透明の「扉」を開けて

美黎

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8の扉 デヴァイ

青の家

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「とりあえず、お前がどの位ヤバいのか調べに行く。」

「え?」

そんなウイントフークの一言から、始まったその日。


「え、うん?えっと、どういう事ですか?」

「お前達、「そっくり」なんだろう?まあ、それはいいとしてそのセフィラは青の家で育っているそうだ。それなら、行くのが手っ取り早いからな。」

「………あ、ふぅん?そう、なんですか…。」

そう、言えば?

セフィラが「青の家」だと言っていたのは誰だったか。

ラガシュ?
いや、どうだったっけ?
エルバ?いや、エルバはデヴァイの事にはそう言及していなかった気もするな?

えー………誰だったっけ…?

ぐるぐるしつつも、今日の予定が自分の中で大幅に変更されていく。

そう、本当なら今日は。
私の、あの部屋をウイントフークに相談して誰でも辿り着ける場所に、して貰おうと思っていたのだ。


実はあの後、帰り道が分からなくなった私達。
普通に廊下を歩いていたのだが、行けども行けども、あのホールには辿り着かなくて。

結局、大分時間が経っていたのか、探しに来た千里が向こうから歩いて来るのが見えた時は朝と小躍りしてしまったのだ。

危ない空間では、ない筈なのだけど。

真っ直ぐに辿り着けない場所といい、悪戯好きなのかもしれないと朝が言っていた。
「まあ、私達の常識じゃ測れないわよ」と。


その日は結局、ウイントフークは部屋から出てこなかった。
そうして今朝頼もうと思っていたら、この話になったのである。

「とりあえず昼飯を食ったら出かけるから、そのつもりでいろ。」

「………はーい。」

なんだか疑問はぐるぐると渦巻くけれど。

とりあえず外に行けるし、青の家に行けるんだ!

ぴょんぴょん跳ねたいのを我慢して、いそいそと部屋へ戻る事にした。
部屋には、千里に訊いて書いたデヴァイの見取り図があるからだ。



「あ!いた!ちょっと、来て!」

部屋へ戻り、洗面室の森で遊んでいた(ように見える)千里を呼び付けて地図を広げる。

始めはノート一枚で始めたその地図は、思ったより大きなデヴァイの所為でテープで繋がれ六枚になっていた。


「ねえ、青の家ってここだよね?じゃあ一番遠く、反対側まで行くって事?」

「そうだな。」

「へぇ~、めっちゃ楽しみ!この間行ったのはこの礼拝堂まででしょう?それなら倍くらい歩くって事じゃん…フフフ、めっちゃいっぱい見れそう ………。」

「まあ、廊下はそう大差ないと思うがな?」

「そう?でも、楽しみ!ああ、気を付けないと怒られるな………。」

盛り上がり過ぎるといけない。

気持ちを落ち着かせようと、胸に手を当て深呼吸しているとシリーが丁度お茶を持ってきてくれた。
この頃はお嬢様らしく、午前と午後にお茶の時間があるのだ。

でも、私がきちんと部屋に居れば、だけど。


「楽しそうですね?服は、そのままで良いですか?着替えましょうか。」

「うーん、どうなんだろう?」

私の石を沢山持ってきていたウイントフークは「これで幾つかドレスとよそゆきを作れ」とまた追加の石を寄越していた。

私だって、女の子だ。

「ドレス」と言われて、ウキウキしなかった訳ではない。

「でも、なぁ………。」

そう、多分、それを着て行く所が。

問題、なのだ。


しかし用意する他なく、とりあえずはドレス数着とよそゆきのワンピースを作っておいた。
しかし、服は心配事もある。

石は、渡されたけれど一応大事をとって「あの生地」を使い、縫いと染めだけ、私の石で作る事にしたのだ。

作って結局、着れないとか嫌だしね…。

まあ、元々私から出来た石だから問題無いとは、思うんだけど。

念には念を、入れておいたのだ。


「さて。まぁ、でも折角作ったのだし一応着替えて行きましょうか。ワンピースでいいもんね?」

「大丈夫だと思いますよ?御挨拶に行くんですよね?」

「…うん、多分。」

嫌な予感がしないでもないが、まあ深く考えるのは止そう。


そうして着替えをして、昼食を済ませたのである。




乾いたノックの、音。

「フラフラしないで部屋にいろ」と本部長に言われてしまった私は、きちんと部屋で待っていた。

カチリと扉が開いて、返事をしようと口を開けていた私を見たのは金色だ。

「………。いいな。支度はできたか。」

最初の沈黙は気になるが、気焔が私の服装について言及するなんて初めての事だ。
なにやら気にならないでも無かったが、褒められているらしいのでヨシとしよう。


「うん、待ってた。」

ポン、とベッドから飛び降り部屋を出ようとしている彼に続く。

殆ど白に近い、灰色に銀糸の刺繍。

今日のワンピースはそれにした。
何故かは分からなかったけど、「銀色」というワードが頭の中に浮かんだからだ。

ここに来てから、なんだか直感が冴えている気がする私は、閃きには逆らわない様にしている。

その方が。
万事、上手く行く事が多い気がするからだ。


金色に続いてホールへ行くと、みんなが勢揃いしている。

「え?朝も行くの?」

「一応ね。」

私の声が聞こえていた筈の本部長は、構わずそのまま話をしている。
きっと何か、意図があっての事なのだろうけど。

朝に、ベイルート、気焔、千里、ウイントフークに、私。

ほぼ全員でここを留守にするのは、初めてだ。

「シリーの事、よろしくね?」

「ここにいる限りは、何者も近付けませんので。」

キリリと返事をしてくれるハクロに安堵して、見送ってくれるマシロとシリーに手を振る。

「行くぞ。」

振り返ると、既にみんなの姿は見えず私を待つ金色がいるばかりだ。

「うん。」

そうして差し出された手を取って。
薄暗い通路へ進んで行ったのだ。




しかし、青の家への訪問は予想外の結果に終わった。

何故だか、私の顔を見た途端。

「その人」は開けていた扉を閉めた。

そうして、その扉は開く事はなく「今日は、お前は帰れ」という本部長の一言に、より。

私の「初、青の家訪問」は終わりを、告げたのだ。






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