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合宿中は恋のフラグが乱立する!?(2)
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「熱いから気をつけて下さいね」
キースから湯気の立つ木製のスープ皿を渡された。零さないように注意して隣のミラへ渡し、ミラは更に隣のマリナへ渡した。向かいに座る男性陣も時計回りで食事を渡し合った。
全員に行き渡ったところでルパートが音頭を取った。
「よし食おうぜ。作戦の成功を祈って乾杯! 水だけどな!」
「頂きます!」
すっかり辺りは暗くなっていた。起こした小さな焚き火を中心に私達は輪になっていた。
「俺はギルド出動班で主任をしているルパートと言う。部下が世話になったな」
ルパートがミラとマリナに挨拶をした。
「まぁ、あなたが噂の主任さん……」
マリナの目が輝いていた。
「元聖騎士で、私達の師団長とお知り合いなんですよね?」
「ああ、まぁな……。俺はルービックさんのような立派な人間じゃないけれど」
「まぁご謙遜を。お年を伺ってもよろしくて?」
「もうすぐ28になる」
「私は26なんです。同世代ですね」
マリナは積極的にルパートへ話しかけていた。ルパートも面倒臭がらずに対応していた。焚き火の灯りに二人の金色の髪が照らされて輝いて見える。
「おいおい、完全に私が忘れられちゃってるじゃん」
不満を漏らしたミラであったが、盛り上げ役のマキアが自分の席を立って彼女の傍へ座り直した。
「初めましてミラさん。俺はマキア。レクセン支部からフィースノー支部に移籍したばっかなんだ」
「ああ、どうも。ミラでいいよ。私とマリナも移籍組。元々は第十一師団に居たんだけど、大きな任務になるからって第七師団に急遽補充されたの」
「そっか、慣れない環境は大変だろ?」
「うん。軍隊だからやることは一緒だけどさ、知ってる同僚が少ないってのがキツイね。だからマリナとばかりつるんでる」
そうだったんだ。だからポツンの私に共感して親しくしてくれているのかな?
「俺は幸いだったな。フィースノー支部の先輩達はみんな話しやすい人ばかりだよ。ロックウィーナも先輩なのに友達になってくれたし」
「え……私も先輩!?」
私はマキアに驚いた目を向けた。マキアはふふっと柔らかく笑った。
「そうだよ。いろいろ教えてね? 頼りにしてるよ、先輩!」
私のことも先輩だと思ってくれていたのかぁ。リップサービスかもしれないけど嬉しい。よおし頑張ろう。
「熱っ」
意気込んだ傍からやらかした。熱々のスープで舌がやられた。ちゃんとフーフーしろって私。
コップの水で舌を冷やす私にキースが寄り添った。
「ロックウィーナ、こちらを向いて舌を出して」
舌を!? いやそれは恥ずかしいですよキースさん。
「だ、大丈夫。火傷まではしていないと思うので……」
「僕との間に遠慮は要らないのに」
私とキースのやり取りを見ていたミラが肘でつついてきた。
「その人が恋人さん?」
聞こえたようでキースが答えた。
「いえ……残念ながら。彼女にとっての一番になりたいんですけどね」
「わあぁ」
私ではなくミラが照れていた。
「ロックウィーナ、あなたの環境って凄いんだね! この人もチラッと見える瞳が凄く綺麗……」
「あ、僕の瞳は決して凝視しないように」
「ね、教えてロックウィーナ。いったい誰が本命なの?」
すっごく困る質問をされてしまった。どうしようかと迷っていたら、
「俺だ」
腕組みをして仁王立ちしているアルクナイトが私を睨みつけていた。一番面倒臭い奴が来ちゃったよ。
「何故ハッキリと、心に決めた相手が俺だと答えないのだ馬鹿者が」
「あなたを心に決めてないからですよ。フライングは恥ずかしいですね、アル」
「うるさいわ白。いちいち抜け駆けしおって」
またアルクナイトとキースの舌戦が始まった。ヤレヤレと逸らした私の視線の先には、話し込んでいるルパートとマリナの姿が在った。
……すっかり二人の世界だ。初対面でルパートがあんなに愛想良くするなんて珍しい。マリナを気に入ったのかな?
それを祝福する私と、ちょっと寂しく想う私が居た。
☆☆☆
兵団のテントは一張りにつき定員二十人の大きなものだった。女性兵士用に二張りのテントが割り振られて、私はその内の一つにお世話になっていた。
「で、あなたは誰が本命なの?」
テント内で寝れタオルで頭を拭いていた私は、本日何度目かの質問をミラからされた。彼女も同じ作業途中だ。私よりも髪が長いので清めるのは大変だろう。
近くの川から汲んだ水を大鍋で沸かして、一人当たり洗面器一個分のお湯が支給された。普段のシャワーに比べたらだいぶ少ない湯量だが、それでも身体の汗は拭き取れたと思う。
水は節約しないといけない。洗顔の際に使う水を減らす為に、明日から私はすっぴんでいようと思った。女兵士のほとんどがノーメイクなので悪目立ちすることはないだろう。どうせギルドメンバーにも一度は素顔を見られているのだ。
「教えてよ、ロックウィーナ」
「私も聞きたいわね」
色白なマリナがずずいっと私に詰め寄った。半裸になって判ったことだが、彼女は細見なのにおっぱいが大きい。羨ましい。今は落としたがメイクもバッチリな女性らしい女性だ。
「あれだけの殿方の心を掴むなんて大したものよね。落とすコツとか有るのかしら? ぜひ聞きたいわ」
「こ、コツ?」
「そう。上目遣いで話すとか、相談を持ちかけて頼るとか、ここぞという時に涙を見せるとか」
ミラは興味レベルだが、マリナの質問は本気度が高い気がする。
「あーちょいマリナ、迫り過ぎ。ロックウィーナが引いてるって」
私の鼻先まで顔を近付けていたマリナを、後ろからミラが引き剝がした。
「だって、彼女と狙う相手が被ったら大変じゃないの。私にはゆっくりしている時間が無いんだからね? もう26なのよ?」
「私だって25だよ? たった一歳の違いじゃん」
「ああもう、その一歳の差が大きいのだって!」
「まぁったく……」
二人の会話を聞いて首を傾げる私へ、ミラが肩を竦めて説明してくれた。
「マリナはね、28歳までに結婚、30歳までに出産したいと常々言ってんの」
なるほど。だからあんなに積極的だったんだ。
キースから湯気の立つ木製のスープ皿を渡された。零さないように注意して隣のミラへ渡し、ミラは更に隣のマリナへ渡した。向かいに座る男性陣も時計回りで食事を渡し合った。
全員に行き渡ったところでルパートが音頭を取った。
「よし食おうぜ。作戦の成功を祈って乾杯! 水だけどな!」
「頂きます!」
すっかり辺りは暗くなっていた。起こした小さな焚き火を中心に私達は輪になっていた。
「俺はギルド出動班で主任をしているルパートと言う。部下が世話になったな」
ルパートがミラとマリナに挨拶をした。
「まぁ、あなたが噂の主任さん……」
マリナの目が輝いていた。
「元聖騎士で、私達の師団長とお知り合いなんですよね?」
「ああ、まぁな……。俺はルービックさんのような立派な人間じゃないけれど」
「まぁご謙遜を。お年を伺ってもよろしくて?」
「もうすぐ28になる」
「私は26なんです。同世代ですね」
マリナは積極的にルパートへ話しかけていた。ルパートも面倒臭がらずに対応していた。焚き火の灯りに二人の金色の髪が照らされて輝いて見える。
「おいおい、完全に私が忘れられちゃってるじゃん」
不満を漏らしたミラであったが、盛り上げ役のマキアが自分の席を立って彼女の傍へ座り直した。
「初めましてミラさん。俺はマキア。レクセン支部からフィースノー支部に移籍したばっかなんだ」
「ああ、どうも。ミラでいいよ。私とマリナも移籍組。元々は第十一師団に居たんだけど、大きな任務になるからって第七師団に急遽補充されたの」
「そっか、慣れない環境は大変だろ?」
「うん。軍隊だからやることは一緒だけどさ、知ってる同僚が少ないってのがキツイね。だからマリナとばかりつるんでる」
そうだったんだ。だからポツンの私に共感して親しくしてくれているのかな?
「俺は幸いだったな。フィースノー支部の先輩達はみんな話しやすい人ばかりだよ。ロックウィーナも先輩なのに友達になってくれたし」
「え……私も先輩!?」
私はマキアに驚いた目を向けた。マキアはふふっと柔らかく笑った。
「そうだよ。いろいろ教えてね? 頼りにしてるよ、先輩!」
私のことも先輩だと思ってくれていたのかぁ。リップサービスかもしれないけど嬉しい。よおし頑張ろう。
「熱っ」
意気込んだ傍からやらかした。熱々のスープで舌がやられた。ちゃんとフーフーしろって私。
コップの水で舌を冷やす私にキースが寄り添った。
「ロックウィーナ、こちらを向いて舌を出して」
舌を!? いやそれは恥ずかしいですよキースさん。
「だ、大丈夫。火傷まではしていないと思うので……」
「僕との間に遠慮は要らないのに」
私とキースのやり取りを見ていたミラが肘でつついてきた。
「その人が恋人さん?」
聞こえたようでキースが答えた。
「いえ……残念ながら。彼女にとっての一番になりたいんですけどね」
「わあぁ」
私ではなくミラが照れていた。
「ロックウィーナ、あなたの環境って凄いんだね! この人もチラッと見える瞳が凄く綺麗……」
「あ、僕の瞳は決して凝視しないように」
「ね、教えてロックウィーナ。いったい誰が本命なの?」
すっごく困る質問をされてしまった。どうしようかと迷っていたら、
「俺だ」
腕組みをして仁王立ちしているアルクナイトが私を睨みつけていた。一番面倒臭い奴が来ちゃったよ。
「何故ハッキリと、心に決めた相手が俺だと答えないのだ馬鹿者が」
「あなたを心に決めてないからですよ。フライングは恥ずかしいですね、アル」
「うるさいわ白。いちいち抜け駆けしおって」
またアルクナイトとキースの舌戦が始まった。ヤレヤレと逸らした私の視線の先には、話し込んでいるルパートとマリナの姿が在った。
……すっかり二人の世界だ。初対面でルパートがあんなに愛想良くするなんて珍しい。マリナを気に入ったのかな?
それを祝福する私と、ちょっと寂しく想う私が居た。
☆☆☆
兵団のテントは一張りにつき定員二十人の大きなものだった。女性兵士用に二張りのテントが割り振られて、私はその内の一つにお世話になっていた。
「で、あなたは誰が本命なの?」
テント内で寝れタオルで頭を拭いていた私は、本日何度目かの質問をミラからされた。彼女も同じ作業途中だ。私よりも髪が長いので清めるのは大変だろう。
近くの川から汲んだ水を大鍋で沸かして、一人当たり洗面器一個分のお湯が支給された。普段のシャワーに比べたらだいぶ少ない湯量だが、それでも身体の汗は拭き取れたと思う。
水は節約しないといけない。洗顔の際に使う水を減らす為に、明日から私はすっぴんでいようと思った。女兵士のほとんどがノーメイクなので悪目立ちすることはないだろう。どうせギルドメンバーにも一度は素顔を見られているのだ。
「教えてよ、ロックウィーナ」
「私も聞きたいわね」
色白なマリナがずずいっと私に詰め寄った。半裸になって判ったことだが、彼女は細見なのにおっぱいが大きい。羨ましい。今は落としたがメイクもバッチリな女性らしい女性だ。
「あれだけの殿方の心を掴むなんて大したものよね。落とすコツとか有るのかしら? ぜひ聞きたいわ」
「こ、コツ?」
「そう。上目遣いで話すとか、相談を持ちかけて頼るとか、ここぞという時に涙を見せるとか」
ミラは興味レベルだが、マリナの質問は本気度が高い気がする。
「あーちょいマリナ、迫り過ぎ。ロックウィーナが引いてるって」
私の鼻先まで顔を近付けていたマリナを、後ろからミラが引き剝がした。
「だって、彼女と狙う相手が被ったら大変じゃないの。私にはゆっくりしている時間が無いんだからね? もう26なのよ?」
「私だって25だよ? たった一歳の違いじゃん」
「ああもう、その一歳の差が大きいのだって!」
「まぁったく……」
二人の会話を聞いて首を傾げる私へ、ミラが肩を竦めて説明してくれた。
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