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23の扉 新世紀
ちぐはぐ 3
しおりを挟む「 あのね、「絶対譲れない」って なると。 ティラナも苦しくなっちゃうでしょ? うん、だから自分の中で「いいかな」って思うことはみんなに合わせてもいいの。 ほら、どっちのクッキーでもいい時は譲ってもいいとかさ。そういうやつ。 でも、さっき言ってくれたみたいな、「自分が譲れないこと」。 それって「どういう時」ってはっきり言えないけど。 うん、わかるよね。 そういうこと。そういう時は、いいの。自分の思ってること、ストレートに言っていいんだよ。」
「………うん。なんか…それは、分かる気がする。それで、いいんだ。」
「 勿論。 そして、その見極めが上手くなればなるほど、ティラナは生き易くなるし 自分も楽しくなってくると思う。 ほら、私達といた時は特にそういうの、無かったでしょう? まあ、私はこんな性格だし あの人は まあ、うん、アレだから「わかりやすい」のよね。 よって、面倒くさくない。うん。」
「それ、凄い分かる。みんなちぐはぐだと、面倒くさいの。さっき言ってたことと、すぐ違うくなるんだもん。私が馬鹿みたいなのかなあって思ってたけど。」
「 まあ、いちいち真剣に考えるとそうなるよね。 大丈夫、私もそういうタイプだから。でも、それでいいんだよ。 本来「生きる」とは真剣なもの。 「テキトー」では道は成らぬのだよ。」
「お姉ちゃん、先生みたい。うちのおじいちゃん先生がね…」
すっきりしてきたらしい彼女は
「言ってることは難しくわかり難いけど 優しいおじいちゃん先生」の話を始めて。
それが 私に似てるというものだから なんだか可笑しくなってきて一緒に笑う。
そう、「真剣にのめり込む」でなく
「全体で捉え 笑いの要素が紐着く」のは
とてもいい傾向で彼女がそれに固執していない証だ。
なにしろ「真剣に悩んでも」、なにも良いことはないし
本質は「ただ 瞬間を真剣に生きること」だ。
だから「ああなったら」「こうなったら」、「こういう時は」と
「心配」「用意する」ではなくその時が来たらハートに従い決めるで いい。
でもそこで 大概「ハートと頭の乖離」があるのだけど。
ティラナは「そこのところ」をきちんと捉えているし、すっきりしている様子だから 大丈夫だろう。
「でも、私。お姉ちゃん達と暮らせて良かった。「あの頃みたいな感じね」、って思えば、直ぐ分かる様な気がする。」
「 なるほど。 そうかも? ありがとう。」
「えっ、なんでお姉ちゃんがお礼言ってるの?」
そう言って クスクスとティラナは笑うけれど。
「その 一言」が私に気付きを齎したのだから
やはり 世界は面白い。
「それでねぇ、最近リールがね? 」
「 うん? うん、それルシアさんも言ってた ふふ」
だから そのまま楽しそうに話す、彼女の空気に当たりながら。
その 爽やかな風の中、「さっきの一言」に楔を打っておき
お喋りタイムへ 突入したのである。
「 ふーっ 喋った喋った。 」
夕暮れ時のラピスは 一際美しい時間である。
ティラナとはあの後、「ちぐはぐの話」も「それと関係ない話」も 沢山話して。
最後には私の失敗話で爆笑していたから、心配は無いし これから自分の目できちんと確かめ現実を歩いていけるだろう。
それに、もし また迷っても。
サポートしてくれる周囲はいつでもそばにいるし
私達はそもそも繋がっている。
あ そうか 。
「そう思って」、ぐっと顔を上げると。
丁度 陽が沈む前の橙が紺青に溶けて
信じられない様なグラデーションが眼前に展開している。
「 うわぁ。 綺麗。 」
するとそこへ
自然と「聴こえない音楽」が鳴り響いて。
"世界の 幕が引かれていること"
"今が 正にグランドフィナーレであること"
それがわかり
主に「その実感」を 抱かせるんだ。
「 やっぱり。 「物語」は 美しいよね。 そうじゃなきゃ 読むに値しない 。」
思わずそう、呟いてしまうけれど。
やはり こんな景色を観ると思うんだ
やっぱり 世界は美しくて
私は それを観る為に
ここに生きているんだって。
そしてそれはやはり「そう」で。
すべては「然るべき時」「そうなる」し
「私はそれに向かって 歩いてきたんだ」。
"目の前の 美しい景色と
シュルシュルと渦巻き纏まってゆく
スペースの 美しいいろ"
そのすべてが相まって主のなかには
「なにか」が齎され、そのお陰で留めていた楔が
ここへ戻ってくる。
「 あ 」
そう、ティラナが言っていた
"私達と過ごした時間が 目印になる"
という
その素晴らしい「ことば」
それは確かに「基準」で「ベース」
そして「支え」であり
「拠り所」でもある、
「確固とした ところ」だ。
そして
それも「見えない」「触れられない」けれど
「決して無くなることのない 自分の中にあるもの」、
そう「含まれてある いろ」で ある。
「 結局、「それ」なんだよね。 「そこ」、しかない。」
それは 言ってしまえば「ひとつの財産」で
「お金」で買うことはできず
「求めて」得られるものでもない、
自分で気付くことでしか得られないもの
その「本質の感覚」である。
"ほんとうのこと"
"永遠にあるもの"
"いつでも変わらず傍に寄り添うもの"。
「それ」は 「もの」ではないから
感知するのが難しいけれど。
「誰もが持っている 気付いていないだけのもの」で
それが
私がずっと思っている"私達の真ん中にある 同じいろ"だ。
そして それが
「私達と共にいた経験」で 彼女に齎されたこと
そしてそれが「今 わかったこと」。
その「繋がり」「関係性」「タイミング」、いろんなすべてが美しく嵌り「今ここ」なことに
世界の美しさが目一杯 感じられて。
なんだか 「私」が充満して とても良い 気分だ。
「 でも。 「そういうこと」だし、 「それでいい」 「それだけで、いい」。」
そう、私はそれで「どうする」でもなく
「ただそれを感じていれば良くて」
いつだってそれ以上でも以下でもないのだ。
「 うん、 よし。 」
だから 美しく纏まった「なかみ」と
それを美しく彩る「夕宵の景色」に祝福を送って。
「コン」と いい音で小石を蹴りながら
また石畳を 進んで行ったんだ。
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