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エリアスの背中(2)
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「それにしても羊飼いかぁ。ロックウィーナは健康そうだもんね~」
「はい。毎日走り回っていたから足腰は強いです」
「戦闘の基礎は故郷で培われたのだな」
お世辞だろうが聖騎士達が私を褒めてくれている中へ、
「彼女は魅了の技も凄いんですよ」
突然エンが爆弾発言を投げ込んだ。えっと忍者、何を言い出すん?
「魅了が凄いのはキースさんだろう?」
キースの瞳にやられて痴態を晒したユーリが意見したが、エンが力強く持論を展開した。
「いや、キースさんの魅了は瞬間的なものだが、ロックウィーナの魅了はじわじわ来る遅効性タイプなんだ。彼女はくノ一になったら大活躍すると思う」
「くノ一にしては色気が足りないだろう。顔の厳つさも」
余計なお世話だ。色気の無さは自覚しているけど、顔の厳ついのが好きなのはアンタ個人だろーがユーリ。
「それがな、技にかかると徐々に色っぽく感じてくるんだ。今の俺に彼女は艶やかな美女に見えるぞ。ユー……ユアン、おまえも一度技をかけてもらえ」
…………ん?
私にはエンの言っていることが解らなかった。私が艶やかな美女?
「エン、技をかけたって何? 私はあなたに何もしてないよ?」
「そんなはずはないだろう。前に俺が頼んだからかけてくれたんだろう?」
「してないってば。そもそも私は魅了の技なんて知らないし」
否定したのにエンは譲らなかった。
「じゃあ何で俺はアンタを見ると胸が高鳴るんだ? 何で夢にまでアンタが出てくるんだ?」
「……………………へ?」
私はポカンとして、周囲の男達が放つ空気がピキンと固くなった。
「あ、あのねエン、きっとそれは勘違いだと思う……」
「勘違いなものか。ただこのままいくと感情が暴走して、近い内にアンタを襲ってしまいそうな気がする」
ひぇ!?
「アンタを傷付けることは本意じゃない。だからそろそろ技を解いてくれないか?」
ルパート、キース、アルクナイト、エリアスが目に見えて慌て出した。
「……おいおいおい! キースさん、これってばヤバくねぇ?」
「ええ。まさか色恋に興味が無さそうなエンまでもが陥落するなんて」
「忍者はノーマークだったぞ。どうするんだエリー」
「私に聞くな。彼の扱いはバディのマキアが一番よく知っているだろう?」
男達の視線が呆気に取られていたマキアへ注がれた。
「そーだワンコ、何故見張っていなかった! こうなることを事前に察知して、予め小娘から忍者を遠ざけておかんか!!」
「ええっ! そんなことまで俺の責任になるんですか!? ムチャ言わないでく下さいよ!」
その光景を当のエンが不思議そうに眺めていた。
「どうしたんだマキア。みんなは何を言っている?」
「いやあの……」
「何だ」
「本当に解ってないの? エン」
「だから何がだ」
マキアは肩を落として盛大に溜め息を吐いた。
「あのなエン、ロックウィーナは技も魔法も使ってないよ」
「そんなはずはない。俺は彼女にドキドキしてしまう」
「うん……。それはおまえ自身から生まれた自然な想いなんだよ……」
「………………?」
「エン、おまえはさ……」
マキアは意を決して言った。
「ロックウィーナに、素で恋をしてしまったんだ」
「!………………」
その言葉にエンは目を見開いた。私も。
いやいやいや。エンが好きなのはバディのマキアと義兄弟のユーリと犯人捜しだ。私は含まれていない。
しかしエンは私を見て、少しずつ顔を赤く染めていった。うわあぁぁ、私も釣られるぅぅ。頬、おデコ、ついには耳たぶにまで熱が広がった。きっと私の顔もエン同様に真っ赤になってしまっている。
エンは片手で口元を覆いながらも、破壊力の有る言葉を呟いたのだった。
「マジか……。これが恋か………」
どうしよう。
私の頭に真っ先に浮かんだのはその感情だった。
エンは赤くなったままブツブツと自問自答を繰り返している。本当に私に恋をしてしまったのだろうか?
慕ってもらえるのは嬉しい。でもそれ以上に困る。現在私の周囲は複雑な状況下にある。
慌てた様子だったルパート、キース、アルクナイト、エリアスの様子が一変していた。凍てつく視線でエンを睨みつけている。彼をライバルだと認識したのだ。年長組としての心の余裕は彼らには一切期待できない。
現に隣のエリアスが、まるで自分に所有権が有ると言わんばかりに私の肩を力強く抱いてきた。
(すみませんが、私は今臭いから離れて下さい)
己の体臭をまた恥じたのだが、それ以上に強いエリアスの男の匂いがプワンと漂った。木は森の中へ隠せ。これなら自分の匂いを誤魔化せそうだと安堵しかけた私であったが、
(う……んん? 何かドキドキする…………?)
妙に興奮して心臓の鼓動が早くなっていた。
(何で?)
……ああ、前に聞いたよーな。異性の体臭ってフェロモン効果が有るんだっけ? 嫌いな相手なら悪臭だと感じたであろう汗の匂い。しかしエリアスフレグランスは私の脳の中枢を刺激して、彼が「魅惑的な男」なのだと大々的にアピールしてきた。
……あれれ? ということは私の香りもフェロモンに変換されている?
