7 / 21
7.近くに転校できそう!
しおりを挟む
【3月29日(火)】
学校から、田園調布にある高校の転入試験の書類が届いた。二人で山崎先生にお礼の電話をかけた。
山崎先生からは、4月4日(月)に願書出願、5日(火)に試験及び合格発表、合格した場合は6日(水)正午までに入学手続きを終えることになっているので必要書類を準備することと、事前に高校を訪問しておくこと、その時には佐藤先生に連絡するように言われた。
佐藤先生とは親交があるので事情を説明しておいたとのことだった。
【3月30日(水)】
翌日、圭さんが会社から佐藤先生に電話して学校訪問について相談してくれた。佐藤先生は男の先生だったとか。そして4月1日(金)の午前11時に2人で訪問することになった。圭さんは午前中会社を休んでくれる。
【4月1日(金)】
高校は池上線御嶽山駅から徒歩6分とかなり近い。10時30分に家を出て二人で向かう。入口で佐藤先生に会いに来たことを伝えると先生は玄関まで迎えに来てくれた。
案内されて応接室へ。やはり女性の副校長の二人との打合せとなった。圭さんが名刺交換をする。
「山田美香と保護者の石原圭です。美香に転校試験を受けさせていただけるとのこと、ありがとうございます。ご挨拶に参りました。よろしくお願いいたします。山崎先生から事情を説明していただいていると思いますが」
「山崎先生から話は聞いています。石原さんはしっかりした方だから、会って話されると良いと言われています。事情は副校長も承知しています。試験の結果から入学が許可されれば、山田さんは3年生になりますが、保護者として、大学への進学についてはどのようにお考えですか?」
「本人の希望にもよりますが、希望すればさせてやりたいと思っています」
「山田さんはどうですか?」
「経済的なこともありますので、石原さんと相談して決めたいと思っています」
「山田さんは学業が優れているので、できれば進学させてあげられると良いのですが」
「保護者という立場になりましたので、できるだけのことはする覚悟です」
「それから、お二人の同居については、学校としても承知しておりますが、他の生徒への配慮から、内密にしておきますので、お二人からも口外されないようにしてください」
「分かりました」
「あの、学校の制服ですが、まだ、準備ができていないので、前の学校の制服を着ていても良いですか?」
「そうですね。かまいません。それから転校の試験は頑張って下さい」
打合せが済んだので、二人に挨拶して学校を出た。春休み中で校舎内に生徒はいないけど、運動場でクラブ活動をしている。
「学校ではクラブ活動をしたらいい」
「私は帰宅部で良いのです。これまでもそうだったから」
「僕の帰りは遅くなるから、クラブ活動は十分できる。今しかできないことがあるからやっておいた方がいい」
「考えてみます」
「それから、ごめん、制服については忘れていた。すぐに新しい制服を注文しよう」
「あと1年だから、今のままでよいと思っています。制服って意外と高いんです。これをクリーニングに出せば十分です」
「でも、周りから変にみられていじめにでもあったら、大変だ。そっちの方が心配だ」
「今の私は、失うものはすべて失って、もう失うものがないから、怖いものなんかないんです。圭さん以外は」
「怖い?僕はできるだけ君に優しくしているつもりだけど」
「圭さんに嫌われて追い出されるのが怖いんです」
「同居させると言ったけど男に二言はない。それに美香ちゃんが家にいると楽しいし、夕食もおいしいし、毎日帰宅するのが楽しみになった。追い出す訳がないだろう」
「嫌われないように頑張ります」
「進学のことだけど、まあ、よく考えてみて、できるだけのことはするから」
「ありがとうございます。そのお気持ちだけでありがたいです」
駅から二人電車に乗って、私は長原で降りて、スーパーで買い物、圭さんはそのまま出勤した。圭さんに「美香ちゃんが家にいると楽しいし、夕食もおいしいし、毎日帰宅するのが楽しみになった」と言われて本当に嬉しかった。
【4月2日(土)】
翌日の土曜日には、学用品などを二人一緒に買いに行った。通学定期は身分証明書がまだないので取りあえずSuicaを買ってもらった。体操着などは前の学校のものがあるから良いと断った。
「必要なものがあったら遠慮しないで。保護者として美香ちゃんに恥ずかし思いや寂しい思いをさせたくないから。あとからお小遣いを渡すから必要なものは自分で買って」
「それから美香ちゃんにスマホを買おうと思っているけど」
「今までなくてやってきたので必要ないです」
「学校で友達とLineをしたりしないと仲間外れになるよ」
「私はもう怖いものはありません。仲間に入れてほしいと思いませんし、仲間に外れも気にしませんから」
「一番の理由は僕が美香ちゃんに連絡するために持っていてほしいんだ」
「家に固定電話がないから、急な仕事などで遅くなるときなど連絡できないと困るから。それにいつでも連絡がとれると僕も安心だから」
「それなら買ってください」
買うなら、圭さんとの連絡だけだから、料金が一番安いもので良いので、格安料金のものを探して契約してもらった。
いらないと言ってはいたけど、内心はすごく嬉しかった。すぐに圭さんのスマホに試しに電話した。これで圭さんといつも繋がっていられると思うと安心。
【4月4日(月)5日(火)6日(水)】
4月4日(月)に準備しておいた願書を出願、5日(火)に試験を受け合格を確認。圭さんが6日の午前中に休暇を取って私の転校手続きをしてくれた。ありがとう。
学校から、田園調布にある高校の転入試験の書類が届いた。二人で山崎先生にお礼の電話をかけた。
山崎先生からは、4月4日(月)に願書出願、5日(火)に試験及び合格発表、合格した場合は6日(水)正午までに入学手続きを終えることになっているので必要書類を準備することと、事前に高校を訪問しておくこと、その時には佐藤先生に連絡するように言われた。
佐藤先生とは親交があるので事情を説明しておいたとのことだった。
【3月30日(水)】
翌日、圭さんが会社から佐藤先生に電話して学校訪問について相談してくれた。佐藤先生は男の先生だったとか。そして4月1日(金)の午前11時に2人で訪問することになった。圭さんは午前中会社を休んでくれる。
【4月1日(金)】
高校は池上線御嶽山駅から徒歩6分とかなり近い。10時30分に家を出て二人で向かう。入口で佐藤先生に会いに来たことを伝えると先生は玄関まで迎えに来てくれた。
案内されて応接室へ。やはり女性の副校長の二人との打合せとなった。圭さんが名刺交換をする。
「山田美香と保護者の石原圭です。美香に転校試験を受けさせていただけるとのこと、ありがとうございます。ご挨拶に参りました。よろしくお願いいたします。山崎先生から事情を説明していただいていると思いますが」
「山崎先生から話は聞いています。石原さんはしっかりした方だから、会って話されると良いと言われています。事情は副校長も承知しています。試験の結果から入学が許可されれば、山田さんは3年生になりますが、保護者として、大学への進学についてはどのようにお考えですか?」
「本人の希望にもよりますが、希望すればさせてやりたいと思っています」
「山田さんはどうですか?」
「経済的なこともありますので、石原さんと相談して決めたいと思っています」
「山田さんは学業が優れているので、できれば進学させてあげられると良いのですが」
「保護者という立場になりましたので、できるだけのことはする覚悟です」
「それから、お二人の同居については、学校としても承知しておりますが、他の生徒への配慮から、内密にしておきますので、お二人からも口外されないようにしてください」
「分かりました」
「あの、学校の制服ですが、まだ、準備ができていないので、前の学校の制服を着ていても良いですか?」
「そうですね。かまいません。それから転校の試験は頑張って下さい」
打合せが済んだので、二人に挨拶して学校を出た。春休み中で校舎内に生徒はいないけど、運動場でクラブ活動をしている。
「学校ではクラブ活動をしたらいい」
「私は帰宅部で良いのです。これまでもそうだったから」
「僕の帰りは遅くなるから、クラブ活動は十分できる。今しかできないことがあるからやっておいた方がいい」
「考えてみます」
「それから、ごめん、制服については忘れていた。すぐに新しい制服を注文しよう」
「あと1年だから、今のままでよいと思っています。制服って意外と高いんです。これをクリーニングに出せば十分です」
「でも、周りから変にみられていじめにでもあったら、大変だ。そっちの方が心配だ」
「今の私は、失うものはすべて失って、もう失うものがないから、怖いものなんかないんです。圭さん以外は」
「怖い?僕はできるだけ君に優しくしているつもりだけど」
「圭さんに嫌われて追い出されるのが怖いんです」
「同居させると言ったけど男に二言はない。それに美香ちゃんが家にいると楽しいし、夕食もおいしいし、毎日帰宅するのが楽しみになった。追い出す訳がないだろう」
「嫌われないように頑張ります」
「進学のことだけど、まあ、よく考えてみて、できるだけのことはするから」
「ありがとうございます。そのお気持ちだけでありがたいです」
駅から二人電車に乗って、私は長原で降りて、スーパーで買い物、圭さんはそのまま出勤した。圭さんに「美香ちゃんが家にいると楽しいし、夕食もおいしいし、毎日帰宅するのが楽しみになった」と言われて本当に嬉しかった。
【4月2日(土)】
翌日の土曜日には、学用品などを二人一緒に買いに行った。通学定期は身分証明書がまだないので取りあえずSuicaを買ってもらった。体操着などは前の学校のものがあるから良いと断った。
「必要なものがあったら遠慮しないで。保護者として美香ちゃんに恥ずかし思いや寂しい思いをさせたくないから。あとからお小遣いを渡すから必要なものは自分で買って」
「それから美香ちゃんにスマホを買おうと思っているけど」
「今までなくてやってきたので必要ないです」
「学校で友達とLineをしたりしないと仲間外れになるよ」
「私はもう怖いものはありません。仲間に入れてほしいと思いませんし、仲間に外れも気にしませんから」
「一番の理由は僕が美香ちゃんに連絡するために持っていてほしいんだ」
「家に固定電話がないから、急な仕事などで遅くなるときなど連絡できないと困るから。それにいつでも連絡がとれると僕も安心だから」
「それなら買ってください」
買うなら、圭さんとの連絡だけだから、料金が一番安いもので良いので、格安料金のものを探して契約してもらった。
いらないと言ってはいたけど、内心はすごく嬉しかった。すぐに圭さんのスマホに試しに電話した。これで圭さんといつも繋がっていられると思うと安心。
【4月4日(月)5日(火)6日(水)】
4月4日(月)に準備しておいた願書を出願、5日(火)に試験を受け合格を確認。圭さんが6日の午前中に休暇を取って私の転校手続きをしてくれた。ありがとう。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる