がサインしているなぁ」
「1年間の約束だ」
「ああわかってるよ、当然わかってる」
「ああそれとな、その髪じゃ仕事にならん、いますぐ刈れ」
そういって団長は、持っていたナイフを板張りの床に放り投げた。
刃の部分が木製の床にすっと刺さる。
髪を切れ?今までそんなことなどいわれたこともない、金よりも価値があるといわれた私の髪を切れというのか、この醜いウシガエルは。
「嫌だ」
「ふん、それならばお前はクビだ、クビ」
そうだそれでいい、クビになれば私は無罪放免晴れてガレオンに帰れるというもの。
「ああ、それでいい」
ウシガエルは誓約書を広げ読みだす
「私、アレクシア・ノーベルは1年間にわたって、ここヘブンズワークスで働きますと書いてあるな」
「ああ」
「それなら貴族のバカな頭でも分かるだろ?」
……そうか、そういうことか1年間私はこのギルドで働く必要があると…働くことができなくなれば、深淵に落ちてしまうのだ…
つまり、1年間このウシガエルの言いなりになる必要があるということ…
1年間だ1年間辛抱すればいいだけの話、髪はまた生えてくる。
「……これでいいんだな」
私はナイフを手し自らの頭に刃をあてる、金より価値があるとよばれた金色の髪の束が音をたてて床に落ちていく
「おお、いい頭になったな」
団長は上機嫌に話す。
「まあ、これでおまえがアレクシアということはばれないだろうもっともこの国に、お前を見たことがあるやつがどれだけいるかは知らんが」
「さあこっちだ、お前が1年間暮らす部屋を案内してやる、ただ、ほかのメンバーにはお前が一年間でやめることを言ったらだめだからな、士気がさがる」
「わかりました」
私はセルゲイのあとをついていく。あたりは真っ暗で、もうすっかり夜のとばりが降りている。
石造りの建物が並び、石畳で整備された道を歩いていく、等間隔に松明がたかれており、それほど暗さはかんじることはなかった。
5分程歩いた
「ここだ」
セルゲイに案内された先には、古い木造の2階建ての長屋で、窓には一応ガラスははいっているところもあるが、木の板でふさがれている箇所もある。
これが家なのか?こんな家などみたことがないぞ、こんなところに人間が住めるのか?
「流石貴族様、こんなところには住めませんと顔に書いてあるぞ」
「住むしかないんだろ…」
「当たり前だ」
セルゲイがドアを開けなかにはいり、同じようなドアが何個かあり、そのうちの一つの前で止まる。
「ここが、お前の部屋だ、レクシア」
そういって通された部屋は、隅に人ひとりが横になれるベッドが2段重ねにされており、そのベッドしかおかれていない殺風景な部屋であった。
「ん?どうした不服そうな顔だが」
なんだこの部屋はウサギ小屋か?ノーベル家の長男をウサギ小屋に閉じ込めるなど…
「私をこんなウサギ小屋に閉じ込めるなど、あり得ない」
「なにを言ってるんだ。ウサギなんかいないだろここにいるのは人間、お前の部屋」
「ありえない、私をこんな部屋に閉じ込めるなど」
「あーあ、お前自分の立場分かっていってるよな?」
く、こいつ私が逆らえないことを知った上で
「な、慣れたら住めます」
「だろ?住めば都ってな」
「ミルゲイ、ミルゲイ」
セルゲイが人の名前をよんでいる。
すると2段ベッドの上からみじかく切りそろえた赤い髪の男がのそっと起き上がる。
セルゲイが赤毛の男に話しかける
「ミルゲイ、ルームメイトができたぞ、レクシアだ」
「よろしくお願いします」
私が挨拶をすると
「よろしく」
そういうとすぐに赤毛のミルゲイという男は横になった。
「まあそういことだレクシア、朝仕事の迎えにくるからな」
セルゲイはそう言い残し、建物から去っていた。
「……ミルゲイさん、風呂に入りたいのですが」
ミルゲイは起き上がろうともせず、ねたままぶっきらぼうな感じで答える。
「…風呂は週3回今日は風呂の日じゃねーよ」
毎日風呂に入れない?私の日課である入浴マッサージができないだと、どうやって1日の疲れをいやせばいいのだ、無理だ、私にこんな生活はできない!
……駄目だ、冷静になれ、アレクシアたった1年だ1年その間耐え忍ぶそれだけでいい。
そうだ食事だ、今朝から私はなにも食べていない、腹が減っているから熱くなるのだ。
「そうでしたか、それなら夕飯は?」
「夕飯はもう終わった、お前の分はなし、以上」
なんだと、私の食事が無い…この人、ミルゲイという人は私に嫌がらせをしているのか?そうだ、そうに違いない。私との身分の違いを感じ嫌がらせをしているのだろう。
……
ま、まて、私は今日急に来たのだ食事の準備などされていなくて当然なことだ。
諦めよう、もう寝よう全てを忘れて夢の世界へ行こう。
「わかりました、それなら寝るしかなさそうですね」
「ああ、早く寝ないと明日の仕事にさわるぞ」
紙のように薄い毛布にくるまり、レンガのように硬い布団の上でしかたなく横になった。
こんな布団で眠れる人間などいるの…か…
「起きろ、仕事だぞ、起きろ」
目を開けるとミルゲイさんのベッドを蹴りながら起こしている。
窓から外をみるが、うっすらと空が白むていどでまだ夜も明けていない。
「まだ夜明け前じゃないですか…」
「俺たちは今から仕事なの、お前が遅刻すると俺も連帯責任で怒られるから早く支度しろ」
「は、はい」
私はベッドから起き上がる。
「なんだよ、その恰好騎士さまかよ」
「これは…」
剣術用の白く体に沿ったデザインの道着を着用している。
「いいから、これに着替えな」
ベッドしかないと思われた部屋であったが、部屋の隅にちいさな四角のタンスがあり、ミルゲイはタンスから白いシャツと、穴の開いた青いズボンを取り出し、私に放り投げた。
なんだこの服は、ほのかに汗の匂いもしているぞ、こんな不潔な服を着るなど、貴族の私に……。
1年たてば、清潔な服にみを包み、華麗な生活に戻れるたった1年だ…
「ありがとうございます」
「そんな恰好で仕事されたらこっちが迷惑ってもんだ」
「すいません」
着替えを終え、ミルゲイの後に続く、テーブルが並ぶ部屋に着くとすでに10人ほどがいた。
「朝食ですか?」
「飯なんかもうとっくに終わってる」
セルゲイがやってくるなり口を開く
「全員、そろってるな」
1人の男が返事をする
「はい!」
「よろしい、それじゃ行くぞ」
全員がセルゲイの後をついていく。
馬車が2つほど用意されており、それぞれの馬車に乗り込む。
「新入り、ヘルメットだ」
ミルゲイにそういって渡されたのは、頭のみを隠すことができる、丸い兜であった。
11
あなたにおすすめの小説
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
神様に与えられたのは≪ゴミ≫スキル。家の恥だと勘当されたけど、ゴミなら何でも再生出来て自由に使えて……ゴミ扱いされてた古代兵器に懐かれました
向原 行人
ファンタジー
僕、カーティスは由緒正しき賢者の家系に生まれたんだけど、十六歳のスキル授与の儀で授かったスキルは、まさかのゴミスキルだった。
実の父から家の恥だと言われて勘当され、行く当ても無く、着いた先はゴミだらけの古代遺跡。
そこで打ち捨てられていたゴミが話し掛けてきて、自分は古代兵器で、助けて欲しいと言ってきた。
なるほど。僕が得たのはゴミと意思疎通が出来るスキルなんだ……って、嬉しくないっ!
そんな事を思いながらも、話し込んでしまったし、連れて行ってあげる事に。
だけど、僕はただゴミに協力しているだけなのに、どこかの国の騎士に襲われたり、変な魔法使いに絡まれたり、僕を家から追い出した父や弟が現れたり。
どうして皆、ゴミが欲しいの!? ……って、あれ? いつの間にかゴミスキルが成長して、ゴミの修理が出来る様になっていた。
一先ず、いつも一緒に居るゴミを修理してあげたら、見知らぬ銀髪美少女が居て……って、どういう事!? え、こっちが本当の姿なの!? ……とりあえず服を着てっ!
