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幕間 爽やかな朝は男達の戦場に(1)
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朝だ。朝が来てしまった。
夕べは大変だった。エリアスに押し倒されて鼻血を噴きそうになり、あのルパートに求婚されて心臓が止まりそうになった。
(……私、どんな顔をして二人に会えばいいの?)
思い返しては枕に顔を埋めて照れと戦った。エリアスの真剣な眼差し、ルパートの熱い口調……。恥ずかしさで叫びそうになり、ベッドの上で脚をバタバタ動かした。
恋愛小説を読んでモテモテのヒロインを羨ましく思っていたものだが、現実で複数の異性に言い寄られることはキッツイんだと知った。一人相手でもいっぱいいっぱいだってのに、二人を同時にどうしろと。
(支度しなきゃ……)
ずっとベッドの上で暴れている訳にはいかない。今日も戦力強化のミッションへ出かけるのだ。
私はタオルを片手に、洗顔の為に部屋の外の共同水場へ向かった。
「おはよう、ロックウィーナ」
肩にフェイスタオルを掛けたエリアスが、白い歯を見せて私に笑顔を贈った。
……気持ちの整理をつける前に会っちゃったよ。しかも寝起きですっぴんなんだけど。この時ばかりは部屋に個人用の水場が欲しいと強く願った。
「お、おはようございます」
私は水場の一番端で水道の蛇口を捻った。冷たい水を手で受ける。その触感で少し冷静になれたというのに、エリアスが私の傍まで来た。
「昨夜は……すまなかった。逸る心を抑えられなかった」
エリアスさん、謝罪は相手の耳元で囁いてするものではありません。彼の低音ボイスは腰に響くのだ。うにゃ~。
雑念を払う為に水をジャブジャブ顔に掛けて洗った。修行僧が滝に打たれようとする気持ちが解ったぞ。
「エリー、朝から暑苦しい真似はよせ」
おお、アルクナイトも居たのか。エリアスの大きな身体に隠れていて気づかなかったよ。
朝が早いはずの魔王様が今頃水場に来るなんて、早朝から水音を立てるとみんなの迷惑になると思って自重したのかな。
……違うな。きっとエリアスの活動時間に合わせたんだ。ストーカーだから。
「皆さんおはようございます」
キースと、そして私を悩ませるもう一人の人物であるルパートも合流した。ううう。でもこれだけ人数が居れば大丈夫……だよね?
「あ、おはよう……」
ルパートが私を見て挨拶をした。言い方はぶっきらぼうだったが、少し顔が赤い。めっさ意識してるやん。夕べはあれだけ積極的だったのに、さては一晩経って冷静になったら照れ臭くなったな。
「ロックウィーナ、体調は大丈夫ですか?」
私を気遣うキースへ、反応を返したのはエリアスだった。
「彼女がどうかしたのか?」
「昨日の夜、倒れてしまったんですよ」
「え? どこが具合が悪いのか?」
「病気とかではないですね。ロックウィーナは純情ですから、異性に迫られて恥ずかしくなって、一時的に体温が急上昇したせいだと思われます」
キースさん? それ言いますか?
「異性に迫られて……? まさかキミの不調は私のせいか!?」
エリアスが私を振り返った。駄目ですよぉ! これで二人の間に何かが有ったと、みんなにバレちゃったじゃないですか。
「……おいコラ、私のせいって何のことだ?」
案の定ドスを利かせた声でルパートが質問してきた。
「ああ、すまない。全て私が未熟だったが故に招いた悲劇……」
エリアスが芝居がかった言動で苦悩を表現した。大げさだ。ちゅー未遂だっただけなのに、もっと先まで行ったように読み解かれちゃうよ?
「そういえばエリー、昨晩俺が寝落ちした後……、小娘と部屋で二人きりになったのか?」
アルクナイトまで余計なことを言いやがった。
「ええっ!? ロックウィーナ、本当ですか!?」
「ちょっ、おい、どういうことだ! ウィー!?」
「……すまない。悪いのは私なんだ。彼女に咎は無い」
エリアスが曖昧な言い方で私を庇った。ハッキリ言わないと誤解されますってば。わざと?
ルパートの顔が蒼ざめた。
「ま、まさか……おまえら、一線を…………?」
「越えてませ────ん!!!!」
ここで私が参戦した。
「誤解です! バランスを崩して、二人してベッドの上に倒れ込んじゃっただけなんです!」
故意に押し倒されたことは秘密にしておこう。
「エリアスさんは何もしていません。二人きりは危ないからと、すぐに私を部屋から出しました。彼は紳士です」
「ロックウィーナ……」
「本当か? 本当に何も無かったのか……?」
ルパートが縋るような目で私を見た。捨てられそうになったニャンコみたいだ。いつもの傲慢な態度が一切見られない。
つい可哀想になって、私はルパートを安心させたくて笑顔を作った。
「本当ですよ。何も有りませんでした。至近距離でエリアスさんの精悍なお顔を見たから、かなりドキドキしちゃいましたけど」
「こんな顔で良ければいつでも見てくれ」
うおっ、またエリアスが急接近してきた。この人はいちいち近いな。本気で私が嫌がることは決してやらないけど。
夕べは大変だった。エリアスに押し倒されて鼻血を噴きそうになり、あのルパートに求婚されて心臓が止まりそうになった。
(……私、どんな顔をして二人に会えばいいの?)
思い返しては枕に顔を埋めて照れと戦った。エリアスの真剣な眼差し、ルパートの熱い口調……。恥ずかしさで叫びそうになり、ベッドの上で脚をバタバタ動かした。
恋愛小説を読んでモテモテのヒロインを羨ましく思っていたものだが、現実で複数の異性に言い寄られることはキッツイんだと知った。一人相手でもいっぱいいっぱいだってのに、二人を同時にどうしろと。
(支度しなきゃ……)
ずっとベッドの上で暴れている訳にはいかない。今日も戦力強化のミッションへ出かけるのだ。
私はタオルを片手に、洗顔の為に部屋の外の共同水場へ向かった。
「おはよう、ロックウィーナ」
肩にフェイスタオルを掛けたエリアスが、白い歯を見せて私に笑顔を贈った。
……気持ちの整理をつける前に会っちゃったよ。しかも寝起きですっぴんなんだけど。この時ばかりは部屋に個人用の水場が欲しいと強く願った。
「お、おはようございます」
私は水場の一番端で水道の蛇口を捻った。冷たい水を手で受ける。その触感で少し冷静になれたというのに、エリアスが私の傍まで来た。
「昨夜は……すまなかった。逸る心を抑えられなかった」
エリアスさん、謝罪は相手の耳元で囁いてするものではありません。彼の低音ボイスは腰に響くのだ。うにゃ~。
雑念を払う為に水をジャブジャブ顔に掛けて洗った。修行僧が滝に打たれようとする気持ちが解ったぞ。
「エリー、朝から暑苦しい真似はよせ」
おお、アルクナイトも居たのか。エリアスの大きな身体に隠れていて気づかなかったよ。
朝が早いはずの魔王様が今頃水場に来るなんて、早朝から水音を立てるとみんなの迷惑になると思って自重したのかな。
……違うな。きっとエリアスの活動時間に合わせたんだ。ストーカーだから。
「皆さんおはようございます」
キースと、そして私を悩ませるもう一人の人物であるルパートも合流した。ううう。でもこれだけ人数が居れば大丈夫……だよね?
「あ、おはよう……」
ルパートが私を見て挨拶をした。言い方はぶっきらぼうだったが、少し顔が赤い。めっさ意識してるやん。夕べはあれだけ積極的だったのに、さては一晩経って冷静になったら照れ臭くなったな。
「ロックウィーナ、体調は大丈夫ですか?」
私を気遣うキースへ、反応を返したのはエリアスだった。
「彼女がどうかしたのか?」
「昨日の夜、倒れてしまったんですよ」
「え? どこが具合が悪いのか?」
「病気とかではないですね。ロックウィーナは純情ですから、異性に迫られて恥ずかしくなって、一時的に体温が急上昇したせいだと思われます」
キースさん? それ言いますか?
「異性に迫られて……? まさかキミの不調は私のせいか!?」
エリアスが私を振り返った。駄目ですよぉ! これで二人の間に何かが有ったと、みんなにバレちゃったじゃないですか。
「……おいコラ、私のせいって何のことだ?」
案の定ドスを利かせた声でルパートが質問してきた。
「ああ、すまない。全て私が未熟だったが故に招いた悲劇……」
エリアスが芝居がかった言動で苦悩を表現した。大げさだ。ちゅー未遂だっただけなのに、もっと先まで行ったように読み解かれちゃうよ?
「そういえばエリー、昨晩俺が寝落ちした後……、小娘と部屋で二人きりになったのか?」
アルクナイトまで余計なことを言いやがった。
「ええっ!? ロックウィーナ、本当ですか!?」
「ちょっ、おい、どういうことだ! ウィー!?」
「……すまない。悪いのは私なんだ。彼女に咎は無い」
エリアスが曖昧な言い方で私を庇った。ハッキリ言わないと誤解されますってば。わざと?
ルパートの顔が蒼ざめた。
「ま、まさか……おまえら、一線を…………?」
「越えてませ────ん!!!!」
ここで私が参戦した。
「誤解です! バランスを崩して、二人してベッドの上に倒れ込んじゃっただけなんです!」
故意に押し倒されたことは秘密にしておこう。
「エリアスさんは何もしていません。二人きりは危ないからと、すぐに私を部屋から出しました。彼は紳士です」
「ロックウィーナ……」
「本当か? 本当に何も無かったのか……?」
ルパートが縋るような目で私を見た。捨てられそうになったニャンコみたいだ。いつもの傲慢な態度が一切見られない。
つい可哀想になって、私はルパートを安心させたくて笑顔を作った。
「本当ですよ。何も有りませんでした。至近距離でエリアスさんの精悍なお顔を見たから、かなりドキドキしちゃいましたけど」
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