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新三幕 ガロン荒野再び(5)
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『ギャギャギャギャギャ!?』
間一髪で岩タケノコをかわしたゴースト人形が、勝てないと判断したのだろう、めちゃくちゃ慌てた様子で空を飛んで逃げようとした。
「出やがったな! 風の刃よ、彼の敵を切り刻め!」
バシュッ。
ルパートのかまいたち魔法がヒットして、人形は空中で動きを止めた。
「もらった!」
そこへエリアスが駆け寄り一閃、大剣で人形の頭と胴体を切断した。
『ギャバハァッ!』
悲鳴を上げて地面に落ちた人形へ、一番おっかない魔王様が近付いた。
「何か言い残すことは有るか? 無いな?」
返答受け付け終了が早い。
「よし、では依り代となった人形もろとも俺様の前から消滅しろ。焼き尽くせ、浄化の炎よ」
ボワンと青い色の炎が人形の身体を包んだ。人形はギャアギャア言いながら頭と胴体を別々に動かして苦しんでいたが、やがて動かなくなった。
火が消えた後には消し炭すら残らなかった。正に焼き尽くしたのだ。有言実行した魔王の冷酷さに蒼ざめた私であったが、彼と何度も言い争いをしていながら無事な自分に気づいた。
(どうしてアルクナイトは私に甘いんだろ? ……気のせいじゃないよね?)
私の死を望みながら手を緩めた彼。さっきだって私を護って廃屋から脱出したし、戦いに巻き込まないように遠ざけた。
そもそも消したいと思う相手と、同じベッドで一緒に寝ようなんて考えたりする?
(よく解んない変なヤツ……)
首を傾げた私は、その首筋の空気が動くのを感じた。
「!」
反射的に斜め前へ逃れた。ビュッ。空気と私の髪の毛が数本切り裂かれた。
「ダークストーカー!!」
私は襲撃者を視認して叫んだ。音もなく忍び寄る刺客、恐怖の人型悪魔だった。一周目でコイツが居たのは廃村の東奥だったのに、戦いの音を聞きつけてここまで来てしまったのだ。
マズイ。今の私のレベルで勝てる相手ではない。
「ロックウィーナ!」
「ウィー逃げろ!!」
みんなも気づいたが、彼らと私とでは距離が離れ過ぎていた。アルクナイトの障壁魔法もここまでは届かないだろう。
私はダークストーカーに殺《や》られてしまうのだろうか……? 赤い角を生やした悪魔が私を見て笑った。
パアンッ!
乾いた音が荒野に響き渡った。それと同時に、私を切り裂こうとしていたダークストーカーの右腕が朱に染まった。
『クアアァァッ!?』
「ふあぁっ!?」
私と黒い悪魔は似たような発音で叫んだ。
「小娘、その場に伏せろ!」
遠くからアルクナイトが怒鳴り、訳も解らないまま私は地面に突っ伏した。
パンッ、パンッ。
荒野の強風を縫うように連続で二回音がして、ダークストーカーの右胸、左脇腹に血飛沫が形成する赤い花が咲いた。
いったい何事!? これも魔法の一種?
『キシャアァァァ!!!!』
私への攻撃を忘れて、ダークストーカーは与えられた苦痛に身をよじった。
パアンッ!
そこへ四度目の破裂音が響いて、ダークストーカーの頭頂部が吹っ飛んだ。
「ひっ……」
ブシュウゥゥと頭部から大量の血を噴き出して、ダークストーカーは私のすぐ近くに倒れた。うにゃあぁぁ。脳みそが頭蓋骨からはみ出しているぅぅ。勝手を言うけれどもっとあっちで死んで下さい。頼むから。
「撃ち方やめーっ! 流れ弾が俺達にも当たるだろーが!」
アルクナイトが叫ぶ方向に目をやった私は、これでもかというくらいに驚いた。
そこには険しい顔をして、武器らしきものを構えたリリアナが居たのだ。見間違いじゃない。自慢になるが私の視力は両眼共に2・0だ。
でもどうして? 冒険者ギルドのアイドル、受付嬢のリリアナがこのフィールドに居るの? それに撃ち方って???
「ロックウィーナ!」
「おい、当たらなかっただろうな?」
走ってきたエリアスとルパートが私を起こした。
「は、はい。でもいったい何が起きたんですか……?」
顰めっ面のアルクナイトが歩み寄って、顎でリリアナを指した。
「奴がダークストーカーを狙撃したんだ」
「へ? そ……げき?」
ダークストーカーの身体に矢は刺さっていない。スリングショットでは命中率が低くなる。どんな武器で狙撃したというのだろう?
「お姉様!」
リリアナが腕を左右に振る美少女走りでこちらへ駆けてきた。こんな荒れた地においても彼女は愛らしい。
「あのクソ悪魔に玉の肌を傷付けられませんでしたか!?」
言葉は汚いんだけどね。
「あ、うん、大丈夫。リリアナが助けてくれたんだよね? ありがとう」
「ああ良かった! 生きた心地がしませんでした!」
リリアナは持っていた武器を降ろしてから私に抱き付いた。品の良い香水がフワリと私の鼻をくすぐった。
地面に置かれた武器を見てエリアスが言った。
「これは銃と言うカラクリ武器だな。非常に希少価値が高いもので、市場にはあまり出回らないと聞いたが」
銃? 武器辞典でチラッと見たような。そうか、コレが……。実物を目にするのは初めてだ。
元聖騎士のルパートも興味有り気に武器を眺めた。
「まさかリリアナが銃を扱うとはな。騎士団でも百丁くらい所持してたが、手入れが難しいのと修理部品が高いとかで、銃士の訓練がなかなか進まなかったんだよ。八年経った今は知らんけど」
「かなりの反動が有るはずだが、よくも女の細腕であそこまで射撃精度を高めたものだ」
「うん。純粋にすげーよリリアナ」
感心する男二人に、アルクナイトが爆弾発言をかました。
「エリーにチャラ男、小娘に抱き付いてうなじの匂いを嗅いでいるソイツは女じゃないぞ?」
男二人と私は目が点になった。
間一髪で岩タケノコをかわしたゴースト人形が、勝てないと判断したのだろう、めちゃくちゃ慌てた様子で空を飛んで逃げようとした。
「出やがったな! 風の刃よ、彼の敵を切り刻め!」
バシュッ。
ルパートのかまいたち魔法がヒットして、人形は空中で動きを止めた。
「もらった!」
そこへエリアスが駆け寄り一閃、大剣で人形の頭と胴体を切断した。
『ギャバハァッ!』
悲鳴を上げて地面に落ちた人形へ、一番おっかない魔王様が近付いた。
「何か言い残すことは有るか? 無いな?」
返答受け付け終了が早い。
「よし、では依り代となった人形もろとも俺様の前から消滅しろ。焼き尽くせ、浄化の炎よ」
ボワンと青い色の炎が人形の身体を包んだ。人形はギャアギャア言いながら頭と胴体を別々に動かして苦しんでいたが、やがて動かなくなった。
火が消えた後には消し炭すら残らなかった。正に焼き尽くしたのだ。有言実行した魔王の冷酷さに蒼ざめた私であったが、彼と何度も言い争いをしていながら無事な自分に気づいた。
(どうしてアルクナイトは私に甘いんだろ? ……気のせいじゃないよね?)
私の死を望みながら手を緩めた彼。さっきだって私を護って廃屋から脱出したし、戦いに巻き込まないように遠ざけた。
そもそも消したいと思う相手と、同じベッドで一緒に寝ようなんて考えたりする?
(よく解んない変なヤツ……)
首を傾げた私は、その首筋の空気が動くのを感じた。
「!」
反射的に斜め前へ逃れた。ビュッ。空気と私の髪の毛が数本切り裂かれた。
「ダークストーカー!!」
私は襲撃者を視認して叫んだ。音もなく忍び寄る刺客、恐怖の人型悪魔だった。一周目でコイツが居たのは廃村の東奥だったのに、戦いの音を聞きつけてここまで来てしまったのだ。
マズイ。今の私のレベルで勝てる相手ではない。
「ロックウィーナ!」
「ウィー逃げろ!!」
みんなも気づいたが、彼らと私とでは距離が離れ過ぎていた。アルクナイトの障壁魔法もここまでは届かないだろう。
私はダークストーカーに殺《や》られてしまうのだろうか……? 赤い角を生やした悪魔が私を見て笑った。
パアンッ!
乾いた音が荒野に響き渡った。それと同時に、私を切り裂こうとしていたダークストーカーの右腕が朱に染まった。
『クアアァァッ!?』
「ふあぁっ!?」
私と黒い悪魔は似たような発音で叫んだ。
「小娘、その場に伏せろ!」
遠くからアルクナイトが怒鳴り、訳も解らないまま私は地面に突っ伏した。
パンッ、パンッ。
荒野の強風を縫うように連続で二回音がして、ダークストーカーの右胸、左脇腹に血飛沫が形成する赤い花が咲いた。
いったい何事!? これも魔法の一種?
『キシャアァァァ!!!!』
私への攻撃を忘れて、ダークストーカーは与えられた苦痛に身をよじった。
パアンッ!
そこへ四度目の破裂音が響いて、ダークストーカーの頭頂部が吹っ飛んだ。
「ひっ……」
ブシュウゥゥと頭部から大量の血を噴き出して、ダークストーカーは私のすぐ近くに倒れた。うにゃあぁぁ。脳みそが頭蓋骨からはみ出しているぅぅ。勝手を言うけれどもっとあっちで死んで下さい。頼むから。
「撃ち方やめーっ! 流れ弾が俺達にも当たるだろーが!」
アルクナイトが叫ぶ方向に目をやった私は、これでもかというくらいに驚いた。
そこには険しい顔をして、武器らしきものを構えたリリアナが居たのだ。見間違いじゃない。自慢になるが私の視力は両眼共に2・0だ。
でもどうして? 冒険者ギルドのアイドル、受付嬢のリリアナがこのフィールドに居るの? それに撃ち方って???
「ロックウィーナ!」
「おい、当たらなかっただろうな?」
走ってきたエリアスとルパートが私を起こした。
「は、はい。でもいったい何が起きたんですか……?」
顰めっ面のアルクナイトが歩み寄って、顎でリリアナを指した。
「奴がダークストーカーを狙撃したんだ」
「へ? そ……げき?」
ダークストーカーの身体に矢は刺さっていない。スリングショットでは命中率が低くなる。どんな武器で狙撃したというのだろう?
「お姉様!」
リリアナが腕を左右に振る美少女走りでこちらへ駆けてきた。こんな荒れた地においても彼女は愛らしい。
「あのクソ悪魔に玉の肌を傷付けられませんでしたか!?」
言葉は汚いんだけどね。
「あ、うん、大丈夫。リリアナが助けてくれたんだよね? ありがとう」
「ああ良かった! 生きた心地がしませんでした!」
リリアナは持っていた武器を降ろしてから私に抱き付いた。品の良い香水がフワリと私の鼻をくすぐった。
地面に置かれた武器を見てエリアスが言った。
「これは銃と言うカラクリ武器だな。非常に希少価値が高いもので、市場にはあまり出回らないと聞いたが」
銃? 武器辞典でチラッと見たような。そうか、コレが……。実物を目にするのは初めてだ。
元聖騎士のルパートも興味有り気に武器を眺めた。
「まさかリリアナが銃を扱うとはな。騎士団でも百丁くらい所持してたが、手入れが難しいのと修理部品が高いとかで、銃士の訓練がなかなか進まなかったんだよ。八年経った今は知らんけど」
「かなりの反動が有るはずだが、よくも女の細腕であそこまで射撃精度を高めたものだ」
「うん。純粋にすげーよリリアナ」
感心する男二人に、アルクナイトが爆弾発言をかました。
「エリーにチャラ男、小娘に抱き付いてうなじの匂いを嗅いでいるソイツは女じゃないぞ?」
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