31 / 48
第四章 憧れないからヤってしまおうと思います・編
4-7
しおりを挟む
なーにが『愛しい人』だよ。この間殺そうとしたくせに。
こいつ、私がピヨさんの力だけで冒険者家業をやっていると思ってるな。だいたいね、冒険者が出来なくても安心安全な治療院開業という道もあるんだよ。するつもりはないどね。
「彼女の力を見るのであれば、私がその相手に立候補致しましょう。彼女の従魔に少し興味がありましたので、勿論従魔込みでね」
そこに突然の騎士団長参戦宣言。
騎士団長がそう言うのであれば自分も従魔の力を見てみたいと、それに国王が許可を出した。そうなると第二王子に拒否は出来ない。
従魔無しの私を叩きのめして強引に婚約者にするつもりだったのかな?残念だったね。
悔しそうにしている第二王子をよそに、こうして何故か私VS騎士団長の御前試合が決まってしまったのだった。
食事会の後白蛇さんが来て『第二王子は国王になるためにスピカ殿を諦めないだろう。君がエルナトの街から来たことは周知されているから手が及ぶかもしれないが、そっちは私が必ず守ると誓おう。試合で騒ぎをおこすから、それに乗じてなんとか王宮から脱出してくれ』という、騎士団長からの伝言を教えてくれた。(ピヨさん通訳)
元々国王との食事会が終われば何を言われようと帰るつもりだったのだが・・・確かに第二王子はしつこそうだ。エルナトの街に手を出しかねない。
この王女様より第二王子の方がよっぽどワガママじゃないか?と、私は正面に座る王女様をみた。
「お兄様は素敵でしょ。お勧めなのだけれど」
あのお話、お受けなさいなと、王女様が無責任な発言をする。
肌や髪は簡単にキレイにならないけれど、治癒魔法の効果と最近は頑張って残さず食事を摂っていることもあり顔色がいい。
しかし、どっちもどっちだったか。
王女様は私もだけど、第二王子とは違う意味でピヨさんが気に入っているのだ。第二王子と私が婚約すれば私やピヨさんとずっと一緒だとか思っていそう。元気になったんだから、そのうちどこかに嫁に行くことになるだろうに。
「第二王子が素敵に見えるのなら、男を見る目をもう少し養った方がいいと思いますよ。もしくは自分の目で伴侶を選ぶことはしない方がいいですね」
私がそう答えると、「私の方がお姉さんよ」とプンスカしている王女を尻目に「スピカさん『アレ』は流石に不敬です・・・」と、カーラさんの静かなお叱りが飛んできた。
不敬なのは『アレ』だけなんですね。
そして試合当日、指定された騎士の訓練場に私はいた。
訓練場と言ってもかなりの広さがあり、王宮の敷地に近接しているためか周囲を高い塀に囲まれている。その一部に結界が施されている場所があり、そこが王族専用の見学席らしかった。ピヨさんによれば結界の魔道具らしい。
試合、と言っても私の実力が冒険者として足るのかを見るだけのはずなのに、時間が近付くと訓練場には騎士団長をはじめ、一個小隊が姿を現した。その内半数が大型の従魔を連れている騎士のようだった。
何故?
「スピカ。魔獣とは必ずしも一対一の戦いになるとは限らないだろう?」
声がした方を見ると、いつの間にか王族専用の見学席に四人の姿があった。
あの席には拡声器でも付いているのだろうか。離れているはずなのに良く声が聞こえる。してやったりと、ニヤリと笑う第二王子がよく見えた。──お前の差し金か。
その隣には王女様──は見学に行くと言っていたので分かるとして、国王までもが座っていた。そして更にその隣には赤髪の美しい男性が。
──公爵だな。おそらく星良が負けたら彼の養女にするために呼んだのだろう。
攻略対象その二の父親か。美形なはずだ。好みではないけど。
折角足を運んでくれたのに悪いけど、私の親は前の世界での二人だけだ。
「少尉、始めろ」
第二王子がそう言って、席に着く。
「はっ。小隊!前に!!」
少尉と呼ばれた騎士が号令をかけると、小隊が訓練場の中央に出てきた。嫌な嗤い方をしている騎士が何人かいる。
あ、治療院を滅茶苦茶にしたやつらだ。王女宮で剣を抜こうとした人もいる。罰を与えられたハズなのにまだ懲りてないのか。いや、逆恨みか。
そう思って騎士団長の方を見ると、にっこり笑って気付かれないように顎で小隊を指した。
(騎士団としての罰は与えたがまだ懲りていないようだ。この試合に自ら立候補してきたからな。アイツらは焼くなり煮るなりしていいから好きに料理しろ──という事ですね)
多分合ってる。私は騎士団長にサムズアップして見せ、小隊に向き直った。
──星良、どうする?
