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23の扉 新世紀
日常に 起こす
しおりを挟む「 ねえ、今ここ使っても大丈夫?」
「はい。大丈夫ですよ。」
午後の中途半端な時間、食堂へ行くと
大抵は「誰もいない静かな空間」で。
奥のスピリット達だけが緩やかに支度をしており、
「いつもと違う空気」が 流れている。
うんうん 今日も
「いい感じ」。
そうなると この時間はもう、特別な時間で。
「私をせかいの一部だと認識しているみんな」の中で
気の向くままに「自分の中へ含みたいもの」を創り
ついでにみんなにも「私の創ったものを振る舞って」
私達の繋がりを実際に強める時間だ。
「 今日は この酸っぱい実をブレンドしたお茶と うーんでもスープもいいな。」
一頻り働いた後、お風呂にまで入ったお腹は多少の空腹を訴えていて
「それなら」、とお茶の支度をサッと済ませると
材料棚の前で「今に丁度いいスープ」の具材を想像し始める。
「わ、やった!ヨルのスープだ。」
「こらこら、先ずはこれを片付けてからですよ。」
「はーい。」
そして「そんな私を見ながらはしゃぐイリス」と「それを嗜めるマシロ」にニコリと笑顔の返事をすると
「今の私とみんなが欲しい味」を 思い浮かべて。
また、それをせかいに流して
「必要ないろが集まってくるのを 待つ」。
さぁて ふむ
さっぱり 軽めの
そうね
でもお手軽に美味しいやつ
やっぱり アレ かな
一番初めに厨房で料理を創ろうとした時は
マシロとハクロに止められ、「私達がやるからヨルは座っていて下さい」と言われたものだ。
だけど 「私が」、創りたいんだと訴えたら。
きちんと二人はそれを飲み込んでくれて、こうしてお邪魔する景色も 今では馴染んだいろである。
そうして 無邪気に「私の味」を楽しむイリスと
少し遠慮がち しかし嬉しそうに味わうリトリと共に
手の空いた者から一緒に味わう料理は格別で、これもまた私達の 大切な時間となっているんだ。
テキパキと「実際に材料を選びながら」
「感じていること」をことばに起こすけれど
これは きっと「関係性の"実"の部分」で。
「光の繋がりではないところ」が補強されて
この世界での繋がりが創られていく、行程の 一部だ。
材料の剪定を終え 鍋を火にかけ
野菜達を洗い まな板とナイフを準備して
入れる順番を考えながら
「どう切れば一番今の口当たりか」、
想像しながら ひとつ ひとつをこなしてゆく。
「 うん 」
それも
「まじない」で"パッと創る"でなく
ひとつひとつの工程を
「愉しみながら」、「自分の手で作ること」
その「ともすれば面倒な時間」をしっかりと
「自分と誰かの為に手間をかけれる幸せ」に変えて
「工程を愉しむこと」、
それが今の「自分の目的」である。
そう、本来 私達は
「その"すぐには出来ない行程"を楽しみに来ている」のだ。
そして「遠くで仕事の話をしているマシロ達」の心地良い空気を感じながら。
トントンと 丁寧に刃を落としていると
「丁寧に切ることの意味」が いろんな角度から浮かんできて
「この世界」の面白さや深みを また改めて
主に示して いる。
切る「角度」「刃の入れ方」ひとつ
植物達を最大に生かす方向へ持っていくこと
それがまた私達の「中に入ること」
そして手を掛けた分だけすんなりと馴染み
融け「一部となり活躍してくれること」。
そしてそれをみんなで楽しく食べて
「その時間」がまた私達を拡げていってくれること。
「 うん、 美味しそう 」
こうして「綺麗に切りそろえた野菜の味」を想像しながら「そのいろ」に耽ると、
「その余波が隅々まで廻るから 想像が拡がること」が ようく わかる。
そう、そもそもの自分の性質、
「いつだっていろんな角度からあれこれ検証していること」と。
自分が そういうものを食べたいから
体に行き渡る質を 味わう為に
そしてそれが すべてへ波及してゆく様に、
「想像して行動を重ねていることの両立」
「そのすべてが「自分」であること」も 視えて。
更に
「ああ そうなんだな」って 素直に思えるから、
自分が持っている拡大の性質に気付くんだ。
「 そうね ?」
それも
「ほんとうは シンプル」で
ただ
「私」は「わたし以外のなにものでも ない」
それだけの事実 なのだけど。
結果を
「言葉」
「形」
「仕事」や「形態」に落とすと
途端に複雑になり「真実」は 見え辛くなってしまう。
「 てか。 ほんと、それだけなんだけどね。 「考えると」、霧散するんだわ。」
順に 丁寧に切られた野菜達を鍋に入れていきながら。
硬さのタイミングを見て 灰汁を取り
「澄んだスープ」に散る緑を観ながら仕上げの「謎パウダー」を入れてゆく。
この「謎パウダー」は マシロがいつも作ってくれるスープに入っているもので
「何の味なんだろうな」って訊いてみると出してきてくれた、「謎の粉」だ。
味的には何種類かの根菜と 多分キノコ的雰囲気がするのだけど
この世界で私はキノコを見たことがないし
だが私の知らない食物はまだあるには違いない。
だから細かいことは考えずに、「美味しいから使っている」のだ。
「 ふふ、よし この辺でいいかな。」
今日のスープはあまり煮込む必要はない。
そうやって
ようやっと「シンプルに思える自分」へ辿り着いた私は
相変わらず「いろんなくるくる」を廻しているけれど
きっと「この状態」は
私の世界で言えば「独自の世界観を持つ」ということで
「それ」であれば、見覚えはある。
「 だよね」
確かに「そう言われれば」、「それはそう」で
側から見れば「あの人、世界観凄いな」って思う人はいた。
だけどそれは「作品の中」とか「ファッション」、そのカテゴリーの中の事で
「ワールド」や「テンプレート」、
若しくは「自分の世界という全体」じゃないからな、と勝手に思っていたのだ。
しかしそれが「私の勘違い」で
「世界」という言葉の捉え方が 違っていただけであり、
「それもまた"自分の世界"」なのだ。
「 そう、だから「この次元で言えば "私の世界"はそうなる」、っていうことよね。 」
そして もう少し言えば
「部分的な世界」は「そう思い込んでいたから そうであっただけのこと」で
「世界は初めからそういうものであるし」
「始まりからここまで
ずっと目の前にあるものだ」。
"有限 と共に在る 無限"
そう
本来、「私達は自分の世界を顕わせるもの」であるし。
だけど「そう教えられてきたから」とか
「それは駄目だと言われたから」とか
「タイミング」で
「一部に収まっていただけ」で
ほんとうは 「世界はすべて」であり
「とてつもなく 広い」。
だからそれを限定していたのは紛れもなく「目を逸らしていた自分」で あり
「制限を設けている私」なのだ。
「 だから、こっちに来なきゃわからなかったんじゃなくて。 それと気付かなかったから、あるのに視えなかっただけなんだ。 「視線の先」が ズレてたから。」
そしてこれからは
それに気付いた「いろんな光」が
自ら光り始め 煌めき合い
「シンプルに 輝く」、
無数の世界が できてゆく。
「 ん? なるほど ?」
そうして「スープの出来上がり」と共に
「ひとつの想像」が 出来上がったタイミングで
「大切なこと」に 気付いた私は。
ゆっくりと スープ皿を取りに向かいながら
「その気付き」を味わう準備も し始めたんだ。
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