83 / 127
第2章
作戦の幕開け
しおりを挟む
テリアは作戦決行日、気合いを入れて会場へと歩みを進めていた。
作戦に当たり、現在の状況を整理しておこう。
お見合い写真選定から始まり、カルロは素直なお年頃ではない事がわかった。
ついでに元々デリケートな部分もあるので、素直に女の子に興味があると言えないのだ。
そこで、私は考えた。自然な出会いを演出し、良い雰囲気に流せば良いのだ。
※考えたのはアレンとユラです。
題して〝トキメキ⭐︎メモリアル作戦〟
これは恋愛小説によく使われる手法で、今回ストーリーを綿密に練ってみた。
ステップ1.次期皇妃候補を私の友人としてカルロに紹介する。
効果→これは知り合いの友人と言うのがミソ。次回出会った時親しみやすい。
ステップ2.その後、偶然人気のない王宮のどっかで美男美女が遭遇。それは先程紹介された相手だった。
効果→既に顔見知りのため、少なくとも片方が乗り気なら会話が弾む。かもしれない。
舞踏会はまずこんな所で良いだろう。後はこれを繰り返してゆく。
取り敢えず、早めに済ませたいので計画遂行目標は1ヶ月もあれば相思相愛ハッピーエンドというシナリオだ。
(何でこんな面倒くさい事を私がしなくちゃいけないのかと、思わなくも無いけど。
あのカルロに任せてたら話進まないもんね。)
そんな訳で現在、皆さんが歓談タイムに入った頃、私は公爵令嬢ロザリーを連れてカルロに紹介した。
「カルロ陛下、ご紹介します。こちら私の友人で、テンペル公爵令嬢 ロザリー・テンペラント様です。」
ロザリーは礼儀正しく美しい淑女の礼をして、朗らかにカルロへ笑いかけた。
「どうぞお見知りおきください。」
内心ハラハラしながらも、チラリとカルロの様子を見ていると、丁寧では無いが、邪険にしている様子もなく挨拶してくれた。
「ぁあ。テリアをよろしく頼む。」
(よし、まず掴みは良い感じ!)
至って普通に会話しただけなのだが、自分との出会いや釣書の拒絶を考えるとカルロが元々女性にきつく接するタイプである事を懸念したが、そうではない。
とにかく、少なくともこのご令嬢は邪険にしないのだ。
ー・やはりアレンの考察した通り、写真で選ばせるより、直接会話させた方が話は早そうだ。・ー
そこまで考えて、テリアはふと虚しくなってきた。
(…ほんと、何で私だけがこんな苦労をしているんだろう。
元々はあんたの望みであり、あんたの為にもなる事なんだからもっと積極的に後任皇妃探しなさいよ。)
心に少し余裕が出来ると、カルロへの愚痴が込み上げてきた。
思い返すと、そもそもこの人が私にお願いした事で、後任皇妃探しを私は手助けのみをするつもりだった。
当初、言い出しっぺのカルロが自分で後任皇妃をちゃんと見つけて『そろそろ離縁の次期が来た。おまえは子爵家へ帰って良いぞ。』と言い出すだろうと想像していた私は、今回思いの外労力を割いた事により、心底疲れた。
(これで決めなかったら、…取り敢えず私はキレる。)
作戦に当たり、現在の状況を整理しておこう。
お見合い写真選定から始まり、カルロは素直なお年頃ではない事がわかった。
ついでに元々デリケートな部分もあるので、素直に女の子に興味があると言えないのだ。
そこで、私は考えた。自然な出会いを演出し、良い雰囲気に流せば良いのだ。
※考えたのはアレンとユラです。
題して〝トキメキ⭐︎メモリアル作戦〟
これは恋愛小説によく使われる手法で、今回ストーリーを綿密に練ってみた。
ステップ1.次期皇妃候補を私の友人としてカルロに紹介する。
効果→これは知り合いの友人と言うのがミソ。次回出会った時親しみやすい。
ステップ2.その後、偶然人気のない王宮のどっかで美男美女が遭遇。それは先程紹介された相手だった。
効果→既に顔見知りのため、少なくとも片方が乗り気なら会話が弾む。かもしれない。
舞踏会はまずこんな所で良いだろう。後はこれを繰り返してゆく。
取り敢えず、早めに済ませたいので計画遂行目標は1ヶ月もあれば相思相愛ハッピーエンドというシナリオだ。
(何でこんな面倒くさい事を私がしなくちゃいけないのかと、思わなくも無いけど。
あのカルロに任せてたら話進まないもんね。)
そんな訳で現在、皆さんが歓談タイムに入った頃、私は公爵令嬢ロザリーを連れてカルロに紹介した。
「カルロ陛下、ご紹介します。こちら私の友人で、テンペル公爵令嬢 ロザリー・テンペラント様です。」
ロザリーは礼儀正しく美しい淑女の礼をして、朗らかにカルロへ笑いかけた。
「どうぞお見知りおきください。」
内心ハラハラしながらも、チラリとカルロの様子を見ていると、丁寧では無いが、邪険にしている様子もなく挨拶してくれた。
「ぁあ。テリアをよろしく頼む。」
(よし、まず掴みは良い感じ!)
至って普通に会話しただけなのだが、自分との出会いや釣書の拒絶を考えるとカルロが元々女性にきつく接するタイプである事を懸念したが、そうではない。
とにかく、少なくともこのご令嬢は邪険にしないのだ。
ー・やはりアレンの考察した通り、写真で選ばせるより、直接会話させた方が話は早そうだ。・ー
そこまで考えて、テリアはふと虚しくなってきた。
(…ほんと、何で私だけがこんな苦労をしているんだろう。
元々はあんたの望みであり、あんたの為にもなる事なんだからもっと積極的に後任皇妃探しなさいよ。)
心に少し余裕が出来ると、カルロへの愚痴が込み上げてきた。
思い返すと、そもそもこの人が私にお願いした事で、後任皇妃探しを私は手助けのみをするつもりだった。
当初、言い出しっぺのカルロが自分で後任皇妃をちゃんと見つけて『そろそろ離縁の次期が来た。おまえは子爵家へ帰って良いぞ。』と言い出すだろうと想像していた私は、今回思いの外労力を割いた事により、心底疲れた。
(これで決めなかったら、…取り敢えず私はキレる。)
22
あなたにおすすめの小説
見た目の良すぎる双子の兄を持った妹は、引きこもっている理由を不細工だからと勘違いされていましたが、身内にも誤解されていたようです
珠宮さくら
恋愛
ルベロン国の第1王女として生まれたシャルレーヌは、引きこもっていた。
その理由は、見目の良い両親と双子の兄に劣るどころか。他の腹違いの弟妹たちより、不細工な顔をしているからだと噂されていたが、実際のところは全然違っていたのだが、そんな片割れを心配して、外に出そうとした兄は自分を頼ると思っていた。
それが、全く頼らないことになるどころか。自分の方が残念になってしまう結末になるとは思っていなかった。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました
佐倉穂波
恋愛
転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。
確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。
(そんな……死にたくないっ!)
乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。
2023.9.3 投稿分の改稿終了。
2023.9.4 表紙を作ってみました。
2023.9.15 完結。
2023.9.23 後日談を投稿しました。
前世の記憶が蘇ったので、身を引いてのんびり過ごすことにします
柚木ゆず
恋愛
※明日(3月6日)より、もうひとつのエピローグと番外編の投稿を始めさせていただきます。
我が儘で強引で性格が非常に悪い、筆頭侯爵家の嫡男アルノー。そんな彼を伯爵令嬢エレーヌは『ブレずに力強く引っ張ってくださる自信に満ちた方』と狂信的に愛し、アルノーが自ら選んだ5人の婚約者候補の1人として、アルノーに選んでもらえるよう3年間必死に自分を磨き続けていました。
けれどある日無理がたたり、倒れて後頭部を打ったことで前世の記憶が覚醒。それによって冷静に物事を見られるようになり、ようやくアルノーは滅茶苦茶な人間だと気付いたのでした。
「オレの婚約者候補になれと言ってきて、それを光栄に思えだとか……。倒れたのに心配をしてくださらないどころか、異常が残っていたら候補者から脱落させると言い出すとか……。そんな方に夢中になっていただなんて、私はなんて愚かなのかしら」
そのためエレーヌは即座に、候補者を辞退。その出来事が切っ掛けとなって、エレーヌの人生は明るいものへと変化してゆくことになるのでした。
私の容姿は中の下だと、婚約者が話していたのを小耳に挟んでしまいました
山田ランチ
恋愛
想い合う二人のすれ違いラブストーリー。
※以前掲載しておりましたものを、加筆の為再投稿致しました。お読み下さっていた方は重複しますので、ご注意下さいませ。
コレット・ロシニョール 侯爵家令嬢。ジャンの双子の姉。
ジャン・ロシニョール 侯爵家嫡男。コレットの双子の弟。
トリスタン・デュボワ 公爵家嫡男。コレットの婚約者。
クレマン・ルゥセーブル・ジハァーウ、王太子。
シモン・グレンツェ 辺境伯家嫡男。コレットの従兄。
ルネ ロシニョール家の侍女でコレット付き。
シルヴィー・ペレス 子爵令嬢。
〈あらすじ〉
コレットは愛しの婚約者が自分の容姿について話しているのを聞いてしまう。このまま大好きな婚約者のそばにいれば疎まれてしまうと思ったコレットは、親類の領地へ向かう事に。そこで新しい商売を始めたコレットは、知らない間に国の重要人物になってしまう。そしてトリスタンにも女性の影が見え隠れして……。
ジレジレ、すれ違いラブストーリー
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
ストーカー婚約者でしたが、転生者だったので経歴を身綺麗にしておく
犬野きらり
恋愛
リディア・ガルドニ(14)、本日誕生日で転生者として気付きました。私がつい先程までやっていた行動…それは、自分の婚約者に対して重い愛ではなく、ストーカー行為。
「絶対駄目ーー」
と前世の私が気づかせてくれ、そもそも何故こんな男にこだわっていたのかと目が覚めました。
何の物語かも乙女ゲームの中の人になったのかもわかりませんが、私の黒歴史は証拠隠滅、慰謝料ガッポリ、新たな出会い新たな人生に進みます。
募集 婿入り希望者
対象外は、嫡男、後継者、王族
目指せハッピーエンド(?)!!
全23話で完結です。
この作品を気に留めて下さりありがとうございます。感謝を込めて、その後(直後)2話追加しました。25話になりました。
【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!
白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。
辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。
夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆
異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です)
《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる