たっくんがバイトをやめてくれない

月山 歩

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10.手をつなぎたい

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 お昼の時間いつもの友達メンバーで話しているとみゆうちゃんが、驚きなことを告白した。

「昨日、林くんと手をつないで帰っちゃった。」

 みんな一斉にえーっとハモる。

「ドキドキしたけど、楽しかった。」

 いいなぁと大合唱。

「大人だ。」

「手汗どうするの?」

「恋人つなぎ?」

「私もやってみたい。」

「イチカはないの?」

「えー、なかった。」

「たっくん、奥手そうだもんね。」

 私も手をつないでみたい。

 みゆうちゃんはサラサラヘアで、くちびるもツヤツヤ。
 女子力違うからかなぁ。 

 私ももっとかわいくしたら、たっくん手をつなぎたいって思ってくれるかなぁ。

「私もみゆうちゃんみたいにリップつけてみるかなぁ。」

「いいねぇ、イチカもやっと目覚めた?」

「うん、たっくんが手をつなぎたいって思うように頑張る。」

 イチカがやる気マンマンだから、誰も言わないけど、みんな思ってた。

 イチカはたっくんにつなぎたいって言えばいいだけだよって。

 次の日、ピンクのリップをつけたイチカはみゆうちゃん達に褒められていざ、たっくんの教室の前に。

「イチカちゃん早かったね。」

「うん。
 ねぇたっくん、私いつもと違うところあるけど、ど~こだ?」

「リップでしょ。
 かわいい。」

「えー、もう少し悩んでよ。」

「無理だよ。
 イチカちゃんのことならすぐ気づくもん。
 なんなら、休み時間から気づいてた。」

「そーなの?
 たっくん、すごい。」

 そう言いながら、校門を出たあたりで、

「どうして急にリップつけたの?」

「女子力つけようと思って。
 たっくんにかわいいって思ってほしくて。」

「そっか、ならいいけど。
 イチカちゃんのリップに気がついているの僕だけじゃないよ。」

「うん、みゆうちゃん達にもかわいいって言ってもらっちゃった。」

 照れ。

「そうじゃなくて、男子の話。」

「えっ。」
 
「イチカちゃんが僕にって言ってくれたからいいけど、イチカちゃんのかわいさ、他の男子にも知られるのは何かくやしい。」

「それって、嫉妬?」

 たっくんは下を向いて、無言になる。

「ねぇねぇ、たっくん、いい方法があるよ。」

 そう言いながら、片手をヒラヒラさせる。

「えっ、どう言うこと?」

「もう、たっくん、手をつなぎたくならない?」

「あー、そう言うことか。
 みゆうちゃんに触発されたんでしょ。」

「たっくん、どうしてわかるの?」

「イチカちゃんの考えそうなことは大体わかる。」

「たっくんってすごいねぇ。」

 ふふ。

 二人は初めて手をつないで帰ったのだった。

 たっくん、手を繋ぐの楽しいね。
 大好きだよ。
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