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それぞれの想い(2)
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「魔力測定器で、火と風の二属性に適性有りと出たんです。でも風魔法はコントロールと使い道が難しくて……、だからずっと単純な火魔法だけを伸ばしてきました」
「ま、風魔法は補助系だからな。ちょっとややこしいよな」
「はい。でもルパート先輩の戦う姿を見ていたら、風魔法がすっげぇ便利だって気づいて……。俺は剣とかはからっきしで魔法しか使えないから、今後の為に戦える手段を増やしたいんです!」
明確な目標を掲げたマキアへ、ルパートはニッコリ笑った。
「いいぜ。俺で良ければ訓練に付き合おう。ヤル気の有るヤツは好きだ」
「やった! ありがとうございます!!」
「若いっていいねぇ、青春だねぇ」
年寄り臭く頷いているマシューにキースが尋ねた。
「マシュー中隊長はおいくつなのでしょうか? ちなみに僕は29歳です」
「今年で25で~す」
「えっ、私と同じ!?」
マシューは妙に落ち着いているので、若く見えるけどもっと上かと思っていた。
「何だロックウィーナ、俺達ってタメかぁ! これからもっと仲良くしよーね!!」
斜め前に座るマシューに手を握られてブンブン振られた。
「おっ、小さいな。俺、女のコの手を握ったの久し振りかも!!」
駄目、やめて、男達の不快指数がどんどん上がっていくから。
バスッ。
「いってぇぇ!!」
案の定だ。私の対面、マシューの隣に座るキースが彼の手首にしっぺをお見舞いしていた。
キース特殊能力である魅了の瞳は、悪い目的で利用したがる輩が出そうなのでギルド外には内緒にしている。それにしたってエリート騎士相手にしっぺを繰り出すとは、キースは大した度胸だと冷や冷やした。
「ユアンも25と言っていましたよ。同い年で仲良くなれそうな相手が居て良かったですね中隊長」
そっか、ユーリも25歳か。彼も苦労したせいか大人っぽいよね。久しく身近に同い年が居なかったから何だか新鮮。
マシューは手首付近を擦りながら口を尖らせた。
「どうせ仲良くなるなら女のコがいい……」
「まだ言いますか。中隊長には心に決めた相手がいらっしゃらないのですか? 異性からモテそうですけれど」
「うんまぁ、はっきり言って俺はモテますね。貴族だし聖騎士だし容姿もまぁまぁイケてますからね」
「胸を張り過ぎて後ろへ倒れなさい。モテるならロックウィーナにちょっかいかけなくてもいいじゃないですか。彼女は僕達にとって大切な仲間であり女性なんです。遊びで手を出さないで頂けます? 出したら呪います。中隊長はあなたを慕う、周りの素敵な女性達と真剣に向き合うべきです」
「……キースさんって癒しと護りを司る白魔術師ですよね?」
「そうですが?」
「うん……何か…………うん」
魔王相手にも怯まないキースさんだから。
「マシュー中隊長には今、お付き合いしている人が居ないんですか?」
恋バナ好きなマキアが身を乗り出した。
「うん。特定の相手と深く付き合うより、たくさんの女のコと広く浅く遊びたい感じ」
「ああ、うん、そういう気持ちは俺にも有りました」
「過去形ってことは……今は違うの? マキア」
「はい。真剣な恋をしてみたいです。実は俺……、交際経験は有りますけど恋というものをよく解ってないんです」
マキアにとって恋を知らないことはコンプレックスだったはずだ。それを自分から打ち明けるなんて。ルパートに風魔法を教わろうとしたり、マキアは変わろうとしているんだな。
「………………」
「やっぱ恋を知らないって引きますか?」
「いいや。でも俺には上手いアドバイスができないな」
マシューはルパートに視線を移した。
「ルパート先輩は? ロックウィーナのことが大のお気に入りみたいですけど、彼女と真剣交際をしたいって思ってるんですか?」
ルパートが静かに肯定した。
「思ってますよ。俺は彼女の心に生涯の忠誠を誓いましたから」
「え……」
まるで臆することなく言葉にしたルパートを、マシューは大きく見開いた瞳で見つめた。
「生涯の忠誠って……プロポーズをしたのですか?」
「ええ。ライバルは多いですけど」
ルパートとキースは顔を見合わせて、ふっと不敵に笑い合った。
「キースさんも……? 二人同時にプロポーズを?」
「僕達だけではありません。エリアスさんとアルも彼女との結婚を望んでいます。エンも恋心に気づいたようですし、参戦してくるかもしれませんね」
「どうして二人とも笑っていられるんです? 四人もの男がロックウィーナに求婚しているんでしょう? 想いが成就するのは四分の一の確率……。いや、ロックウィーナが誰も選ばない可能性だって有るのに!」
何故だかマシューの余裕が無くなっていた。先程までは飄々としていたのに。
答えたのはキースだった。
「そうですね……。そりゃあ想いが届かなかった場合はつらいでしょうね。でも、好きだという気持ちを抱えたまま何もせず、諦めるよりはずっといいです。少し前まで僕はそうだったんです」
「どうして今は気持ちを表に出したんです? 諦めかけていたんでしょう?」
キースはふふっと声に出して笑った後、地の口調で心情を語った。
「僕の心がそうしたいと叫んだからだよ。自分の心に従ったまでだ」
ルパートも続いた。
「俺も……そうだったな。ウィーへの気持ちをはっきり自覚した途端、想いが溢れて止められなくなった。切っ掛けをくれたのはキースさんだったけどな」
「あれは大失敗だった。おまえの恋心は眠らせておくべきだった」
「もう遅いよ」
ライバル同士で笑い、堂々と本音を言い合うキースとルパート。対してマシューは目線を落として唇をキュッと結んでいた。
その様子を見て私は、マシューが人に言えないつらい恋をしているのだと密かに察した。
「ま、風魔法は補助系だからな。ちょっとややこしいよな」
「はい。でもルパート先輩の戦う姿を見ていたら、風魔法がすっげぇ便利だって気づいて……。俺は剣とかはからっきしで魔法しか使えないから、今後の為に戦える手段を増やしたいんです!」
明確な目標を掲げたマキアへ、ルパートはニッコリ笑った。
「いいぜ。俺で良ければ訓練に付き合おう。ヤル気の有るヤツは好きだ」
「やった! ありがとうございます!!」
「若いっていいねぇ、青春だねぇ」
年寄り臭く頷いているマシューにキースが尋ねた。
「マシュー中隊長はおいくつなのでしょうか? ちなみに僕は29歳です」
「今年で25で~す」
「えっ、私と同じ!?」
マシューは妙に落ち着いているので、若く見えるけどもっと上かと思っていた。
「何だロックウィーナ、俺達ってタメかぁ! これからもっと仲良くしよーね!!」
斜め前に座るマシューに手を握られてブンブン振られた。
「おっ、小さいな。俺、女のコの手を握ったの久し振りかも!!」
駄目、やめて、男達の不快指数がどんどん上がっていくから。
バスッ。
「いってぇぇ!!」
案の定だ。私の対面、マシューの隣に座るキースが彼の手首にしっぺをお見舞いしていた。
キース特殊能力である魅了の瞳は、悪い目的で利用したがる輩が出そうなのでギルド外には内緒にしている。それにしたってエリート騎士相手にしっぺを繰り出すとは、キースは大した度胸だと冷や冷やした。
「ユアンも25と言っていましたよ。同い年で仲良くなれそうな相手が居て良かったですね中隊長」
そっか、ユーリも25歳か。彼も苦労したせいか大人っぽいよね。久しく身近に同い年が居なかったから何だか新鮮。
マシューは手首付近を擦りながら口を尖らせた。
「どうせ仲良くなるなら女のコがいい……」
「まだ言いますか。中隊長には心に決めた相手がいらっしゃらないのですか? 異性からモテそうですけれど」
「うんまぁ、はっきり言って俺はモテますね。貴族だし聖騎士だし容姿もまぁまぁイケてますからね」
「胸を張り過ぎて後ろへ倒れなさい。モテるならロックウィーナにちょっかいかけなくてもいいじゃないですか。彼女は僕達にとって大切な仲間であり女性なんです。遊びで手を出さないで頂けます? 出したら呪います。中隊長はあなたを慕う、周りの素敵な女性達と真剣に向き合うべきです」
「……キースさんって癒しと護りを司る白魔術師ですよね?」
「そうですが?」
「うん……何か…………うん」
魔王相手にも怯まないキースさんだから。
「マシュー中隊長には今、お付き合いしている人が居ないんですか?」
恋バナ好きなマキアが身を乗り出した。
「うん。特定の相手と深く付き合うより、たくさんの女のコと広く浅く遊びたい感じ」
「ああ、うん、そういう気持ちは俺にも有りました」
「過去形ってことは……今は違うの? マキア」
「はい。真剣な恋をしてみたいです。実は俺……、交際経験は有りますけど恋というものをよく解ってないんです」
マキアにとって恋を知らないことはコンプレックスだったはずだ。それを自分から打ち明けるなんて。ルパートに風魔法を教わろうとしたり、マキアは変わろうとしているんだな。
「………………」
「やっぱ恋を知らないって引きますか?」
「いいや。でも俺には上手いアドバイスができないな」
マシューはルパートに視線を移した。
「ルパート先輩は? ロックウィーナのことが大のお気に入りみたいですけど、彼女と真剣交際をしたいって思ってるんですか?」
ルパートが静かに肯定した。
「思ってますよ。俺は彼女の心に生涯の忠誠を誓いましたから」
「え……」
まるで臆することなく言葉にしたルパートを、マシューは大きく見開いた瞳で見つめた。
「生涯の忠誠って……プロポーズをしたのですか?」
「ええ。ライバルは多いですけど」
ルパートとキースは顔を見合わせて、ふっと不敵に笑い合った。
「キースさんも……? 二人同時にプロポーズを?」
「僕達だけではありません。エリアスさんとアルも彼女との結婚を望んでいます。エンも恋心に気づいたようですし、参戦してくるかもしれませんね」
「どうして二人とも笑っていられるんです? 四人もの男がロックウィーナに求婚しているんでしょう? 想いが成就するのは四分の一の確率……。いや、ロックウィーナが誰も選ばない可能性だって有るのに!」
何故だかマシューの余裕が無くなっていた。先程までは飄々としていたのに。
答えたのはキースだった。
「そうですね……。そりゃあ想いが届かなかった場合はつらいでしょうね。でも、好きだという気持ちを抱えたまま何もせず、諦めるよりはずっといいです。少し前まで僕はそうだったんです」
「どうして今は気持ちを表に出したんです? 諦めかけていたんでしょう?」
キースはふふっと声に出して笑った後、地の口調で心情を語った。
「僕の心がそうしたいと叫んだからだよ。自分の心に従ったまでだ」
ルパートも続いた。
「俺も……そうだったな。ウィーへの気持ちをはっきり自覚した途端、想いが溢れて止められなくなった。切っ掛けをくれたのはキースさんだったけどな」
「あれは大失敗だった。おまえの恋心は眠らせておくべきだった」
「もう遅いよ」
ライバル同士で笑い、堂々と本音を言い合うキースとルパート。対してマシューは目線を落として唇をキュッと結んでいた。
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