2,008 / 2,079
23の扉 新世紀
久しぶり
しおりを挟むああ 今日も 空は青いな 。
もうすっかり 「秋」
早いね
でも太陽のチカラが強いから。
なんか 暑 あったかい よね
うん
ティラナの「話」って
なんだ ろうな ~
また恋話かな? でもな
最近話してないからわかんないけど
あの「好奇心」みたいな期間は終わった気がする
ふむ
てかティラナ 今いくつだ?
えーと エローラが結婚したのは
う~ ん?
いや こないだリュディアの結婚式が二年前と
ふむ だから 五年?
あ~ とりあえず
「年」「歳」は どうでもいっか
そうね それを踏まえて ふむ
「話」って
なんだろう な
うん でも
なんか「面白いこと」、持って来そうな
気がする。
テクテクと 白い石畳を歩きながら
「くるくると廻るスペース」で遊んでいると。
「いろんないろ」が入れ替わり立ち替わり
「これからの景色」を寄越してくるけれど
それはどれも 当て嵌まる気がしなくてしっくりこない。
それはつまり、
ティラナの話は「不穏な話」ではなく
多分「純粋甘々な恋話」でもなくて
「私達と培われた生活からの派生」、そんな色を醸し出していて
きっと「普通の話」ではない筈なんだ。
「 うん、なんかね。」
そう
ティラナはあの頃「私」と「気焔」と共に 生活していた。
だから「ベース」はそこにあって
所謂「普通の相談」は 持ってこない。
なにか きっとそれは
「私に会ったら訊きたいこと」の筈で
友達と話して心情が解決する類の話ではないのだ。
「 ふむ」
だから 「なんとなくのその気持ち」を ぼんやりと宙に浮かばせた まま。
軽い足取りを意識して、教会までステップを踏んで行った。
ん? てか
この時間、ティラナいるかな?
でもルシアさんがああ言ってたから
「いる」のか
あ
でも その前に ふむ、なるほど
そういう かんじ。
北の広場から教会までは そう遠い道のりではない。
だから 私がつらつらとスペースと遊んでいる間に、足は順調に教会へと運んでくれていて
気が付けば既に「私のことを待っていた様な長髪のシルエット」が 道の上に観えている。
「ヨル!」
逆光で 姿形はよく見えないけれど。
紛れもなく 「あの雰囲気」はお父さんことハーシェルのもので
きっとティラナが「お姉ちゃんに会いたい」と言った時点で、彼は私がここに来ることがわかっていたに違いない。
彼のそれは「予知の力」ではないけれど
「お父さん特有センサー」みたいなもので
自分の娘に対して発動する「的確なチカラ」である。
きっと 正確な日時は把握していないだろうが
「ティラナの発言の時点で」「私がここへ来ること」が 確定しているのだ。
「 フフ、待っててくれたんですか? ありがとうございます。」
「ヨル、そこはただいま、だろう?」
「 ただいま。」
そうして近づくと共に観える、
久しぶりの緑の瞳に 素直に挨拶をして。
私を 待ちながら浄めていたであろう、教会前の通路を見渡すと
彼が手に持っている箒を受け取って
二人で終わらせるべく、枯葉を集め始めた。
「ところで、ヨル。まだそっちに居るのかい?こちらも大分落ち着いてきたから、またこっちで暮らしてもいいんだよ?」
「 う~ん。 それはとっても有難いお申し出 でも今は、向こうのが都合がいいんですよね。 」
「………うん、ヨルがいいならいいんだ。「今は」、だしね。」
「 ふふ、こないだ本部長がぼやいてましたよ。 「俺はお父さんじゃないって言ってるのにハーシェルが五月蝿い」って。」
「あいつ、最近ヨルの事自慢してくるんだ。なんだかんだ、気焔はちょくちょく来てくれるんだけどね。顔を見ると安心できるが、あいつは声だけだからな。」
「 そうですねぇ。」
ウイントフークに 「その辺りの機微」を求めるのは酷なのかもしれない。
ハーシェルは 始めこそ私を快く送り出し「元々ヨルはこの世界の者ではないから」と私に対して「縛らない様」、遠慮があったけれど
最近はずっと向こうにいるから。
「それなら ラピスでも?」と思うらしく、
暫く前から「うちで暮らさないか」と 言われていたのだ。
そして
確かに「私の場所はどこでもいい」が
実際の「使い勝手」みたいなものは ある。
「実際に狭間側で動けて」
「こちらにあまり干渉されないところ」
その条件をうまく満たすのはやはりあそこで
こちらは「地に近い」から「私も目立ちやすい」のだ。
なんと 表現していいのか、難しいけれど
「デヴァイは都会の喧騒の中に紛れていて」
「ラピスは田舎暮らしだから目立つ」、
そんな感じが 近いと思う。
だからやはり 向こうに定着しているのだけど
きっと彼が良かれと思って私の話をするのを
ハーシェルはつい、そう思ってしまうのだろう。
「 でも、それ絶対自慢じゃなくて。 私の気まずい話とか、おかしな話じゃありません? ん?でも最近そんな やらかしてないけどな 」
「まあ、奴もヨルが可愛いってことさ。………よし、とりあえずこれくらいで良いだろう。中へ入ろうか。ティラナが君の為に……いけない、内緒だった。」
「 うん? 」
もしかして。
ハーシェルのその様子にピンと来た私の鼻は既に
「ティラナ得意のクッキーの匂い」をキャッチしている。
勿論「それ」は とても微かなもので。
ここは まだ教会の入り口だから参拝者に匂う様なものではないのだけれど
どう頑張っても「美味しいものをキャッチしてしまうセンサー」から逃れる事はできなかったらしい。
「えっ?もしかしてここでも匂うのかい?ティラナに言っておかなきゃな。」
「 いいえ、違うんですハーシェルさん。 これは私の鼻がいけないんです、ティラナが腕を上げたから余計にまた鼻に届く様になっちゃって 」
「ハハッ、そう言うことか。」
流石、敏感に私の動きをキャッチした「お父さん」は
「心配と懸念」から直ぐに「安心」へと色が切り替わって。
くるくると 色が変わる美しい緑の瞳がそれを純粋に反映するから
観ていて安心できるし「だからこの人は神父に向いてる」と
ここでまた 思う。
「 わーい、楽しみだなぁ。」
「いやヨル。まだ、知らんふりして行ってくれよ。僕が叱られるから。」
「 フフッ わかってますよ。 シュッと こうして切り替えて、よし。」
「うん、流石だね。前なら絶対僕が怒られてた。ヨルは色々すぐ漏れてたからなぁ。」
「 私も成長したんですよ。 よし、ただいま~ 」
そうして「まっさらの私」になり、元気よく家の扉を開けると
「鼻を突く甘い香り」が主を取り囲み
「結局気付いた私」になるから可笑しくって 笑ってしまう。
だから
結局、緑の瞳と苦笑し合って。
素直にそのまんま、キッチンへ向かったのである。
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