52 / 127
第1章
限られた灯の先に1
しおりを挟む
後は壁で引き返すことなど出来ない。
蝋燭で照らされている道は、私達から30メートル先程しか照らされておらず、その先には何があるのか分からない深い闇が広がっている。隙間風なのか変な音が聞こえて来て、闇と蝋燭のコラボレーションが異様さを放っているので先に進むのが正直怖い。
そう、これは昔妹のフェリミアと読んでいた本に出てくるゾンビが出る密室に繋がる通路のシーンを彷彿とさせる雰囲気がある。
「ー…じゃあ、アレン、先頭は貴方お願いね!」
「いや。此処はテリア様が先頭の方がよろしいかと。」
私の執事は私の前だと長年こんな態度なので普段は気にし無いけど、たまに素直な執事を雇えば良かったと後悔している。
「や、やだぁ。まさかアレンってば暗闇苦手?びびっちゃったの??ぷぷっ!」
「いえ、テリア様は目を離すと何をしでかすのかわかったものではありませんから。視界に入ってくださっていると楽と言いますか。」
「あの暗い闇の先から怪物出てきたらどうするの?」
「ここは神聖な祠の中ですよ。そんな所に怪物いたら神聖の意味がわからないじゃ無いですか。
…ぁあ、そう言えばテリア様真っ暗闇が嫌なんでしたっけ。確か屋敷が停電したときもー…「ユラが先頭でよいかな?」
拉致があかないので話をふる人を変えることにした。
決して昔屋敷が停電したときおねしょした話を出されるのが嫌だったからではない。あの時のあれは妹のフェリミアとゾンビの怖い話をした後だったからだ。
しかしお願いしようとしたユラもこういうホラーちっくな雰囲気が苦手なのか青い顔して首を横に振っている。
知ってた。貴方こういうの苦手よね。私より。
「……アレン…。」
「あ、やっぱトラウマでしたか、そうですよねおね「別にそんなトラウマないけど?私先頭でも平気ですけど?」
半ばやけくそになりながらも、ずんずん歩みを進めて行くと暗さみだった部分の蝋燭は縮まった距離の分だけあかりを灯した。どうやら一定に30メートル先を灯してくれるようだ。
その事にホッと胸を撫で下ろしながらも、暗闇の先に進んで行くと道を塞ぐ扉が出てきた。迷いなく押してみたけれど、微動だにせず、引いてみるためのドアノブがない。
「すぐ行き止まりになっちゃったね。どうしようか?」
振り返ってみると、ユラが別の方を向いてじっと食い入るように何かを見ているので、視線の先を辿ると扉の蝋燭付近にある板があった。
「何て書かれているのか…わかりませんね。さっきアリスティナ姫が此処に入る時言っていた古代聖書文字なんでしょうか?」
ユラにそれを聞かれても私はわからないですね。言っても座学は元々苦手だし、それでも最近やりこんでた方だけど。過去の事まで勉強する域に達してないし。
何これ。こんなの文字も覚えなきゃいけないんだ。
聖女になるのって大変なんだなぁ…皇妃教育で外国語も覚えなきゃだけど別途こんなの覚えなきゃなんて。無理が過ぎると思うの。
まぁ、私は聖女にも皇妃にもならないしね。聖女になるのは皇妃になった者か、異世界から来た者のみだしそこまで勉強が到達する頃にはおさらばしてるよね。
そんな雑念をテリアが抱いてる中、アリスティナが文字を解読してくれていた。
「〝願いを抱きし聖なる力を持つものよ。次の問いに答え前へ進まれたし。〟どうやらこの下に書いてある古代聖書の文字を正しい答えに並び替えてって事みたいです。」
アリスティナから並び替える古代聖書文字の読み方を聞いてみたが、謎の解き方がさっぱりわからない。
「まぁ、文字はアリスティナ姫が読めるし、焦らずじっくり考えれば大丈夫そうよね!」
「いえ、どうやら時間制限ありのようです。」
アレンの冷静な声とは裏腹な不穏な内容の言葉。
蝋燭で灯されるのは前後30メートルの道のみで、元来た道は真っ暗闇。だから振り返らないようにしていたけれど、前方の隙間風とは違った音が、後方の元来た道の暗闇の中から聞こえて来る。
私達のスタートしたところは行き止まりだった筈なのに、元きた道からと無数の足音が聞こえて来た。暗闇でまだその姿は見てないけれど、なんかヒタヒタ言ってる
(こ…こんなホラー展開考えてなかったよぉぉ…)
蝋燭で照らされている道は、私達から30メートル先程しか照らされておらず、その先には何があるのか分からない深い闇が広がっている。隙間風なのか変な音が聞こえて来て、闇と蝋燭のコラボレーションが異様さを放っているので先に進むのが正直怖い。
そう、これは昔妹のフェリミアと読んでいた本に出てくるゾンビが出る密室に繋がる通路のシーンを彷彿とさせる雰囲気がある。
「ー…じゃあ、アレン、先頭は貴方お願いね!」
「いや。此処はテリア様が先頭の方がよろしいかと。」
私の執事は私の前だと長年こんな態度なので普段は気にし無いけど、たまに素直な執事を雇えば良かったと後悔している。
「や、やだぁ。まさかアレンってば暗闇苦手?びびっちゃったの??ぷぷっ!」
「いえ、テリア様は目を離すと何をしでかすのかわかったものではありませんから。視界に入ってくださっていると楽と言いますか。」
「あの暗い闇の先から怪物出てきたらどうするの?」
「ここは神聖な祠の中ですよ。そんな所に怪物いたら神聖の意味がわからないじゃ無いですか。
…ぁあ、そう言えばテリア様真っ暗闇が嫌なんでしたっけ。確か屋敷が停電したときもー…「ユラが先頭でよいかな?」
拉致があかないので話をふる人を変えることにした。
決して昔屋敷が停電したときおねしょした話を出されるのが嫌だったからではない。あの時のあれは妹のフェリミアとゾンビの怖い話をした後だったからだ。
しかしお願いしようとしたユラもこういうホラーちっくな雰囲気が苦手なのか青い顔して首を横に振っている。
知ってた。貴方こういうの苦手よね。私より。
「……アレン…。」
「あ、やっぱトラウマでしたか、そうですよねおね「別にそんなトラウマないけど?私先頭でも平気ですけど?」
半ばやけくそになりながらも、ずんずん歩みを進めて行くと暗さみだった部分の蝋燭は縮まった距離の分だけあかりを灯した。どうやら一定に30メートル先を灯してくれるようだ。
その事にホッと胸を撫で下ろしながらも、暗闇の先に進んで行くと道を塞ぐ扉が出てきた。迷いなく押してみたけれど、微動だにせず、引いてみるためのドアノブがない。
「すぐ行き止まりになっちゃったね。どうしようか?」
振り返ってみると、ユラが別の方を向いてじっと食い入るように何かを見ているので、視線の先を辿ると扉の蝋燭付近にある板があった。
「何て書かれているのか…わかりませんね。さっきアリスティナ姫が此処に入る時言っていた古代聖書文字なんでしょうか?」
ユラにそれを聞かれても私はわからないですね。言っても座学は元々苦手だし、それでも最近やりこんでた方だけど。過去の事まで勉強する域に達してないし。
何これ。こんなの文字も覚えなきゃいけないんだ。
聖女になるのって大変なんだなぁ…皇妃教育で外国語も覚えなきゃだけど別途こんなの覚えなきゃなんて。無理が過ぎると思うの。
まぁ、私は聖女にも皇妃にもならないしね。聖女になるのは皇妃になった者か、異世界から来た者のみだしそこまで勉強が到達する頃にはおさらばしてるよね。
そんな雑念をテリアが抱いてる中、アリスティナが文字を解読してくれていた。
「〝願いを抱きし聖なる力を持つものよ。次の問いに答え前へ進まれたし。〟どうやらこの下に書いてある古代聖書の文字を正しい答えに並び替えてって事みたいです。」
アリスティナから並び替える古代聖書文字の読み方を聞いてみたが、謎の解き方がさっぱりわからない。
「まぁ、文字はアリスティナ姫が読めるし、焦らずじっくり考えれば大丈夫そうよね!」
「いえ、どうやら時間制限ありのようです。」
アレンの冷静な声とは裏腹な不穏な内容の言葉。
蝋燭で灯されるのは前後30メートルの道のみで、元来た道は真っ暗闇。だから振り返らないようにしていたけれど、前方の隙間風とは違った音が、後方の元来た道の暗闇の中から聞こえて来る。
私達のスタートしたところは行き止まりだった筈なのに、元きた道からと無数の足音が聞こえて来た。暗闇でまだその姿は見てないけれど、なんかヒタヒタ言ってる
(こ…こんなホラー展開考えてなかったよぉぉ…)
33
あなたにおすすめの小説
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました
山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。
※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。
コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。
ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。
トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。
クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。
シモン・グレンツェ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。
ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。
シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。
〈あらすじ〉
コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。
ジレジレ、すれ違いラブストーリー
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる