王立辺境警備隊にがお絵屋へようこそ!

小津カヲル

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3ー1章 故郷

プロローグ~リュファス副隊長の新業務日報・抜粋1

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 七月二十日

 本日より、アルベリック・レヴィナス隊長から業務日報を引き継ぐ。特に上への報告の義務はないとはいえ、万が一の時のために重要と思われる事は記載していく事になるだろう。
 とはいえ、ほぼ愛妻日記と化した前日までの記録は、廃棄してもいいだろうか。いや、むしろなぜ廃棄できないのかは、私もよく分かっている。些細な出来事にも顔を突っ込む、彼女の性格が災いしているからだ。
 本日以降、この平和なノエリアで起こるであろう多少のいざこざに、隊長夫人が絡まない事を切に願う。

 ノエリア支部副隊長リュファス・ドゥ・ラクロ記



 七月二十五日

 本日隊員からの苦情の処理にあたる。
 なんでも、隊長夫人より挨拶が行われているとの申告。班長以下末端の新兵まで、わざわざ呼び止められるとのこと。異世界文化らしいとは分かってはいるが、新兵にとっては威圧に等しい。本日カズハを呼び止めて詳細を確認。本人曰く、人妻らしいことに目覚めたらしい。余計な事を……。程ほどにすべしと注意を促す。
 本日も平穏である。

 ノエリア支部副隊長リュファス・ドゥ・ラクロ記
 


 七月二十七日

 本日の警備隊業務は、祭前の中央広場での奉仕活動。及び「アルマの肉店」での喧嘩の仲裁。加えて暴れウマの取り押さえ。
 市場で隊長夫人の噂を入手。警備隊から住人へ対象が移ったようだ。挨拶周りは程々にと注意。そして隊長へ報告。隊長の眉間の皺が深くなり、更に凄みが増せば意味はなかろうにと、ため息が尽きない。

 ノエリア支部副隊長リュファス・ドゥ・ラクロ記



 七月三十日

 夏恒例の立秋祭の季節がやって来た。
 今年もディディエ率いる芸戯団がノエリアを訪れ、早速テントを設営。監査も滞りなく済み、営業許可証を発行。中央広場の警護交代日程は例年通り難航したが、これも何とか解決。
 夕刻のグリフォン定期便にて、報せあり。ローウィン支部に隊長を派遣要請。しかも、夫人を伴って。
 頭が痛い……何を考えておられるのか。

 ノエリア支部副隊長リュファス・ドゥ・ラクロ記



 七月三十二日

 緊急事態発生。
 先のローウェン支部からの要請に加えて、王都警備隊本部からも内密に要請があった。現ローウィン領事補佐官となったサミュエルにも問い合わせている。
 緊急に立秋祭の警備日程を練り直さねばならなくなった。あと三日もないというのに、本当に頭が痛い。

 ノエリア支部副隊長リュファス・ドゥ・ラクロ記



 七月三十五日

 サミュエルからの情報により、王立技術研究所が絡んでいることが分かった。それともうひとつ、グロヴレ家の動きが気になる。どうやら今夏もまた、ひと騒動ありそうだ。そして嵐の目がまたしても彼女となりそうで、目眩を覚える。
 徹夜で調整を終え、無事に明日を迎える事が出来そうだ。

 ノエリア支部副隊長リュファス・ドゥ・ラクロ記
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