上目遣いでそうっと窺うと、エリアスが熱い眼差しで私を見下ろしていた。
「はい。毎日走り回っていたから足腰は強いです」
「戦闘の基礎は故郷で培われたのだな」
お世辞だろうが聖騎士達が私を褒めてくれている中へ、
「彼女は魅了の技も凄いんですよ」
突然エンが爆弾発言を投げ込んだ。えっと忍者、何を言い出すん?
「魅了が凄いのはキースさんだろう?」
キースの瞳にやられて痴態を晒したユーリが意見したが、エンが力強く持論を展開した。
「いや、キースさんの魅了は瞬間的なものだが、ロックウィーナの魅了はじわじわ来る遅効性タイプなんだ。彼女はくノ一になったら大活躍すると思う」
「くノ一にしては色気が足りないだろう。顔の厳つさも」
余計なお世話だ。色気の無さは自覚しているけど、顔の厳ついのが好きなのはアンタ個人だろーがユーリ。
「それがな、技にかかると徐々に色っぽく感じてくるんだ。今の俺に彼女は艶やかな美女に見えるぞ。ユー……ユアン、おまえも一度技をかけてもらえ」
…………ん?
私にはエンの言っていることが解らなかった。私が艶やかな美女?
「エン、技をかけたって何? 私はあなたに何もしてないよ?」
「そんなはずはないだろう。前に俺が頼んだからかけてくれたんだろう?」
「してないってば。そもそも私は魅了の技なんて知らないし」
否定したのにエンは譲らなかった。
「じゃあ何で俺はアンタを見ると胸が高鳴るんだ? 何で夢にまでアンタが出てくるんだ?」
「……………………へ?」
私はポカンとして、周囲の男達が放つ空気がピキンと固くなった。
「あ、あのねエン、きっとそれは勘違いだと思う……」
「勘違いなものか。ただこのままいくと感情が暴走して、近い内にアンタを襲ってしまいそうな気がする」
ひぇ!?
「アンタを傷付けることは本意じゃない。だからそろそろ技を解いてくれないか?」
ルパート、キース、アルクナイト、エリアスが目に見えて慌て出した。
「……おいおいおい! キースさん、これってばヤバくねぇ?」
「ええ。まさか色恋に興味が無さそうなエンまでもが陥落するなんて」
「忍者はノーマークだったぞ。どうするんだエリー」
「私に聞くな。彼の扱いはバディのマキアが一番よく知っているだろう?」
男達の視線が呆気に取られていたマキアへ注がれた。
「そーだワンコ、何故見張っていなかった! こうなることを事前に察知して、予め小娘から忍者を遠ざけておかんか!!」
「ええっ! そんなことまで俺の責任になるんですか!? ムチャ言わないでく下さいよ!」
その光景を当のエンが不思議そうに眺めていた。
「どうしたんだマキア。みんなは何を言っている?」
「いやあの……」
「何だ」
「本当に解ってないの? エン」
「だから何がだ」
マキアは肩を落として盛大に溜め息を吐いた。
「あのなエン、ロックウィーナは技も魔法も使ってないよ」
「そんなはずはない。俺は彼女にドキドキしてしまう」
「うん……。それはおまえ自身から生まれた自然な想いなんだよ……」
「………………?」
「エン、おまえはさ……」
マキアは意を決して言った。
「ロックウィーナに、素で恋をしてしまったんだ」
「!………………」
その言葉にエンは目を見開いた。私も。
いやいやいや。エンが好きなのはバディのマキアと義兄弟のユーリと犯人捜しだ。私は含まれていない。
しかしエンは私を見て、少しずつ顔を赤く染めていった。うわあぁぁ、私も釣られるぅぅ。頬、おデコ、ついには耳たぶにまで熱が広がった。きっと私の顔もエン同様に真っ赤になってしまっている。
エンは片手で口元を覆いながらも、破壊力の有る言葉を呟いたのだった。
「マジか……。これが恋か………」
どうしよう。
私の頭に真っ先に浮かんだのはその感情だった。
エンは赤くなったままブツブツと自問自答を繰り返している。本当に私に恋をしてしまったのだろうか?
慕ってもらえるのは嬉しい。でもそれ以上に困る。現在私の周囲は複雑な状況下にある。
慌てた様子だったルパート、キース、アルクナイト、エリアスの様子が一変していた。凍てつく視線でエンを睨みつけている。彼をライバルだと認識したのだ。年長組としての心の余裕は彼らには一切期待できない。
現に隣のエリアスが、まるで自分に所有権が有ると言わんばかりに私の肩を力強く抱いてきた。
(すみませんが、私は今臭いから離れて下さい)
己の体臭をまた恥じたのだが、それ以上に強いエリアスの男の匂いがプワンと漂った。木は森の中へ隠せ。これなら自分の匂いを誤魔化せそうだと安堵しかけた私であったが、
(う……んん? 何かドキドキする…………?)
妙に興奮して心臓の鼓動が早くなっていた。
(何で?)
……ああ、前に聞いたよーな。異性の体臭ってフェロモン効果が有るんだっけ? 嫌いな相手なら悪臭だと感じたであろう汗の匂い。しかしエリアスフレグランスは私の脳の中枢を刺激して、彼が「魅惑的な男」なのだと大々的にアピールしてきた。
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