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西へ駆けろ!(3)
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「ちょっとマキアさん、あなたは何を考えているのですか!」
私と一緒に馬車へ戻ったマキアを、鬼の形相をしたリーベルトが怒鳴りつけた。ちょっと前にもこんなことが有ったような。
「へっ? な、何……」
迫力にタジタジとなったマキアへリーベルトは畳みかけた。
「手! お姉様と手を繋いできたでしょう!? 何てことを!」
馬車へ乗り込む直前に手は放したのだが、窓からリーベルトに見られていたようだ。もう一つの馬車に乗る年長組にも見られていたら面倒臭いことになりそう。
「あ、うん……手はね。でもそれ以上のことはしてないから」
照れた表情で反論したマキアだったが、リーベルトの眉が更に吊り上がった。
「論点はそこじゃなーい!! トイレ休憩の後に手を繋いだことが問題なんです! あなた、アレを触った後の手を洗ってないでしょう!?」
「あ」
盲点だった。そうか、男の人は女性と違ってデリケートな箇所に直接触れるんだった。ちなみにトイレで使ったペーパーは水に溶ける仕様なので、雨が降れば分解されてやがて土に還る。
「あああああ、有り得ない! 汚らわしいアレを握った手でお姉様に触れるなんてえぇ!! マキアちんこ菌をお姉様に擦り付けるなんてえぇ!!!!」
「ぶっ!? おいちょっと、あからさまな物言いすんな!」
「じゃあ付いてないんですか? お姉様の可憐な手はクリーンなままですか? 胸に手を当ててちんこ菌を付けていないと誓えますか!?」
「そ、それは……」
付いてるんかい。私は思わずマキアと繋いでいた手の平を眺めてしまった。
それまで黙って聞いていたエンが、ここで溜め息交じりに発言した。
「旅の間は水を節約しなければならない。不衛生になるのは仕方が無いだろう。俺だって昨日、洗ってない手でロックウィーナの肩を抱いた」
閃光弾から護ってくれた時ね。手を洗ってなかったことは知りたくなかった。
「な、何ですってえぇ!? ふ、二人のちんこがダブルのパワーでお姉様を汚したんですか!?」
「ごふっ」
前方から誰かがむせた音が聞こえた。たぶん馬車を運転してくれている御者だ。リーベルトの大きくなった声が外まで漏れた模様。変な噂が立たなきゃいいけど。
執事のアスリーがハンカチに消毒液を染み込ませ、興奮するリーベルトへ手渡した。
「落ち着いて下さいリーベルト様。こちらをロックウィーナ様に」
「……そうだね。ありがとうアスリー」
リーベルトは受け取ったハンカチで私の手や肩をゴシゴシ擦った。それをマキアとエンがジト目で見ていた。
「まるで病原菌の扱いじゃん。ひっでーな」
「流石に傷付く」
「うるさい、ちんこ菌ども。お姉様は解りましたね? 男は汚いですから迂闊に触られないようにして下さい。あ、僕は毎回手を清めていますから安全ですよ?」
私の身体を拭き清めたリーベルトは、また私と腕を組んでくっ付いた。
マキアが冷めた風に指摘した。
「リーベルトはさぁ、絶対にロックウィーナに惚れているよね? 男として」
「はぁ? 何を言っているんです? 僕のは純粋に命の恩人を崇拝する穢れ無き憧れですよ?」
「俺だって別にロックウィーナに穢れた感情は持ってないよ」
「本当に? お姉様にキスしたり服を脱がせたり、おっぱい触ったりしたいとか考えていませんか?」
「えっ……」
マキアは言い返さず自分の口元を片手で覆って隠した。露わになっている部分の肌が赤く染まっていった。
「え、ええ? ちょっとマキアさん……何ですか?」
リーベルトがマキアへ詰め寄った。
「まさかあなた、お姉様とえっちなことする想像をしたんですか!?」
マキアは何度もまばたきしながら小さい声で答えた。
「……させたのはキミじゃん」
「前は下ネタ言うなってすぐ怒ったじゃないですか! 何で今回は静かに恥じらってるんですか!!」
「それは……だって……」
泳いだマキアの視線が私と合わさった。彼はますます赤くなって横向きになり、馬車の座席で身体を縮こめた。
「まさかマキアさん……身体が反応……」
反応?
マキアの隣のエンがパンパンと手を打ち合わせた。
「はいはいそこまで。リーベルト、これ以上マキアを虐めないでやってくれ」
そして私へ向かって言った。
「悪いが少しの間、窓の外の景色でも眺めていてくれないか?」
「……いいけど?」
よく判らないが私は言われた通りにした。馬車はかなりの速度で走っているようで、車窓から見える景色の移り変わりが激しかった。ずっと見ていると酔いそうだ。
「ああもぅ最悪……、戻んない」とマキアの嘆きが聞こえた。どうしたよ。
私と一緒に馬車へ戻ったマキアを、鬼の形相をしたリーベルトが怒鳴りつけた。ちょっと前にもこんなことが有ったような。
「へっ? な、何……」
迫力にタジタジとなったマキアへリーベルトは畳みかけた。
「手! お姉様と手を繋いできたでしょう!? 何てことを!」
馬車へ乗り込む直前に手は放したのだが、窓からリーベルトに見られていたようだ。もう一つの馬車に乗る年長組にも見られていたら面倒臭いことになりそう。
「あ、うん……手はね。でもそれ以上のことはしてないから」
照れた表情で反論したマキアだったが、リーベルトの眉が更に吊り上がった。
「論点はそこじゃなーい!! トイレ休憩の後に手を繋いだことが問題なんです! あなた、アレを触った後の手を洗ってないでしょう!?」
「あ」
盲点だった。そうか、男の人は女性と違ってデリケートな箇所に直接触れるんだった。ちなみにトイレで使ったペーパーは水に溶ける仕様なので、雨が降れば分解されてやがて土に還る。
「あああああ、有り得ない! 汚らわしいアレを握った手でお姉様に触れるなんてえぇ!! マキアちんこ菌をお姉様に擦り付けるなんてえぇ!!!!」
「ぶっ!? おいちょっと、あからさまな物言いすんな!」
「じゃあ付いてないんですか? お姉様の可憐な手はクリーンなままですか? 胸に手を当ててちんこ菌を付けていないと誓えますか!?」
「そ、それは……」
付いてるんかい。私は思わずマキアと繋いでいた手の平を眺めてしまった。
それまで黙って聞いていたエンが、ここで溜め息交じりに発言した。
「旅の間は水を節約しなければならない。不衛生になるのは仕方が無いだろう。俺だって昨日、洗ってない手でロックウィーナの肩を抱いた」
閃光弾から護ってくれた時ね。手を洗ってなかったことは知りたくなかった。
「な、何ですってえぇ!? ふ、二人のちんこがダブルのパワーでお姉様を汚したんですか!?」
「ごふっ」
前方から誰かがむせた音が聞こえた。たぶん馬車を運転してくれている御者だ。リーベルトの大きくなった声が外まで漏れた模様。変な噂が立たなきゃいいけど。
執事のアスリーがハンカチに消毒液を染み込ませ、興奮するリーベルトへ手渡した。
「落ち着いて下さいリーベルト様。こちらをロックウィーナ様に」
「……そうだね。ありがとうアスリー」
リーベルトは受け取ったハンカチで私の手や肩をゴシゴシ擦った。それをマキアとエンがジト目で見ていた。
「まるで病原菌の扱いじゃん。ひっでーな」
「流石に傷付く」
「うるさい、ちんこ菌ども。お姉様は解りましたね? 男は汚いですから迂闊に触られないようにして下さい。あ、僕は毎回手を清めていますから安全ですよ?」
私の身体を拭き清めたリーベルトは、また私と腕を組んでくっ付いた。
マキアが冷めた風に指摘した。
「リーベルトはさぁ、絶対にロックウィーナに惚れているよね? 男として」
「はぁ? 何を言っているんです? 僕のは純粋に命の恩人を崇拝する穢れ無き憧れですよ?」
「俺だって別にロックウィーナに穢れた感情は持ってないよ」
「本当に? お姉様にキスしたり服を脱がせたり、おっぱい触ったりしたいとか考えていませんか?」
「えっ……」
マキアは言い返さず自分の口元を片手で覆って隠した。露わになっている部分の肌が赤く染まっていった。
「え、ええ? ちょっとマキアさん……何ですか?」
リーベルトがマキアへ詰め寄った。
「まさかあなた、お姉様とえっちなことする想像をしたんですか!?」
マキアは何度もまばたきしながら小さい声で答えた。
「……させたのはキミじゃん」
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泳いだマキアの視線が私と合わさった。彼はますます赤くなって横向きになり、馬車の座席で身体を縮こめた。
「まさかマキアさん……身体が反応……」
反応?
マキアの隣のエンがパンパンと手を打ち合わせた。
「はいはいそこまで。リーベルト、これ以上マキアを虐めないでやってくれ」
そして私へ向かって言った。
「悪いが少しの間、窓の外の景色でも眺めていてくれないか?」
「……いいけど?」
よく判らないが私は言われた通りにした。馬車はかなりの速度で走っているようで、車窓から見える景色の移り変わりが激しかった。ずっと見ていると酔いそうだ。
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