【完結】憧れの異世界転移が現実になったのですが何か思ってたのと違います

Debby

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第五章 憧れの東の国は海でした・編

5-1

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 エルナトの街を出発した私たちだけど、急ぐ旅でもないのでのんびりしていた。
 お土産や旅費を稼ぐために薬草採取をしたり、私にとっては初めての異世界旅だったりするので景色を楽しんだり、私の(主に体力的な)様子を見たりしながら進んだからだ。
 生まれてこのかた何日も続けてこんなに長く歩くということをしたことがないのだ。身体がどんなに若かろうと、疲れるものは疲れる。
 旅自体はレグルスがいるので弱い魔獣は寄ってこないし、強い魔獣が来てもレグルスと紅さんがいるので何の問題もない。あるとすれば、紅さんが狩ると消えてしまうので、食事時の狩りはレグルスに任せないといけないということくらい。
 そうして迎えた記念すべき一夜目は、結界のお陰で安心安全な野営だ。

「で、そのリストには次の行き先なんかが指示されているのか?」

 食事が終わった後レグルスがそう聞いてきた。
 レグルスは私が異世界人であることも、リストのことも知っているので、一応『達成可能リスト』の内容を伝えておくことにした。


 ----------
 リスト『異世界でやってみたい50のこと』
  
 達成可能(4)
 ★異世界旅行をしてみたい
 ★こっちの世界にない景色を見てみたい 
 ★いろんな種族に会ってみたい
 ★討伐をやってみたい 

 未達成(12)
  
 達成済み(34)--新規(0)・確認済み(34)
 ----------

 レグルスにはリストは私がやりたいと思ったことが羅列してあるだけで指示があるわけではないこと、おそらく行き先が決まれば新たな項目が達成可能リストにあがるのではないかということを話し、討伐に関してはリストを消化するためだけに魔獣動物を殺めることなんて出来ないので、達成しなくていいとも伝えた。
 すると、「良い子だな」と言わんばかりに頭に手を置いてポンポンされた。

「あ、レグルスに言っておくことがあったの!言動がこの見た目に引き摺られている事は私にも自覚があるのだけれど、星良本来はもっと大人なので、そこのところ宜しくお願いします」

 ずっと気になっていたし、今後動を共にするならば知っておいて貰った方が良いかなぁと、そう思って言ったのだけどレグルスは頭を掻きながら

「い、いや~。十六にしても発展途上っつ~か、発達途上なのに、本来はもっと子供ですと言われるならともかく、大人だって言われてもな~」と宣った。

「ピヨさん!!」

──・・・

 無言でピヨさんが巨大化してくれたので、羽の下に潜り込む。

 レグルスは突然巨大化したピヨさんに「おわっ!」と仰け反って驚いていたが、さすがに自分が悪かったと思ったらしく、

「せ、星良さーん。どこか行きたいところがあれば教えていただければ、ご希望に添いたいのですが?」
と、機嫌を取るように聞いてきた。

 因みに旅をするにあたり私は名前を星良に改めた。改めたというよりは戻したのだけど。
 一応スピカという赤い髪と瞳ガーネットの女の子が探されているため、名前だけでも変えてみたのだ。
 冒険者証タグは『スピカ』のままなのだけれど、騎士さんたちも「スピカさんですか?」→「いいえ、セーラです」→「じゃあ、人違いですね」って言うことにした方が良いのではないかな?と思ったのだ。レグルスは何故か苦笑いをしていたけど。
 まぁ、セイラはセーラに聞こえるため、この国の名前としても違和感はないだろうとのことだ。

 それはおいといて、私はレグルスの質問に少し考えて、ピヨさんから顔だけ出し「東に行きたいです」と答えた。このままふて寝を決め込んでも良いけれど、一日目からそういうのもね。
 だって私は大人なのだから!

 それに、ファンタジーあるある。
 東の国には日本に似た文化と米がある(多分)!

 が、しかし。私は忘れていた。この世界はそんなに都合よく出来ていないことを。

「東か。この国の東なら海だな」
「え、他の国じゃないんですか?」

 レグルスによると、この国と陸続きになっているのは西南北なのだそうだ。東は海でその先にはらしい。
 異世界での日本食との出会いの夢がが早々に破れた私に、レグルスは言った。

「良いんじゃないか?」と。
「いくつか達成できる項目もあるし、海底ダンジョンがあるぞ」と。

「海底ダンジョン!?」

 楽しそうな響きに今日は興奮して眠れないかもしれないと思ったけど、疲れとピヨさんの羽毛効果で簡単に眠りに落ちた。

 そう言えばこの世界に来たとき、東の国から来たとか言わなくて正解だったな。なんて考えながら・・・。



 海です!

 大きな街を出入りするときにタグをチェックされたけど、フードを被っていたし、騎士さんに「スピカさんですか?」と聞かれたので「いいえ、セーラです」って答えたら「じゃあ、人違いですね」と言って通してくれた。
 万事私の計画通りじゃん。
 私と一緒にいると知られているピヨさんはフードの中にいるし、紅さんは気配を消している。
 レグルスは呆れたようにその様子を見ていた。

 レグルスによると、海底ダンジョンへはある程度までは船で行き、船から飛び込み潜水してダンジョンの入り口に行くらしい。天気が良くて風もなく海が澄んでいるととても美しい景色を見ることが出来るのだそうだ。

 そして、なんとこのダンジョンには世界各国から冒険者が集まるらしく、色んな種族に会える可能性があるとのこと!
 であり、他にも海底ダンジョンはある為あまり人気はないらしいから、可能性、だけど。

 私は今すぐ海底ダンジョンに向かいたかったのだけれど、船が運休だったためその日は断念せざるを得なかった。運休の理由はちょっと風が強いというものだったが、エンジンがついているわけではないし、大きな船で行くわけでもないので、そんなもんかとその日はあきらめた。
 危機管理はきちんとしている。さすが日本のゲームの世界だ。

 折角到着したのに海底ダンジョンがお預けになったので、私はレグルスに付き添われて海辺を散策していた。
 風が強いのに浜辺を歩いている冒険者が他にいるはずもなく、貸し切り状態だ。
 よく考えると彼氏がいた時期もあったけど二人で海に行ったこともないよね。考え方によってはレグルスのようなイケメンと海辺デート的な体験は、異世界でしか出来ないことなのでこれはこれで良かったと思うことにした。

「ちょっと海でしたいことがあるんで、レグルスは好きに散歩でもナンパでもしてきていいですよ。結界風避けはそのままにしとくんで」

「ナンパとかしたことないし・・・。──ってか、俺がいないときに第二王子を失脚に追い込んだヤツから目を離すなんて危険なことが出来るわけがないだろ」

 なんとレグルスはナンパをしたことないらしい。あぁ、しなくとも向こうから寄ってくるからか。

「なんか変なこと考えてるな?」
「いえ、第二王子のアレは、自滅っていうんですよ」

 私の前には大きな海が広がっているが、本当に島のひとつも見えない。なぜならこの先には何もないから。
 それもそのはず、この世界は紙の地図のように板の上に成り立っているらしいのだ。
 昔々、船で旅立った人が、十年後に戻ってきて五年間船を進めたが何もなかったと言って帰ってきたと言う歴史があるらしい。
 だから
 太陽もある。月もある。朝も夜もある。風が吹き、潮の満ち引きもあるようだ──ならば地球の様に丸くて回っているのでは?と思うのだが、ゲーム上の都合かもしれないので深くは考えないことにした。

 私は大きな岩場の陰に座り風避けの結界を張ると、大海原を眺めながら収納からを取り出した。
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