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6の扉 シャット
レシフェの石と姫様
しおりを挟む「おい。」
…………。
「じいさん?」
…………。
「おい、モンセラット!」
……………………。
「ちょっと待ってろ。」
「じ・い・さ・ん!!」
ガダガタン!バサバサーーーーーー
あーあ。
どうするんだろ、あれ。
私達は昼食後、モンセラットの住処に移動した。
前に来た時も思ったけど、倉庫のような、ガラクタ置き場のような、研究室のようなそこはレシフェに言わせると「住処」らしい。
どこで生活してるのか皆目検討も付かないが、どうやらここで暮らしているらしいのだ。
レシフェがすぐ後ろで大きな声を出した為、モンセラットは何やらそばにあった何かの山に尻餅をついた。
そして、雪崩が起きた、というまぁありがちな展開だ。
二人が何となく物を片付けている様子を見ながら、私はまた周りの道具をキョロキョロ物色する。
私は駄目だと言われているのに、エイヴォンは色々手に取って弄っているからだ。
ずるい。私も触ってみたい。
振り返ると、エイヴォン以外は何となく物を寄せるのを手伝っているので、私は以前来た時に気になっていた、鉱石のキラキラに目を付けていた。
よしよし、今なら行けそうだぞ?
そうっと近づいて、とりあえず眺める。
七色に光るその鉱石は結構大きくて私が両手で持てるだろうか?その位ある。
見る角度によって色が違うので、とりあえずいろんな方向から観察していた。
「ご機嫌よう、姫様。噂は聞いてますわ。やはり美しい、最上級の青。」
「お目にかかれて光栄です。」
「いやいや、今生で逢えるとは…………。」
ん?んん?
どうやら突然、ガヤガヤ言い出したのはこの鉱石たちだ。
沢山の結晶から成っているので、沢山喋るのかな?
でもみんな宙みたいに姫様って呼ぶんだけど…………。
「ねぇ。私、青く見えるの?」
「そうですね。」「「はい、とても綺麗です。」」「青ですよ。」
そうか。
何故か、石から見ると私は青いらしい。
何でだろ?
まじないが通じないようだ。
ついでに色々質問してみる。
「どうして姫様なの?何か知ってるの?」
「あの、黄色の石がその緑の石から聞いたと。」
「ああ…………。」
やっぱり宙だ。
どうやって伝わってるのか知らないけど、どうやらこの前の会話の内容だろう。
石同士で何かあるのかな??
「姫様も私達と一緒。」
「え?」
「そうですね。仲間がいると、いいですよね。」
?他のみんなの事か。
確かに仲間は大切だよね。
うん。
ところで…
「あなた達は、何の石なの?」
「なんでも。お望み通り。」
「そんな石もあるんだ?」
「ええ。願ってみても、いいわよ?少し、報酬は貰うけど何でも出来るわよ?」
そうなんだ。何がいいかな?
このくらい大きな石だと、もうズバーンと解決出来たりしないかな…………?
「コラ!」
ビクッとして飛び上がる。
ヤバい、見つかった。
恐る恐る振り返ると、結構な速さでレシフェがこちらに向かってくる。ちょっと怖い。
そう思った瞬間、パッと後ろから掴まえられた。
なんだか怒っているレシフェに「そんな心配ならずっとそうしとけ。」と言われているのはシンだ。
首だけ捻って、見上げ「ごめん」の顔をする。
シンはなんて事ない顔をしていたが、「これは駄目だ。」と珍しく厳しい口調で言った。
この、キラキラが?
「お前、いつも言ってるだろう。まじない道具も危険だが、石も同様だ。こいつはこの美しい外見で惑わせ、願いを叶える代わりに相手のまじない力を吸い尽くす、まぁ、問題のあるやつだ。沢山の人間の力を吸っているから多色なんだよ。」
一瞬で、鳥肌が立つ。
とても綺麗で、優しかった石達がそんな石だったんだ…………。
そうして見ると、本当にその綺麗な外見で人々を誘き寄せているような気がしてくる。
人の、力を吸ってそれをまた誘き寄せる材料とするのだ。
「こいつらはこいつらで、別にそういうモノだから悪気は無い。一応対価は貰う、ときちんと断りは入れているしな。復讐とかに使うには、最適なんだが。まぁ自分が死ぬ前提だがな。」
レシフェは腕組みをして石を眺めると、ニヤリとした。
悪っ。
「これを使えば中々のモノが出来るだろうな。」
危なっ。
そういえば、ブラックホールを作ったり気焔とティラナを閉じ込めていた透明の部屋を作ったりと、レシフェの凄さは知っている。
こんなモノ渡したらまずいんじゃない?
でもこのくらいの石で、どのくらいのモノが出来るんだろう?
「ねぇ。ブラックホールはどのくらいの石で作ったの?物凄い、って事だよね?」
すると全く予想外の返答が返ってきた。
「ああ。あれは俺の石だ。」
「ん?俺の石?」
「そう。俺の。採ってきた、石。7つの時に。」
「7つの時?」
パッと、ハーシェルが話してくれた事を思い出した。鉱山に、石を採りに行く、と言っていた。
確かに。
でも…………自分で行ったの?7つの時に?
「ああ、同情するなよ?まぁ同情で俺の女になるってんなら止めないが。お陰でいい石を見つけられたんだ。多分、大人じゃ入れない所にあったからな。」
「?」
「狭いんだよ、坑道がな。子供だったから落盤も恐れずにどんどん奥へ行った。そしたら呼んでいたのさ。こいつが。」
そう言ってレシフェが胸元から出した石は真っ黒な石。
私は、黒を初めて見た。
透明感の無い、真っ黒。深い、闇の石。
レシフェはそれをまたポイと胸元にしまうと、「さ、どうするんだ?」とシンに訊く。
確かに。
みんなで来たけど、何をするつもりなんだろう?
「ちょっと移動するか。」
辺りを見渡して、シンは呟いた。
何やらスペースが足りないらしい。
ホントに、何するの??
私達はまじない棟と橋で繋がっているフロア、5階へ上がった。
物はごちゃごちゃしているが、確かに3階よりはマシだ。
「まぁいいか。」と言うと、シンはモンセラットに何やら訊ねている。
「あの黒を、この青で出来るだろう?」
「はて。いけるでしょうが…………。ちょっと飛ばされないようにして下され?ここも一応貴重な…………。」
「レシフェ。」
もうちょっとおじいちゃん先生の扱い、みんなちゃんとしたげて。
私はそう思いつつ、シンの様子をじっと見る。
何やらレシフェにボソボソ言っていて、レシフェは少し驚いているようだが頷いている。
エイヴォンは何も言われなくても、隅っこの方でまじない道具を見ていたり、たまにこちらを見たり自由にしていた。
しばらく三人で話すと、モンセラットは階段の音を響かせながら階下へ戻って行く。
用は済んだらしい。
そうしてレシフェは私と反対側に少し離れて位置取り、シンがそばに来た。
「これからレシフェに思いっきり、やっていい。」
「え?思いっきり?何を?」
「ぶつけるんだ。さっきの感情を。消したいと、思っただろう?」
「…………。」
バレても構わないとは思うけど。
この人からこう、面と向かって言われると…ちょっと私、どうなの、みたいな。
ぐるぐるしている私に、畳み掛ける様に話すシン。
その声は、珍しく感情の色がよく分かる声だった。
「依る。お前のその感情を消すには、一度、全て出し切る必要がある。本心だったろう?罰を受けるべきだ、と。私は嬉しかったがな?」
本当に嬉しそうにシンが笑ったので、ちょっと怖くなった。
あの、「別のものだ」とたまにふと我に帰る感覚が蘇る。
私とは違う、もの。
でもシンも多分、私と同じ。
許してない。
いや、違う…なんだろう、許す、許さないの次元で生きてないんだ。
私はたまに、錯覚しそうになる。
シンや、気焔が私と同じなのだと。
この世界の人達からすれば、私達は異質だけど、二人と私もまた、違うのだ。
多分シンは「私に害を為さなくなった」から、レシフェがどうでもいいだけ。
好き、嫌い、許す、許さないじゃない。
どうでもいいんだ。
その答えに至ると、私は自分の為と、シンの為にやらなければならないのだと、はっきり分かった。
この人の前できっぱりと、決着をつける必要がある。
ラピスのシンの為に。
私と、この紫のシンが。
それを理解してゆっくりと頷くと、シンはスッと髪留めを取った。
水色の髪がサラリと流れる。
「あ。」
そのまま私に構わずあの薄茶の卵を作って大きくしていく。
丁度、部屋全体を覆うとそれを自分の服の端に留めて、「準備は出来た。」と言った。
え。どうすれば?
シン、としたフロアは薄暗く少し不気味にも感じる。
薄茶には包まれたが、不穏な空気が少し漂うこの空間が何だか少し息苦しくなってきた。
戸惑う私に、レシフェがあの時のように話しかけてくる。
ニヤリと、黒い空気を纏わせて。
「あの時、お前らをまとめてブラックホールへ落とすつもりだった。邪魔だったからな、あの白が。」
「…………。」
「お前はティラナと一緒に居させるか、まぁ言う事を聞かなければ貴石に入れるつもりだった。いい値が付くだろうしな。」
「…………。」
「あいつは…………石にして、売るか道具を作るとしてもいい材料になったろうよ?あのまま吸い込まれていればな。」
レシフェが私を怒らせようとして、話しているのは分かる。
怒りたくない気持ちと、レシフェだって実は悪いやつじゃないと思う気持ち、でもシンを、石に。
<石にした。>
ピクリと腕が動く。
「今でも俺は、後悔はしていない。全てをブラックホールに、あいつらもみんなぶち込んで、この世界のこのクソみたいなルールをぶち壊す。それしかないと今も、思ってる。」
「この石も、良さそうだしな?」
キラリと茶の瞳が反射した。
レシフェが手のひらにまた黒い光を出したのだ。
ウソでしょ?
目を疑った。
でも彼はシンを見て、そのまま光を大きくしていく。
どんどん、あっという間に。
いやだ。
ちがう。
ちがうよ。
そんなんじゃ、何も解決しない。
違うんだよ。
何が違うのかと言われれば説明できない。
この世界での方法なんて、思いつかないかも知れない。
私のできる事なんて、無いのかも知れない。
でも、そういう事じゃ、ない。
出来ないかもじゃない。やるんだよ。
だって本気で、全力出して、できない事ある?
無いよね?
決めた。
私の心が決まり、すぐ力を込め始める。
いけ。
なによりも大きく。
あいつを潰せるくらい大きく、重く、鋭く、素早く、一気に、いく。
あの黒を超えて覆い尽くせ。
その瞬間、シンの声が頭に響く。
「依る。青だ。」
「藍!行くよ!」
瞬時に青の石が浮かんで、呼ぶ。
呪文を唱える暇は無かった。
大きく膨らんだ青い光が私に扱いきれないほどの勢いで渦巻き、その瞬間眼鏡が飛ぶ。
ふっと何故か弾かれたように楽になり、ニヤリとした。
フン。あの黒か。
造作も無い。
身体が、軽い。
光の玉を手の上でクルクル扱いながら、レシフェに向かって綺麗に微笑んだ。
まるで、自分じゃないみたいに。
「「二度目は無いぞ?覚えておけ。」」
軽く手を振り、飛ばす。
「「天誅」」
軽く振っただけで、高速のボールのように標的に向かう青の光。
飛ばすと同時に物凄い衝撃音が防御膜を揺らし身体まで伝わる、音。
飛ばした青の光の球がレシフェの黒い光に当たり、瞬時に相殺されると、天から物凄い爆音と共に青の光の柱が落ちてきてレシフェを囲った。
眩い青の、光。
轟々と鳴る青の檻の中でレシフェは立ち尽くしていた。
青の鋭い光が獲物を逃さないよう、天と地を激しく行き交う。
青の光の龍が天と地を行き来している様な、その様。
それを見て心底楽しくなった私は、笑っていた。
なにあれ?面白い。
「「ハハハハッ!ざまあみろ。」」
気の済むまで笑った後、レシフェを見てもスッキリしない。
「「足りないな?消しちゃおうか。」」
パチンと指を鳴らすと青の柱が捩れてレシフェが苦しみ出す。
いいね。このまま捻り潰そうか。
私の、あの人を消したみたいに。
「「フフッ。」」
ああ楽しい。
「「アハハハ!」」
ん?何か来た。
「依る!お主…………。」
「「なんだ。気焔ではないか。久しぶりだの。何故そばに居ない?」」
「…………。」
「「まぁいい。ちょっと待て。まずこれを片付けよう。」」
「待て。それは…………お前は望まんだろう?」
「「?誰にものを言っている?お主もしや…。」」
「止めろ。」
腕輪をシンに握られたところは覚えている。
そのまま、私の記憶は、そこで途切れた。
「…………の機能も付ければいい。出来るだろう?ていうかやれよ。もう眼鏡じゃ無理なんだ、多分。」
「そうかもな。」
「いや、さすがに俺も死ぬかと思ったわ。ありゃ本物だな。ちょっと本当に調べに行った方がいいな。上手いこと潜り込んで来る。気焔くん、それでいいな?もう俺が居なくてもなんとかなるだろう?」
「ああ。多分な。だいぶ絞れた。」
何の話だろ…………。
ここどこ?寝てたのかな…………。
少し、身体を動かす。
なんだか身体痛いな…………何で?
何してたんだっけ?
眩しいな?ん?暗くなった。
暗いっていうか紫?
見られてる…赤い瞳、シンね、はいはい。
「ん…?シン?」
何となく気焔がいた気がしたけど…………?
「気づいたか?!」「どう?」
「これを。」
なんか騒がしくない?うごっ。ん?甘い。
あ、アレね。アレ。結構美味しかったやつ。
でももうちょっと優しく口に入れられない?
え?やめて?またザラザラしたヤツ…朝でしょ。
分かったよ…目開けるからさ…………。
んんん?
何これ。どういう状況?
目を開けた私の目に飛び込んできたのは、シン、気焔、朝、レシフェ、ちょっと奥にいるエイヴォンだった。
どうしたの?ここどこ?なんでみんな覗き込んでるの??
目だけをキョロキョロさせたが、みんなに取り囲まれているので見えない。
でも、天井の臙脂色を見て多分レシフェの部屋だと当たりをつけた。
ハーブティーも飲まされたし。
でも、なんだか様子が変。
でも何が違うのか分からなくて、みんなの顔をじっと見ながら考える。
「あ!白い!」
でも、正確に言うと「黒くない」だ。
そう、レシフェが元に戻っていた。
片目だけが残っていた筈の素の肌色に、全て綺麗に戻っている。
レシフェは少し照れたように「お前のおかげだ。」と言った。
ん?話が見えないぞ。
いつも通りシンの膝上で寝ていたらしい私は、少し回復すると起き上がった。
でも、みんながまだそこにいろ、と言うのでシンの足の間、ソファーに座っている。
何で?話し辛くない?
私が寝ている間に会議が開かれたらしく、ザックリとした内容をレシフェが教えてくれた。
「まぁ。なんていうか。うん。とりあえず決着はついたよ。どうだ?気分は。」
「うん。スッキリしてる。」
「だろうな。」
何でそんな顔なの?
いい事だよね、スッキリするのって。
「で、お前がスッキリする為に放った力がその水の石だった。それで俺が白くなった、と。」
「ふぅん?」
なんか歯切れが悪いなぁ?
何?なんなの??
「何?何か隠してない?」
私がそう言うと、何だか周りが揉め始めた。
「だから言った方がいいって!」
「いや、吾輩は反対だ。」
「でも知らないと危険かもしれないよ?まぁ本人に害は加えられないだろうけど。」
「いずれ気がつくと思うけど。」
「シンは?お前はどうなんだ?」
「…………。」
「反対だ。」
何だか状況が見えないけど、多分私に関する事だよね?
でもシンは黙り、気焔は反対。
朝は自然に任せる派?
それなら…………。
「いいよ。言わなくて。」
「は?いいのか?危険かもしれないぞ?」
「うん。それも踏まえて、気焔が知らせない方がいいって言うなら、それでいい。」
「…………。」
「依る。」
朝にしっぽで叩かれる。
シンを指してるので見ると、「あ」。
ごめんなさい。後ろだからな…。
チラリと見て、私の膝にある手を握っておいた。
これで誤魔化せるかな?
「じゃあとりあえず、お前らの中では解決、ヨルの蟠りも取れた、俺の石も戻った、…」
「え!石も戻ったの?!」
「そうだ。これには本当に感謝だな。モンセラットにも散々言われてたから。」
「?」
「あのレベルはそう、無い。煩かったんだよ、勿体無いって。まぁ普通は戻す事なんて、不可能だけどな。」
石を取り出し、見せてくれる。
それは、真黒から透明感のある黒に変化していた。
キラリと澄んだ、黒。
そして私の目を見て真っ直ぐ、言った。
「本当にありがとう、ヨル。この石にかけて、全力で守る。」
「…………良かった。ありがとう。」
なんかいい場面の筈なのに、空気が冷たいな…。
うん。主に、後ろと、横。
「じゃあ今日はとりあえず解散しようか?」
居た堪れなくなって、提案した。
そして私は気焔にまた引き取られ、教師たちは解散したのであった。
「?!眼鏡?!」
気焔と寮に戻り、8階の廊下に来るまで気が付かなかった!ヤバくない??
「え!気焔、何で言ってくれないの?!」
「ああ。それは髪留めに付随されたぞ?」
「え?」
めっちゃ間抜けな声、出た。
それなら言ってよ~~!何この無駄な冷や汗。
部屋の扉を開け、まっすぐ洗面室に入る。
鏡を見ると、確かに眼鏡は無いけどグレーの髪に茶色の瞳。いつも通り。
何だか眼鏡が無いのに瞳が茶色なのが、違和感がある。
試しに、髪留めを外す。
「えーーー?!」
「依る?どうした?!」
ナニコレ。水色通り越した。
外で気焔が何やら呼んでるけど、それどころじゃ、ない。
髪は殆ど白に近い水色で、銀髪のようだし、瞳も青に金だったのが水色に金に変化している。
どちらも、一段階薄くなった感じだ。
色が違うだけで別人のように見える自分が鏡の中で戸惑っている。
「これって…………。」
あの、多分内緒にしてる事と、関係あるよね?
ここまで変化する事。一体、何があった?
気になるけど、聞かない事に決めた。
こういうことに関しては、気焔に任せると決めたのだ。
何となくだけど、シンはある意味私に対して非情な所がある。
だけど、気焔は違う。
ちゃんと、「私の事」を考えてくれているのが分かるのだ。
だからさっきはつい気焔だけの名前、出しちゃったけど。
ふと我に帰って、気焔がまだ心配声を出していたのでそのまま洗面室を出た。
気焔は少し驚いたけど、多分これは知ってる目。
私が、何か言いた気に金の瞳を覗くと少し、揺れたけど何も言わなかった。
それで気が済んだ私は、気分転換に行くことにした。
何だかスッキリはしたんだけど、何となく、落ち着きたかったのだ。
「朝、お風呂行こっ?」
そうして朝と、露天風呂に行くことにした。
「寝た?」
「ああ。疲れているだろうからな。」
「ねぇ。初めてよね?」
「そうだな。」
「どうなの?どうなっちゃうの、あの子。」
「吾輩にも分からん。何しろ初めてだからな。長い事、在るが。」
「そりゃそうよね…………。まぁ私も100年生きてたって初めてよ。」
「だろうな。」
「もし…………。いや、いいわ。」
「何だ?珍しいな、朝どのが。」
「まぁね。詮無いことよ。」
「そうだな。…………現状維持をできるだけ、するしかあるまい。」
「そうね。頼むわよ?…こう言っちゃなんだけど、ここに来てからシンラ様と一緒にいる機会が増えてる。急激にね。だからじゃないの?」
「それはある。多分。しかしどうも出来ん。」
「それがあんたの辛いところよね…………。今夜は飲もうか?」
「フフ。それもいいかもしれん。」
「でもとりあえず心配だから、戻りましょうか。」
「そうだな…。」
まさか私も姫様が「ああ」だとは思わなかったからね…………。
うーーーーん。難しい。
とりあえず、足元で寝ましょ。
なるように、なるわよね…………。
それにしてもあの子、また美人になったわね。
周りが余計に揉めないといいけど。
よいしょっと。
あら。ちゃんと戻ってるわね…………。
私と、あの子の湯たんぽ。
おやすみなさい。
夢くらいはいいの見させてやって下さいね、神様。
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