116 / 627
116 黄昏れて
しおりを挟む
六日目になってもルキアスは解決の糸口すら見付けられていない。せめて気分転換をと、地下一階商店街の大衆食堂で夕食だ。稼ぎ的に週一度くらいなら外食しても大丈夫だから、その一度を今夜にした。ただその数少ない外食に最も安価なラビット丼、つまりホーンラビットの肉を甘辛く煮込んだものを白飯の上に載せるだけの料理を選ぶところは貧乏性故だろう。
そして食すのだが、ラビット丼がいつもより妙に味気なく感じられた。
(失敗したかなぁ)
ここには究極とも言える選択がある。美味しい料理は気分が落ち込んだ時に少しでも気分が上向くのに期待して食べるべきか、それとも料理をより美味しく食べるために良い気分の時に食べるべきか。いつでも美味しい料理を食べられるなら迷いはしないが、ルキアスにはその一回一回の食事が貴重だから迷ってしまうのだ。
(いや、今は料理の味のことを考えちゃダメだ)
変に考えたら料理が余計に味気なくなる。
しかしそうして思考を切り替えようとすると、代わりに思い浮かぶのは課題のことだった。
(根本的に銃の構造を見直さないとだめかな……)
ルキアスから仕掛ける時は時間に縛られずにゆっくり時間を掛けられる。しかし仕掛けられた場合は攻撃を受ける前に対応しなければならない。その時間がルキアスにとってはあまりに短く、いかんともし難い。
このまま同じ事を繰り返しても「たまに射撃ができる」程度から先には進めそうにない。今がそうだから、全く進歩できないと言うことだ。
ルキアスには足掻くだけ無駄にも思えた。
「どうした兄弟、何を黄昏れてるんだ?」
「ロマさん……」
「どうした? 時化た顔してっと幸せが逃げてくぞ。悩みがあるなら俺が聞こうじゃないか」
ロマは二人掛けテーブルのルキアスの向かいに座ってラビット丼を注文すると、「さあ、何でも話せ」とばかりにずずずいっとテーブル越しに身を乗り出した。
そして食すのだが、ラビット丼がいつもより妙に味気なく感じられた。
(失敗したかなぁ)
ここには究極とも言える選択がある。美味しい料理は気分が落ち込んだ時に少しでも気分が上向くのに期待して食べるべきか、それとも料理をより美味しく食べるために良い気分の時に食べるべきか。いつでも美味しい料理を食べられるなら迷いはしないが、ルキアスにはその一回一回の食事が貴重だから迷ってしまうのだ。
(いや、今は料理の味のことを考えちゃダメだ)
変に考えたら料理が余計に味気なくなる。
しかしそうして思考を切り替えようとすると、代わりに思い浮かぶのは課題のことだった。
(根本的に銃の構造を見直さないとだめかな……)
ルキアスから仕掛ける時は時間に縛られずにゆっくり時間を掛けられる。しかし仕掛けられた場合は攻撃を受ける前に対応しなければならない。その時間がルキアスにとってはあまりに短く、いかんともし難い。
このまま同じ事を繰り返しても「たまに射撃ができる」程度から先には進めそうにない。今がそうだから、全く進歩できないと言うことだ。
ルキアスには足掻くだけ無駄にも思えた。
「どうした兄弟、何を黄昏れてるんだ?」
「ロマさん……」
「どうした? 時化た顔してっと幸せが逃げてくぞ。悩みがあるなら俺が聞こうじゃないか」
ロマは二人掛けテーブルのルキアスの向かいに座ってラビット丼を注文すると、「さあ、何でも話せ」とばかりにずずずいっとテーブル越しに身を乗り出した。
97
あなたにおすすめの小説
異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~
夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。
雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。
女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。
異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。
調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。
そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。
※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。
※サブタイトル追加しました。
最強の赤ん坊! 異世界に来てしまったので帰ります!
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
病弱な僕は病院で息を引き取った
お母さんに親孝行もできずに死んでしまった僕はそれが無念でたまらなかった
そんな僕は運がよかったのか、異世界に転生した
魔法の世界なら元の世界に戻ることが出来るはず、僕は絶対に地球に帰る
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・
オバちゃんだからこそ ~45歳の異世界珍道中~
鉄 主水
ファンタジー
子育ても一段落した40過ぎの訳あり主婦、里子。
そんなオバちゃん主人公が、突然……異世界へ――。
そこで里子を待ち構えていたのは……今まで見たことのない奇抜な珍獣であった。
「何がどうして、なぜこうなった! でも……せっかくの異世界だ! 思いっ切り楽しんじゃうぞ!」
オバちゃんパワーとオタクパワーを武器に、オバちゃんは我が道を行く!
ラブはないけど……笑いあり、涙ありの異世界ドタバタ珍道中。
いざ……はじまり、はじまり……。
※この作品は、エブリスタ様、小説家になろう様でも投稿しています。
インターネットで異世界無双!?
kryuaga
ファンタジー
世界アムパトリに転生した青年、南宮虹夜(ミナミヤコウヤ)は女神様にいくつものチート能力を授かった。
その中で彼の目を一番引いたのは〈電脳網接続〉というギフトだ。これを駆使し彼は、ネット通販で日本の製品を仕入れそれを売って大儲けしたり、日本の企業に建物の設計依頼を出して異世界で技術無双をしたりと、やりたい放題の異世界ライフを送るのだった。
これは剣と魔法の異世界アムパトリが、コウヤがもたらした日本文化によって徐々に浸食を受けていく変革の物語です。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界転生!ハイハイからの倍人生
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は死んでしまった。
まさか野球観戦で死ぬとは思わなかった。
ホームランボールによって頭を打ち死んでしまった僕は異世界に転生する事になった。
転生する時に女神様がいくら何でも可哀そうという事で特殊な能力を与えてくれた。
それはレベルを減らすことでステータスを無制限に倍にしていける能力だった...
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる