【完結】憧れの異世界転移が現実になったのですが何か思ってたのと違います

Debby

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第四章 憧れないからヤってしまおうと思います・編

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 なーにが『愛しい人』だよ。この間殺そうとしたくせに。
 こいつ、私がピヨさんの力だけで冒険者家業をやっていると思ってるな。だいたいね、冒険者が出来なくても安心安全な治療院開業という道もあるんだよ。するつもりはないどね。

「彼女の力を見るのであれば、私がその相手に立候補致しましょう。彼女の従魔に少し興味がありましたので、勿論従魔込みでね」

 そこに突然の騎士団長参戦宣言。
 騎士団長がそう言うのであれば自分も従魔の力を見てみたいと、それに国王が許可を出した。そうなると第二王子に拒否は出来ない。
 従魔無しの私を叩きのめして強引に婚約者にするつもりだったのかな?残念だったね。
 悔しそうにしている第二王子をよそに、こうして何故か私VS騎士団長の御前試合が決まってしまったのだった。

 食事会の後白蛇さんが来て『第二王子は国王になるためにスピカ殿を諦めないだろう。君がエルナトの街から来たことは周知されているから手が及ぶかもしれないが、そっちは私が必ず守ると誓おう。試合で騒ぎをおこすから、それに乗じてなんとか王宮から脱出してくれ』という、騎士団長からの伝言を教えてくれた。(ピヨさん通訳)

 元々国王との食事会が終われば何を言われようと帰るつもりだったのだが・・・確かに第二王子はしつこそうだ。エルナトの街に手を出しかねない。
 この王女様より第二王子あっちの方がよっぽどワガママじゃないか?と、私は正面に座る王女様をみた。

「お兄様は素敵でしょ。お勧めなのだけれど」
 あのお話、お受けなさいなと、王女様が無責任な発言をする。
 肌や髪は簡単にキレイにならないけれど、治癒魔法の効果と最近は頑張って残さず食事を摂っていることもあり顔色がいい。
 しかし、どっちもどっちだったか。
 王女様は私もだけど、第二王子とは違う意味でピヨさんが気に入っているのだ。第二王子と私が婚約すれば私やピヨさんとずっと一緒だとか思っていそう。元気になったんだから、そのうちどこかに嫁にここから出て行くことになるだろうに。

「第二王アレ子が素敵に見えるのなら、男を見る目をもう少し養った方がいいと思いますよ。もしくは自分の目で伴侶を選ぶことはしない方がいいですね」

 私がそう答えると、「私の方がお姉さんよ」とプンスカしている王女を尻目に「スピカさん『アレ』は流石に不敬です・・・」と、カーラさんの静かなお叱りが飛んできた。
 不敬なのは『アレ』だけなんですね。



 そして試合当日、指定された騎士の訓練場に私はいた。
 訓練場と言ってもかなりの広さがあり、王宮の敷地に近接しているためか周囲を高い塀に囲まれている。その一部に結界が施されている場所があり、そこが王族専用の見学席らしかった。ピヨさんによれば結界の魔道具らしい。

 試合、と言っても私の実力が冒険者として足るのかを見るだけのはずなのに、時間が近付くと訓練場には騎士団長をはじめ、一個小隊が姿を現した。その内半数が大型の従魔を連れている騎士のようだった。

 何故?

「スピカ。魔獣とは必ずしも一対一の戦いになるとは限らないだろう?」

 声がした方を見ると、いつの間にか王族専用の見学席に四人の姿があった。
 あの席には拡声器でも付いているのだろうか。離れているはずなのに良く声が聞こえる。してやったりと、ニヤリと笑う第二王子がよく見えた。──お前の差し金か。
 その隣には王女様──は見学に行くと言っていたので分かるとして、国王までもが座っていた。そして更にその隣には赤髪ガーネットの美しい男性が。

──公爵だな。おそらく星良が負けたら彼の養女にするために呼んだのだろう。

 攻略対象その二の父親か。美形なはずだ。好みではないけど。
 折角足を運んでくれたのに悪いけど、私の親は前の世界での二人だけだ。

「少尉、始めろ」

 第二王子がそう言って、席に着く。

「はっ。小隊!前に!!」

 少尉と呼ばれた騎士が号令をかけると、小隊が訓練場の中央に出てきた。嫌な嗤い方をしている騎士が何人かいる。

 あ、治療院を滅茶苦茶にしたやつらだ。王女宮で剣を抜こうとした人もいる。罰を与えられたハズなのにまだ懲りてないのか。いや、逆恨みか。

 そう思って騎士団長の方を見ると、にっこり笑って気付かれないように顎で小隊を指した。

(騎士団としての罰は与えたがまだ懲りていないようだ。この試合に自ら立候補してきたからな。アイツらは焼くなり煮るなりしていいから好きに料理しろ──という事ですね)

 多分合ってる。私は騎士団長にサムズアップして見せ、小隊に向き直った。

──星良、どうする?

「もう、これ以上付き合っていられないから、好きにやっちゃって出ていって良いよね?」

──そうだな。こうなってはもう、スピカにも、エルナトの街にも手出しをする気にならなくなる程完膚なきまで叩きのめすしかないであろうな。

 ピヨさんはそう言うと、私の頭の上にちょこんと乗った。その途端、小隊の従魔が戦意喪失。尻尾を下げて逃げていったのだ。

「ピヨさん、何したの?」

 突然の従魔の裏切り?に、戦う前から小隊に動揺が走った。

「まだ始まってもいないのに卑怯だぞ!」

 第二王子が口を挟む。

「あら、これは私のの力量を測るものでしょう?第二王子殿下はもしかして魔獣が開始の合図と共に襲ってくるとでも思っているのですか?」

 私は王子を馬鹿にしたように鼻で笑ってやった。
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