2,007 / 2,047
23の扉 新世紀
様々
しおりを挟む「実際の青」が ありありと捉えられる様になったならば
「その青にしっかりと 起点を留めて」。
下っ腹にチカラを意識し
足裏まできちんと光を流せば
"光を持って歩く器である"、
この状況を正しく把握し「ここからの行動」に 光を伴わせる私が出来上がる。
うん。 よし。
「これ」は ともすれば忘れがちな私が
事ある毎に「降ろしている点」で
始めは「おっと、忘れちゃいかん」とわざわざ取り出していたものだが
今は「すんなりと天から降りてくる様になったもの」だ。
この行為は 「癖にする」とも違っていて
「わざわざ取り出すもの」
「強いていること」ではなく
例えるなら
「出かける前に服を着るに近い行為」で ある。
「 まあ、 そうね。」
そう、「ほんとう」は 私に服は必要無いが。
「ここにそれは必要であると理解している」、
その感覚に 近い。
「 ふむ 」
だから また「移行している自身の感覚」も
合わせて確かめながら
「今の ラピスの空気」を静かに吸い、
世界を読みながら石段を上って行った。
「 確かに。 久しぶりだもんねぇ。」
紺色の美しい店を目指して歩き、街の様子と広場の雰囲気を堪能してから。
「カラン」と入り口のベルを鳴らし、「こんにちは」と納品に現れた主であるが
どうやら店頭の人々の中に「私」の事を知る人はいない様である。
見知った顔を探し、キョロキョロとしていると
「何をお探しでしょうか?」と訊かれ、パッカリとカバンを開けて中身を見せると どうやら「金の蜜を大量買いに来た客」と勘違いされた様だ。
そうしてそのまま、
なんとなく「お客様扱い」されたまま奥に通されると
美味しそうなお茶が出てくる。
だから なんだか「それも面白い」と思って。
そのまんま、「ルシアを待つ上客」という役を得て
ニコニコしながらソファーに座り 美味しいお茶を堪能していた。
「えっ、なんだ、ヨルじゃない!………あ~、ごめんごめん、後で説明するわ。とりあえず店頭お願いね。」
「はい。分かりました。」
そうして暫く、応接室の内装を楽しみながら「この時間」を楽しんでいると
「カチリ」と開いたドアから顔を出したルシアが苦笑しているのが観える。
あのやり取りを聞いていると
きっと「どんな客が現れたのか」と 少しばかり緊張して
ドキドキしながら扉を開けたに違いない。
「 ふふ 」
思うに 私が
「大量の小瓶が入ったカバン」を見せたから
きっと店員さんは「空の瓶を持ってきてそれと同じ量の蜜を買う客」だと思った筈だ。
しかし金の蜜は いつだって品切れ気味だから
普通ならばそんな事はあり得ない。
だけど 「新顔だらけの店頭」を観れば「何かがあった」のは 簡単にわかる。
だから大人しく、応接室に通され こうしてお茶を飲んでいたのだ。
「いやだ、ごめんなさいね。最近ずっと千里が届けてくれてたじゃない?だから、ヨルが来るって思ってなくて。…でも、自分でも驚いたわ、まさかみんながあなたの顔を知らないなんてそんなに時は経ってたかしら?」
「 いや、寧ろ私もそう思ってたから大丈夫です。 えっ、なんか若い子が多かったけど、今までのみんなは何処に?」
「………あなた、「若い子」って。そんなに年は変わらないでしょうに。ふふ、そうね、結局店が忙しくなって。ベテランはみんな裏方に回ってるのよ。ほら、色々変わってきたお陰で店で働きたいって言う子も結構多いのよね。それで何人かに入ってもらって、私達は殆ど作ったり、詰めたりよ。ヨルと同じ感じね。いつもだったら私もちょこちょこ店に顔は出してるんだけど、今日はまた忙しくてね。助かったわ、今日来てくれて。」
そう一息で言うと
まだエプロン姿の彼女は「ほうっ」と息を吐いて。
用意されていたティーセットで自分の分のお茶を淹れ
私の分も おかわりを用意してくれている。
「 フフ、タイミング良かったなら 良かった。」
「そうね。タイミング、なんてもんじゃないわ…。特に金の蜜は実際の効果があるから。やっぱり一番人気なのよね。私達も頑張っているんだけど。」
「 ? 実際の効果 ?」
「そう。なんて言うか、「薬に近い」、いや「薬」なの?…ええ、まあヨルにその気がないのは分かるんだけど。「即効性」、とは違うか。なにか「確実な癒し」、が近いかな。ほら、私達の商品って「香り」や「使い心地」、う~ん、なんて言うか「気分」、なのよ。」
「 うん、それはわかる。でも それって大事だよね?」
「そうなんだけど。でも、人は確実な結果を求めるものよ。なんて言うの、「目に見える効果」。」
「 ああ。確かに。」
「だからなのかしらね。………後は、私達が自由にできるお金が増えたとはいえ。やっぱり、限られたものだから効果があるものに使いたい気持ちは分かるのよね。あ、勿論これまでのお客様は変わらずよ?だけど、より深い癒しを求める人とか、心に傷を負っている人は、きっと金の蜜を自然と選んでるんでしょうね。」
「 なる ほど。 」
くるくると 廻り始めるスペースの景色は
「来る時に観た 広場のいろ」を映し出していて
それは
決して「暗いいろ」ではないけれど。
だが「芯からの明るさ」でもなくて
それを読んだ明晰君が
「深いところにある みんなの行程」をせかいに展開し始めている。
そう、「今」は みんなが「その道」を「知る時」
「探る時」
「歩く時」
「創る時」だ。
だから「その結果」がこうして「出て」いて、
それは「目に見えるところ」から「見えないところ」まで
様々なレベルで世界に波及している。
ふむ。
だけど ルシアの「次の言葉」で
私もシンプルにやることを 思い出した。
「ま、でも。私達にできる事はいつだってみんなに癒しを提供する事だけよ。日常の、ホッとした、ちょっと「上質な瞬間」。大きな事でなくて、それが、いいのよ。」
「 うん。 はい、ほんとうに。」
「それで…えっ、こんなに持ってきてくれたの?助かる~ありがとう。ヨルが来ると思ってなかったから、お土産家に置いて来ちゃった。………あ、でも何かティラナが話があるって言ってたわよ?ついでにうちにも寄ってってくれるかしら?きっとリールがいるから呼んでくれればわかると思うし。」
「 ん? 話したいこと?」
「うん、なんだろう。私はきっと恋話だと思うんだけど。…最近私にはあまり教えてくれないのよ。リールは相変わらず追いかけてるけど、あまり相手にされてないみたいだしね。やっぱり年頃なのかしらねぇ…早いわ。」
「 確かにそれは 早い 」
「………ふふ。何言ってるのよ。まあ、ヨルになら話してくれるだろうから。寄って行って?ああ、うちに声掛けるのも忘れないでね?」
「 うん、ありがとうございました。 忙しいのに。」
「いえいえ、こちらこそ。また、待ってるわ。無理しないでね。」
「 はぁい。 なんだろう、話って。」
ティラナの話したいことも気になるけれど
忙しいルシアをこれ以上引き止める訳にはいかない。
「 じゃあ、また。」
「ええ、ありがとう。」
そうして応接室から テクテクと廊下を歩いて。
慣れた裏口から外へ出ると「さて」、と向き直り
遠くに観える尖った屋根に向かって 歩き始めた。
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