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559 魔法は気から
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「ルキアス君、ちょっといいかい?」
「はい?」
「これを『捏ね』て欲しいんだ」
フヨヨンは山盛りの草の束と丼一杯分くらいの魔石の粉を並べた。その横には道具だろう大きな鍋、擂り鉢、擂り粉木を並べる。
「これは魔法薬の材料さ。ルキアス君は魔法薬の作り方を知ってるかい?」
「いえ」
「それならこの機会に憶えるといいよ。簡単だからね」
「あ、はい」
フヨヨンの言う「簡単」がどこまで真実かは判らないが、作り方を知るのは損にならない。ルキアスはアダマント『捏ね』はお休みし、魔法薬作りを手伝うのに同意した。
草の束は四種類の薬草で、最初にこれらを擂り潰す。
これに魔石の粉を混ぜ、捏ねる。
「形が纏まったらまたしっかり『捏ね』てくれたまえよ」
「ええ……」
擂り粉木で擂るのが大変で腕がもう怠くなっていたルキアスである。
しかし魔法で『捏ね』るだけなら然程苦労は無かった。フヨヨンが「もういいよ」と言うまで小一時間。擂り粉木を回すよりも簡単なものだ。
そして球状に丸めて一時間寝かす。
「次は煮込むよ。大きな鍋にその球を入れて被るくらいに水を入れて沸騰する直前くらいの温度で二時間程さ」
「ええ……」
ルキアスは時間の長さに溜め息にも似た声を漏らした。こんな『加熱』は慣れたものだから、苦になるのは退屈な時間だけなのだ。
鍋に『湧水』で水を入れ、『加熱』する。
「だけどフヨヨンさんはどうして魔法薬を?」
「念のために常備するのが不思議かい?」
「はい。必要なようには見えないので」
「……そうはっきり言われると誤魔化しづらいね」
フヨヨンは人差し指で頬を掻いた。
「ルキアス君が『捏ね』たらどれだけ性能が上がるのかの実験さ」
「それなら別に隠さなくったって……」
「『捏ね』る時、ルキアス君に邪念が入ったら効果が変わるかも知れないじゃないか」
「そんな、気分で変わるものですか?」
「魔法なんてそんなものだよ」
「ええ……」
ルキアスが釈然としないまま二時間が経った。
「後はまた寝かせるよ。明日の朝までだね」
「ルキアスちゃんとフヨヨンはもう終わったかしら? そろそろ夕ご飯だから片付けて欲しいのだけど」
ちょうど『加熱』が終わったところにメイナーダが声を掛けて来た。朝から二人がリビングを占領していたため、昼食はサンドウィッチにしてくれていた彼女だったが、夕食までは看過できない様子だ。
フヨヨンが出していた物を『収納』に片付ける。
間もなくダンジョン探索をしていたタイラク達も戻って来た。
そして夕食の途中。
「ねぇねぇ、聞いて。ルキアスちゃんに作って貰った包丁、手に当たっても切れないのに食材はスパスパだったわ」
メイナーダがそんなことを言った。手を切らずに食材だけ切るには少々コツが必要なようだが、彼女は一日で掴んだらしい。
するとフヨヨンがルキアスに耳打ちした。
「ほら、魔法は気分次第だろ?」
「これもそうなんですか?」
「勿論さ」
ルキアスは苦笑いをするばかりであった。
そして翌日、フヨヨンが指先をナイフで小さく切り付けて魔法薬を試すと、予想していた通りに効果が高かった。
「はい?」
「これを『捏ね』て欲しいんだ」
フヨヨンは山盛りの草の束と丼一杯分くらいの魔石の粉を並べた。その横には道具だろう大きな鍋、擂り鉢、擂り粉木を並べる。
「これは魔法薬の材料さ。ルキアス君は魔法薬の作り方を知ってるかい?」
「いえ」
「それならこの機会に憶えるといいよ。簡単だからね」
「あ、はい」
フヨヨンの言う「簡単」がどこまで真実かは判らないが、作り方を知るのは損にならない。ルキアスはアダマント『捏ね』はお休みし、魔法薬作りを手伝うのに同意した。
草の束は四種類の薬草で、最初にこれらを擂り潰す。
これに魔石の粉を混ぜ、捏ねる。
「形が纏まったらまたしっかり『捏ね』てくれたまえよ」
「ええ……」
擂り粉木で擂るのが大変で腕がもう怠くなっていたルキアスである。
しかし魔法で『捏ね』るだけなら然程苦労は無かった。フヨヨンが「もういいよ」と言うまで小一時間。擂り粉木を回すよりも簡単なものだ。
そして球状に丸めて一時間寝かす。
「次は煮込むよ。大きな鍋にその球を入れて被るくらいに水を入れて沸騰する直前くらいの温度で二時間程さ」
「ええ……」
ルキアスは時間の長さに溜め息にも似た声を漏らした。こんな『加熱』は慣れたものだから、苦になるのは退屈な時間だけなのだ。
鍋に『湧水』で水を入れ、『加熱』する。
「だけどフヨヨンさんはどうして魔法薬を?」
「念のために常備するのが不思議かい?」
「はい。必要なようには見えないので」
「……そうはっきり言われると誤魔化しづらいね」
フヨヨンは人差し指で頬を掻いた。
「ルキアス君が『捏ね』たらどれだけ性能が上がるのかの実験さ」
「それなら別に隠さなくったって……」
「『捏ね』る時、ルキアス君に邪念が入ったら効果が変わるかも知れないじゃないか」
「そんな、気分で変わるものですか?」
「魔法なんてそんなものだよ」
「ええ……」
ルキアスが釈然としないまま二時間が経った。
「後はまた寝かせるよ。明日の朝までだね」
「ルキアスちゃんとフヨヨンはもう終わったかしら? そろそろ夕ご飯だから片付けて欲しいのだけど」
ちょうど『加熱』が終わったところにメイナーダが声を掛けて来た。朝から二人がリビングを占領していたため、昼食はサンドウィッチにしてくれていた彼女だったが、夕食までは看過できない様子だ。
フヨヨンが出していた物を『収納』に片付ける。
間もなくダンジョン探索をしていたタイラク達も戻って来た。
そして夕食の途中。
「ねぇねぇ、聞いて。ルキアスちゃんに作って貰った包丁、手に当たっても切れないのに食材はスパスパだったわ」
メイナーダがそんなことを言った。手を切らずに食材だけ切るには少々コツが必要なようだが、彼女は一日で掴んだらしい。
するとフヨヨンがルキアスに耳打ちした。
「ほら、魔法は気分次第だろ?」
「これもそうなんですか?」
「勿論さ」
ルキアスは苦笑いをするばかりであった。
そして翌日、フヨヨンが指先をナイフで小さく切り付けて魔法薬を試すと、予想していた通りに効果が高かった。
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