僕を命の恩人だって言うのはさておき、ご奉仕するっていうのはどういう事……え!? ちょっと待って! それくらい自分で出来るからっ!
それから、銀髪美少女の元仲間だという古代兵器と呼ばれる美少女たちに狙われ、返り討ちにして、可哀想だから修理してあげたら……僕についてくるって!?
待って! 僕に奉仕する順番でケンカするとか、訳が分かんないよっ!
※第○話:主人公視点
挿話○:タイトルに書かれたキャラの視点
となります。
復讐完遂者は吸収スキルを駆使して成り上がる 〜さあ、自分を裏切った初恋の相手へ復讐を始めよう〜
サイダーボウイ
ファンタジー
「気安く私の名前を呼ばないで! そうやってこれまでも私に付きまとって……ずっと鬱陶しかったのよ!」
孤児院出身のナードは、初恋の相手セシリアからそう吐き捨てられ、パーティーを追放されてしまう。
淡い恋心を粉々に打ち砕かれたナードは失意のどん底に。
だが、ナードには、病弱な妹ノエルの生活費を稼ぐために、冒険者を続けなければならないという理由があった。
1人決死の覚悟でダンジョンに挑むナード。
スライム相手に死にかけるも、その最中、ユニークスキル【アブソープション】が覚醒する。
それは、敵のLPを吸収できるという世界の掟すらも変えてしまうスキルだった。
それからナードは毎日ダンジョンへ入り、敵のLPを吸収し続けた。
増やしたLPを消費して、魔法やスキルを習得しつつ、ナードはどんどん強くなっていく。
一方その頃、セシリアのパーティーでは仲間割れが起こっていた。
冒険者ギルドでの評判も地に落ち、セシリアは徐々に追いつめられていくことに……。
これは、やがて勇者と呼ばれる青年が、チートスキルを駆使して最強へと成り上がり、自分を裏切った初恋の相手に復讐を果たすまでの物語である。
追放された最強賢者は悠々自適に暮らしたい
桐山じゃろ
ファンタジー
魔王討伐を成し遂げた魔法使いのエレルは、勇者たちに裏切られて暗殺されかけるも、さくっと逃げおおせる。魔法レベル1のエレルだが、その魔法と魔力は単独で魔王を倒せるほど強力なものだったのだ。幼い頃には親に売られ、どこへ行っても「貧民出身」「魔法レベル1」と虐げられてきたエレルは、人間という生き物に嫌気が差した。「もう人間と関わるのは面倒だ」。森で一人でひっそり暮らそうとしたエレルだったが、成り行きで狐に絆され姫を助け、更には快適な生活のために行ったことが切っ掛けで、その他色々が勝手に集まってくる。その上、国がエレルのことを探し出そうとしている。果たしてエレルは思い描いた悠々自適な生活を手に入れることができるのか。※小説家になろう、カクヨムでも掲載しています
パーティーの役立たずとして追放された魔力タンク、世界でただ一人の自動人形『ドール』使いになる
日之影ソラ
ファンタジー
「ラスト、今日でお前はクビだ」
冒険者パーティで魔力タンク兼雑用係をしていたラストは、ある日突然リーダーから追放を宣告されてしまった。追放の理由は戦闘で役に立たないから。戦闘中に『コネクト』スキルで仲間と繋がり、仲間たちに自信の魔力を分け与えていたのだが……。それしかやっていないことを責められ、戦える人間のほうがマシだと仲間たちから言い放たれてしまう。
一人になり途方にくれるラストだったが、そこへ行方不明だった冒険者の祖父から送り物が届いた。贈り物と一緒に入れられた手紙には一言。
「ラストよ。彼女たちはお前の力になってくれる。ドール使いとなり、使い熟してみせよ」
そう記され、大きな木箱の中に入っていたのは綺麗な少女だった。
これは無能と言われた一人の冒険者が、自動人形(ドール)と共に成り上がる物語。
7/25男性向けHOTランキング1位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる