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95 水没
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『傘』は砕け散ったが、ルキアスはその前兆を感じ取って両脚を踏ん張っていた。これでどうにか耐え、再度『傘』を張る。
「ほんとに大丈夫なのか!?」
「何とか!」
ロマはちょっと危うかったルキアスを心配するが、他に方法は無い。
ルキアスは集中を切らさないよう、言葉を短く返しながら階段をまた一歩進む。『傘』はまた直ぐに崩壊するが、今度は予め構えていたので少し余裕を保って踏ん張る。そしてまた『傘』を張る。一段上がっては張り直し、一歩進んではまた張り直す。
そうして階段を地下一階まで登り切った。しかしまだそこには足を掬われそうな流れが出来ている。壁に沿って同じように『傘』を張りながら階段から離れた場所まで移動し、漸く一息吐いた。
「やるな! ルキアス! 『傘』にこんな使い道があったとは初めて知ったぞ!」
「えへへ……」
ロマに絶賛されて照れまくるルキアスである。
しかしあまり悠長にはしていられない。階段を上がる間に地下二階はほぼ水没した。地下一階が水没するのも時間の問題だ。
「そんじゃ改めて入口に向かうぞ!」
「はい!」
地下一階ではウーウーと不快感を催す音が大音量で鳴り続けている。そのせいで大声を出さなければ話もできない状態だ。
「しかしこの警報は五月蠅ぇなぁ! まともに話もできやしない!」
「これって警報なの!?」
「そうだ! 地下二階でも本当は鳴る筈だった!」
「え!? 鳴ってないよ!」
「故障してたんだろ!」
「そんな!」
「使ってない道具なんて壊れてても気付かないもんだ!」
警報の故障は自身が逃げ遅れた原因の一つには違いない。ルキアスは一度だけ天を仰いだ。
二人は入口を目指して歩く。地下一階はまだ膝までの浸水だ。走るには辛いが歩くだけなら問題ない。
しかしルキアスがそう思ったのも束の間、水位が上がりだした。地下二階が完全に水没したのだ。
「やべっ! 水が上がりだした! 急ぐぞ!」
「はい!」
そうは言っても急くのは気持ちばかりだ。水位が上がるにつれて歩みは遅くなる。商店街付近に差し掛かれば取り残された商品が漂流物となって邪魔をする。
だが商品程度ならまだマシだった。店の建物は床に固定されずに置かれているだけだ。水没すれば木製のそれは浮き上がる。
ルキアスとロマが激しい破壊音に何事かと振り向けば、浮いた建物が倒れかかって来ていた。
「わあっ!」
「うわっ!」
二人は建物に押し倒されるように水の中に消えた。
「ほんとに大丈夫なのか!?」
「何とか!」
ロマはちょっと危うかったルキアスを心配するが、他に方法は無い。
ルキアスは集中を切らさないよう、言葉を短く返しながら階段をまた一歩進む。『傘』はまた直ぐに崩壊するが、今度は予め構えていたので少し余裕を保って踏ん張る。そしてまた『傘』を張る。一段上がっては張り直し、一歩進んではまた張り直す。
そうして階段を地下一階まで登り切った。しかしまだそこには足を掬われそうな流れが出来ている。壁に沿って同じように『傘』を張りながら階段から離れた場所まで移動し、漸く一息吐いた。
「やるな! ルキアス! 『傘』にこんな使い道があったとは初めて知ったぞ!」
「えへへ……」
ロマに絶賛されて照れまくるルキアスである。
しかしあまり悠長にはしていられない。階段を上がる間に地下二階はほぼ水没した。地下一階が水没するのも時間の問題だ。
「そんじゃ改めて入口に向かうぞ!」
「はい!」
地下一階ではウーウーと不快感を催す音が大音量で鳴り続けている。そのせいで大声を出さなければ話もできない状態だ。
「しかしこの警報は五月蠅ぇなぁ! まともに話もできやしない!」
「これって警報なの!?」
「そうだ! 地下二階でも本当は鳴る筈だった!」
「え!? 鳴ってないよ!」
「故障してたんだろ!」
「そんな!」
「使ってない道具なんて壊れてても気付かないもんだ!」
警報の故障は自身が逃げ遅れた原因の一つには違いない。ルキアスは一度だけ天を仰いだ。
二人は入口を目指して歩く。地下一階はまだ膝までの浸水だ。走るには辛いが歩くだけなら問題ない。
しかしルキアスがそう思ったのも束の間、水位が上がりだした。地下二階が完全に水没したのだ。
「やべっ! 水が上がりだした! 急ぐぞ!」
「はい!」
そうは言っても急くのは気持ちばかりだ。水位が上がるにつれて歩みは遅くなる。商店街付近に差し掛かれば取り残された商品が漂流物となって邪魔をする。
だが商品程度ならまだマシだった。店の建物は床に固定されずに置かれているだけだ。水没すれば木製のそれは浮き上がる。
ルキアスとロマが激しい破壊音に何事かと振り向けば、浮いた建物が倒れかかって来ていた。
「わあっ!」
「うわっ!」
二人は建物に押し倒されるように水の中に消えた。
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