「もう、これ以上付き合っていられないから、好きにやっちゃって出ていって良いよね?」
──そうだな。こうなってはもう、スピカにも、エルナトの街にも手出しをする気にならなくなる程完膚なきまで叩きのめすしかないであろうな。
ピヨさんはそう言うと、私の頭の上にちょこんと乗った。その途端、小隊の従魔が戦意喪失。尻尾を下げて逃げていったのだ。
「ピヨさん、何したの?」
突然の従魔の裏切り?に、戦う前から小隊に動揺が走った。
「まだ始まってもいないのに卑怯だぞ!」
第二王子が口を挟む。
「あら、これは私の冒険者としての力量を測るものでしょう?第二王子殿下はもしかして魔獣が開始の合図と共に襲ってくるとでも思っているのですか?」
私は王子を馬鹿にしたように鼻で笑ってやった。
こいつ、私がピヨさんの力だけで冒険者家業をやっていると思ってるな。だいたいね、冒険者が出来なくても安心安全な治療院開業という道もあるんだよ。するつもりはないどね。
「彼女の力を見るのであれば、私がその相手に立候補致しましょう。彼女の従魔に少し興味がありましたので、勿論従魔込みでね」
そこに突然の騎士団長参戦宣言。
騎士団長がそう言うのであれば自分も従魔の力を見てみたいと、それに国王が許可を出した。そうなると第二王子に拒否は出来ない。
従魔無しの私を叩きのめして強引に婚約者にするつもりだったのかな?残念だったね。
悔しそうにしている第二王子をよそに、こうして何故か私VS騎士団長の御前試合が決まってしまったのだった。
食事会の後白蛇さんが来て『第二王子は国王になるためにスピカ殿を諦めないだろう。君がエルナトの街から来たことは周知されているから手が及ぶかもしれないが、そっちは私が必ず守ると誓おう。試合で騒ぎをおこすから、それに乗じてなんとか王宮から脱出してくれ』という、騎士団長からの伝言を教えてくれた。(ピヨさん通訳)
元々国王との食事会が終われば何を言われようと帰るつもりだったのだが・・・確かに第二王子はしつこそうだ。エルナトの街に手を出しかねない。
この王女様より第二王子の方がよっぽどワガママじゃないか?と、私は正面に座る王女様をみた。
「お兄様は素敵でしょ。お勧めなのだけれど」
あのお話、お受けなさいなと、王女様が無責任な発言をする。
肌や髪は簡単にキレイにならないけれど、治癒魔法の効果と最近は頑張って残さず食事を摂っていることもあり顔色がいい。
しかし、どっちもどっちだったか。
王女様は私もだけど、第二王子とは違う意味でピヨさんが気に入っているのだ。第二王子と私が婚約すれば私やピヨさんとずっと一緒だとか思っていそう。元気になったんだから、そのうちどこかに嫁に行くことになるだろうに。
「第二王子が素敵に見えるのなら、男を見る目をもう少し養った方がいいと思いますよ。もしくは自分の目で伴侶を選ぶことはしない方がいいですね」
私がそう答えると、「私の方がお姉さんよ」とプンスカしている王女を尻目に「スピカさん『アレ』は流石に不敬です・・・」と、カーラさんの静かなお叱りが飛んできた。
不敬なのは『アレ』だけなんですね。
そして試合当日、指定された騎士の訓練場に私はいた。
訓練場と言ってもかなりの広さがあり、王宮の敷地に近接しているためか周囲を高い塀に囲まれている。その一部に結界が施されている場所があり、そこが王族専用の見学席らしかった。ピヨさんによれば結界の魔道具らしい。
試合、と言っても私の実力が冒険者として足るのかを見るだけのはずなのに、時間が近付くと訓練場には騎士団長をはじめ、一個小隊が姿を現した。その内半数が大型の従魔を連れている騎士のようだった。
何故?
「スピカ。魔獣とは必ずしも一対一の戦いになるとは限らないだろう?」
声がした方を見ると、いつの間にか王族専用の見学席に四人の姿があった。
あの席には拡声器でも付いているのだろうか。離れているはずなのに良く声が聞こえる。してやったりと、ニヤリと笑う第二王子がよく見えた。──お前の差し金か。
その隣には王女様──は見学に行くと言っていたので分かるとして、国王までもが座っていた。そして更にその隣には赤髪の美しい男性が。
──公爵だな。おそらく星良が負けたら彼の養女にするために呼んだのだろう。
攻略対象その二の父親か。美形なはずだ。好みではないけど。
折角足を運んでくれたのに悪いけど、私の親は前の世界での二人だけだ。
「少尉、始めろ」
第二王子がそう言って、席に着く。
「はっ。小隊!前に!!」
少尉と呼ばれた騎士が号令をかけると、小隊が訓練場の中央に出てきた。嫌な嗤い方をしている騎士が何人かいる。
あ、治療院を滅茶苦茶にしたやつらだ。王女宮で剣を抜こうとした人もいる。罰を与えられたハズなのにまだ懲りてないのか。いや、逆恨みか。
そう思って騎士団長の方を見ると、にっこり笑って気付かれないように顎で小隊を指した。
(騎士団としての罰は与えたがまだ懲りていないようだ。この試合に自ら立候補してきたからな。アイツらは焼くなり煮るなりしていいから好きに料理しろ──という事ですね)
多分合ってる。私は騎士団長にサムズアップして見せ、小隊に向き直った。
──星良、どうする?
「もう、これ以上付き合っていられないから、好きにやっちゃって出ていって良いよね?」
──そうだな。こうなってはもう、スピカにも、エルナトの街にも手出しをする気にならなくなる程完膚なきまで叩きのめすしかないであろうな。
ピヨさんはそう言うと、私の頭の上にちょこんと乗った。その途端、小隊の従魔が戦意喪失。尻尾を下げて逃げていったのだ。
「ピヨさん、何したの?」
突然の従魔の裏切り?に、戦う前から小隊に動揺が走った。
「まだ始まってもいないのに卑怯だぞ!」
第二王子が口を挟む。
「あら、これは私の冒険者としての力量を測るものでしょう?第二王子殿下はもしかして魔獣が開始の合図と共に襲ってくるとでも思っているのですか?」
私は王子を馬鹿にしたように鼻で笑ってやった。
87
あなたにおすすめの小説
凡夫転生〜異世界行ったらあまりにも普通すぎた件〜
小林一咲
ファンタジー
「普通がいちばん」と教え込まれてきた佐藤啓二は、日本の平均寿命である81歳で平凡な一生を終えた。
死因は癌だった。
癌による全死亡者を占める割合は24.6パーセントと第一位である。
そんな彼にも唯一「普通では無いこと」が起きた。
死後の世界へ導かれ、女神の御前にやってくると突然異世界への転生を言い渡される。
それも生前の魂、記憶や未来の可能性すらも次の世界へと引き継ぐと言うのだ。
啓二は前世でもそれなりにアニメや漫画を嗜んでいたが、こんな展開には覚えがない。
挙げ句の果てには「質問は一切受け付けない」と言われる始末で、あれよあれよという間に異世界へと転生を果たしたのだった。
インヒター王国の外、漁業が盛んな街オームで平凡な家庭に産まれ落ちた啓二は『バルト・クラスト』という新しい名を受けた。
そうして、しばらく経った頃に自身の平凡すぎるステータスとおかしなスキルがある事に気がつく――。
これはある平凡すぎる男が異世界へ転生し、その普通で非凡な力で人生を謳歌する物語である。
最強の異世界やりすぎ旅行記
萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。
そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。
「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」
バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!?
最強が無双する異世界ファンタジー開幕!
ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語
Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。
チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。
その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。
さぁ、どん底から這い上がろうか
そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。
少年は英雄への道を歩き始めるのだった。
※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。
転生先の異世界で温泉ブームを巻き起こせ!
カエデネコ
ファンタジー
日本のとある旅館の跡継ぎ娘として育てられた前世を活かして転生先でも作りたい最高の温泉地!
恋に仕事に事件に忙しい!
カクヨムの方でも「カエデネコ」でメイン活動してます。カクヨムの方が更新が早いです。よろしければそちらもお願いしますm(_ _)m
転生魔竜~異世界ライフを謳歌してたら世界最強最悪の覇者となってた?~
アズドラ
ファンタジー
主人公タカトはテンプレ通り事故で死亡、運よく異世界転生できることになり神様にドラゴンになりたいとお願いした。 夢にまで見た異世界生活をドラゴンパワーと現代地球の知識で全力満喫! 仲間を増やして夢を叶える王道、テンプレ、モリモリファンタジー。
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?
異世界に転生したけど、頭打って記憶が・・・え?これってチート?
よっしぃ
ファンタジー
よう!俺の名はルドメロ・ララインサルって言うんだぜ!
こう見えて高名な冒険者・・・・・になりたいんだが、何故か何やっても俺様の思うようにはいかないんだ!
これもみんな小さい時に頭打って、記憶を無くしちまったからだぜ、きっと・・・・
どうやら俺は、転生?って言うので、神によって異世界に送られてきたらしいんだが、俺様にはその記憶がねえんだ。
周りの奴に聞くと、俺と一緒にやってきた連中もいるって話だし、スキルやらステータスたら、アイテムやら、色んなものをポイントと交換して、15の時にその、特別なポイントを取得し、冒険者として成功してるらしい。ポイントって何だ?
俺もあるのか?取得の仕方がわかんねえから、何にもないぜ?あ、そう言えば、消えないナイフとか持ってるが、あれがそうなのか?おい、記憶をなくす前の俺、何取得してたんだ?
それに、俺様いつの間にかペット(フェンリルとドラゴン)2匹がいるんだぜ!
よく分からんが何時の間にやら婚約者ができたんだよな・・・・
え?俺様チート持ちだって?チートって何だ?
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
話を進めるうちに、少し内容を変えさせて頂きました。
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる