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一幕 エリアスが日常に(2)
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「えっ!?」
「はあ!?」
突然の申し出に面食らったのは私も一緒だが、ルパートは額に青筋を浮き上がらせて怒りを露わにした。
「何勝手に決めてるんですか! 俺達はそんなの御免ですから! こう見えて忙しいんで!!」
「これは正式な依頼だ。私はギルドにパーティーメンバー補充の依頼を出して受理された。キミ達二人がパーティに加わることは決定事項だ」
そう言ってエリアスは、一枚の紙を腰の道具入れから出して私達に見せた。そこにはエリアスが話した通りの内容が記されていて、ギルドマスターの署名と捺印がされていた。
「あ、あのオッサン! 人に断りも無く決めやがって!!」
ルパートはギルドマスターに憤慨した。まぁ、貴族からの依頼だからなぁ……。エリアスは難易度が高いミッションはしばらく避けるそうだし、マスターとしても断る理由が無かったのだろう。
「おいウィー、おまえも怒れよ! 何で平然としてるんだよ!?」
「ギルド職員である以上、マスターの命令は絶対です。これも仕事の内です」
「ちょ……マジかよ。モンスターとも積極的に戦っていくことになるんだぞ?」
エリアスが強い口調で言った。
「強いモンスターが居るフィールドへは向かわない。戦闘になっても私が主体で戦う。それは約束する」
「だったら俺達要らないじゃないですか。独りでやれるでしょう?」
「道案内を頼む。私は驚くほどの方向音痴だ。キミ達回収人はそういう方面が大得意なんだろう?」
「ええ……?」
「いいじゃないですか先輩」
降って湧いた話だったが、エリアスのお供をする方が回収人の仕事よりも魅力的に思えた。どちらにしてもモンスターが居そうな場所へ出向くんだもの。危険なのは変わらない。
それならばすぐに楽をしようとするルパートと二人きりになるより、私を気遣ってくれるエリアスを含めた三人で行動した方が絶対いい。
「これから一週間、宜しくお願いしますエリアスさん」
「こちらこそ、レディ」
「おい、回復役が居ねぇぞ」
ルパートは往生際が悪かった。
「俺は剣、ウィーは鞭、エリアスさんは大剣だろ?」
「ほぅレディ、貴女は鞭使いだったのか」
「はい。鞭は軽くて持ち運びしやすいので。あ、でも先っちょに鋼が付いているのでそこそこ攻撃力は有りますよ?」
「先っちょ言うな」
「良いと思うぞ。女性は手足の長さで不利になりやすい。リーチの長い武器を選んだ貴女の判断は賢明だ」
はは。エリアスはいちいち私を褒めてくれるな。ルパートにはダメ出しばかりされていたから嬉しい。少しくすぐったいけど。
これから一週間、自分を女性扱いしてくれる美形剣士様と一緒……。もちろん貴族相手にどうこうなるつもりはない。それでも少し気持ちが浮ついてしまった。
「ウィー、鼻の穴が膨らんでるぞ」
わぁ恥ずかしい! 期待が顔に出ていた!?
ルパートの指摘を受けて私は手で顔を隠した。しかし噓だったようでルパートはニヤニヤしていた。ウンコめ。どうして他の人が居る前でそんな意地悪を言うかな?
本当コイツ性格悪い。顔の造りだけならエリアスといい勝負なのにね。
「では肝心のミッションを決めようか」
エリアスは冒険者ギルドの壁に掛けられた大きな掲示板へ向かった。重い大剣を担いでいるのに足運びは軽やかだ。相当な筋力の持ち主だな。私とルパートも後に続いた。
掲示板には難易度別に、様々な依頼を記した紙がピンで留められている。留めたのは私だ。出動しない間はギルド内で雑務をこなしている。今週はトイレ掃除の当番だったりする。
「今日は難易度Eの中から選ぼう」
依頼は難しい順からA~Fに振り分けられている。Fは逃げてしまったペットの捜索やゴミ屋敷の掃除といった、体力さえ有れば誰でも受注可能な街の中での仕事だ。Eからモンスターと遭遇するフィールドへ出向かなければならなくなる。
「レディ、今の季節は野草さえも美しい花を咲かせる。草原のミッションに挑もうか」
エリアスの提案にルパートが顔を顰めた。
「デートに行く訳じゃないんで、そういうのはいいです。内容と報酬が釣り合った依頼を受けてもらえませんかね? 欲を言えばサクッと終わらせられるヤツ」
「討伐系なら対象のモンスターをサクッと狩れば終わるぞ。しかしレディに血を見せることになる」
「あーコイツ回収人やってるから、血どころか死体も散々見てきてるんで余裕ですよ」
「そうだったな。では討伐ミッションを受けよう。レディには後ろで、戦う私の雄姿を見てもらおうか」
「邪念を持たずに依頼に集中して下さい。このトロール討伐はどうですか? 力は強いけど動きが鈍いんで、逃がしてしまう失敗がまず無いですよ。サクッと決めてしまいましょう」
「そうだな、それにするか。サクッと行こう」
二人共サクサクうるさいな。
エリアスは留めピンを抜いて専用の箱に入れ、トロール討伐の依頼書を手に取った。
「はあ!?」
突然の申し出に面食らったのは私も一緒だが、ルパートは額に青筋を浮き上がらせて怒りを露わにした。
「何勝手に決めてるんですか! 俺達はそんなの御免ですから! こう見えて忙しいんで!!」
「これは正式な依頼だ。私はギルドにパーティーメンバー補充の依頼を出して受理された。キミ達二人がパーティに加わることは決定事項だ」
そう言ってエリアスは、一枚の紙を腰の道具入れから出して私達に見せた。そこにはエリアスが話した通りの内容が記されていて、ギルドマスターの署名と捺印がされていた。
「あ、あのオッサン! 人に断りも無く決めやがって!!」
ルパートはギルドマスターに憤慨した。まぁ、貴族からの依頼だからなぁ……。エリアスは難易度が高いミッションはしばらく避けるそうだし、マスターとしても断る理由が無かったのだろう。
「おいウィー、おまえも怒れよ! 何で平然としてるんだよ!?」
「ギルド職員である以上、マスターの命令は絶対です。これも仕事の内です」
「ちょ……マジかよ。モンスターとも積極的に戦っていくことになるんだぞ?」
エリアスが強い口調で言った。
「強いモンスターが居るフィールドへは向かわない。戦闘になっても私が主体で戦う。それは約束する」
「だったら俺達要らないじゃないですか。独りでやれるでしょう?」
「道案内を頼む。私は驚くほどの方向音痴だ。キミ達回収人はそういう方面が大得意なんだろう?」
「ええ……?」
「いいじゃないですか先輩」
降って湧いた話だったが、エリアスのお供をする方が回収人の仕事よりも魅力的に思えた。どちらにしてもモンスターが居そうな場所へ出向くんだもの。危険なのは変わらない。
それならばすぐに楽をしようとするルパートと二人きりになるより、私を気遣ってくれるエリアスを含めた三人で行動した方が絶対いい。
「これから一週間、宜しくお願いしますエリアスさん」
「こちらこそ、レディ」
「おい、回復役が居ねぇぞ」
ルパートは往生際が悪かった。
「俺は剣、ウィーは鞭、エリアスさんは大剣だろ?」
「ほぅレディ、貴女は鞭使いだったのか」
「はい。鞭は軽くて持ち運びしやすいので。あ、でも先っちょに鋼が付いているのでそこそこ攻撃力は有りますよ?」
「先っちょ言うな」
「良いと思うぞ。女性は手足の長さで不利になりやすい。リーチの長い武器を選んだ貴女の判断は賢明だ」
はは。エリアスはいちいち私を褒めてくれるな。ルパートにはダメ出しばかりされていたから嬉しい。少しくすぐったいけど。
これから一週間、自分を女性扱いしてくれる美形剣士様と一緒……。もちろん貴族相手にどうこうなるつもりはない。それでも少し気持ちが浮ついてしまった。
「ウィー、鼻の穴が膨らんでるぞ」
わぁ恥ずかしい! 期待が顔に出ていた!?
ルパートの指摘を受けて私は手で顔を隠した。しかし噓だったようでルパートはニヤニヤしていた。ウンコめ。どうして他の人が居る前でそんな意地悪を言うかな?
本当コイツ性格悪い。顔の造りだけならエリアスといい勝負なのにね。
「では肝心のミッションを決めようか」
エリアスは冒険者ギルドの壁に掛けられた大きな掲示板へ向かった。重い大剣を担いでいるのに足運びは軽やかだ。相当な筋力の持ち主だな。私とルパートも後に続いた。
掲示板には難易度別に、様々な依頼を記した紙がピンで留められている。留めたのは私だ。出動しない間はギルド内で雑務をこなしている。今週はトイレ掃除の当番だったりする。
「今日は難易度Eの中から選ぼう」
依頼は難しい順からA~Fに振り分けられている。Fは逃げてしまったペットの捜索やゴミ屋敷の掃除といった、体力さえ有れば誰でも受注可能な街の中での仕事だ。Eからモンスターと遭遇するフィールドへ出向かなければならなくなる。
「レディ、今の季節は野草さえも美しい花を咲かせる。草原のミッションに挑もうか」
エリアスの提案にルパートが顔を顰めた。
「デートに行く訳じゃないんで、そういうのはいいです。内容と報酬が釣り合った依頼を受けてもらえませんかね? 欲を言えばサクッと終わらせられるヤツ」
「討伐系なら対象のモンスターをサクッと狩れば終わるぞ。しかしレディに血を見せることになる」
「あーコイツ回収人やってるから、血どころか死体も散々見てきてるんで余裕ですよ」
「そうだったな。では討伐ミッションを受けよう。レディには後ろで、戦う私の雄姿を見てもらおうか」
「邪念を持たずに依頼に集中して下さい。このトロール討伐はどうですか? 力は強いけど動きが鈍いんで、逃がしてしまう失敗がまず無いですよ。サクッと決めてしまいましょう」
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